独身でベビーフェイスで油蝉 (川柳19句)

独身でベビーフェイスで油蝉  

真冬日が終わる会えない人が来る  

新しいリズムで旧い街へ行く  

この先は眠れぬ人が祈る部屋  

批評家が多くて舟が沈まない  

友からのメール行方はわからない  

フェリーニをみる花粉症のあいまに  

妣の肉と同じ匂いの豆を煮る  

カフェモカとモカのあいだでゆれる月  

天狼がすっぽり入る四畳半  

Ccの人が笑ってばかりいる  

顔文字のように笑っている友と  

新しい地図から歩き出す五月  

台形は稀に背中を掻いている  

この色を塗ろう林檎と書いてるが  

冷蔵庫が決める孤独死のタイプ  

一枚も写っていないバス旅行  

手が生えたところに桜咲きますか  

大家には無断で仮面舞踏会  

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