スライサー ideaMakerの詳細設定(レイヤー編)
3Dプリンターのスライサー ideaMakerを使いこなす為に必要な詳細設定の解説(レイヤー編)になります。
レイヤーの項目では基本的な設定を行う事になります。
導入方法や他の項目についても説明していますので、他の項目について知りたい方はマニュアルをご参照ください。
基本設定
レイヤーの高さ:1層の厚さの設定。
小さくすればするほど綺麗に出力されるが時間が掛かる。
0.1mm~ノズル径の60%程度の範囲内であれば比較的出力が容易。
0.05~0.1mm未満にする場合は出力時間と相談。
0.05未満に挑戦する場合は3Dプリンターとフィラメントのスペック次第。
シェル:何層の壁を作るかの設定。
3.2と入力した場合は、上記画像のように3層の壁を4レイヤー出力した後に4層の壁を1レイヤー出力するようになる。
強度を上げたい場合は充填(インフィル)を増やす前にシェル数を増やした方がいい。
シェル最大重複率:先に出力したラインに対して何%までなら重なって出力してOKかを設定する。
押出幅0.4mmで0.6mmの壁を出力する場合、重複率50%以上なら2ラインで出力できる。
(50%未満の場合1ラインになる)
シェルの造形順を最適化する:ONにすると無駄な動きやリトラクション回数が減るようになる。
滅多なことがない限り基本的にチェックを入れっぱなし。
最初の層(底面)の設定
最初の層(底面)の厚さ:1層目(第1レイヤー)の厚さの設定。
レイヤーの高さを小さくしている場合でも、プラットフォームへの定着力を高めるために1層目は厚めにしておいた方がいい。
最初の層(底面)の流量:1層目の流量設定。
フィラメントの設定で入力した流量×ここで設定した流量が反映されるので注意。
最初の層(底面)ング押出幅率:1層目の押出幅を設定。
プラットフォームへの定着力を上げたい場合、必要に応じて増やす。
最新版のVer3.6.0Betaで実際に「最初の層(底面)ング押出幅率」と表示されている、「ング」の部分は筆者の誤字ではない。
各レイヤーの開始位置
レイヤー開始点:最寄り箇所・固定・ランダムの3種類から選択。
造形物の形状や設定によっては開始位置が目立つので極力目立たないようにする為に設定する。
形状にもよりますが出力にかかる時間は、「ランダム>固定>最寄り箇所」になる。
筆者が使い分ける目安は下記の通り。
・繋ぎ目が来る位置を指定したい→固定
・繋ぎ目が角に来てほしい→最寄り個所
・曲面が多く角が少ない(フィギュア等)→ランダム
あくまで目安なのでフィギュアの場合であっても研磨しやすい位置に開始位置を設定(固定に設定)する場合もあります。
X軸開始固定位置:0にしているポイントからX方向へどれだけ動かした位置を開始点にするかの設定。
Y軸開始固定位置:0にしているポイントからY方向へどれだけ動かした位置を開始点にするかの設定。
開始位置を固定にした場合に設定可能。
モデルによってX軸・Y軸共に変更する。
縫い目を配置する:なし・凹または凸の角・凹の角・凸の角の4つから設定。
開始位置を最寄り箇所にした場合に設定可能。
「なし」に設定した場合、開始位置は最短距離の位置になる。
「凹または凸の角」にした場合、最寄りの凹または凸の角が開始位置になる。
「凹の角」にした場合、最寄りの凹の角が開始位置になる。
「凸の角」にした場合、最寄りの凸の角が開始位置になる。
その他
スパイラルベースモード:外周を一筆書きで一気に出力していくモード
俗にいう花瓶モードの事。
レイヤーごとの開始点が存在しなくなるので形状によってはとても綺麗に出力ができる。
ideaMakerでは外周が1周で固定の為、強度が欲しい場合は別のスライサーを使った方がいい。
外壁から先に造形を行う:外側から内側の順番で出力していく設定。
外壁から先に造形を行う事で寸法精度が向上する可能性がある。
ただしオーバーハング部分が荒れやすくなる。
充填構造を先に造形する:充填(インフィル)から先に造形していく設定。
OFFの場合は内壁→外壁→充填の順番で造形される。
最短押出ライン長さ:各押し出しパスの単一セグメントの最小許容値。
近くのラインをマージする:指定した数値より近くにあるラインが結合されるようになる。
意図しない結合を防ぐ為にモデルの時点で対処しておくのが普通。
モデルサイズ補正
輪郭のXYサイズ補正:XY方向のサイズを補正する設定。
設定する場合は20mmキューブ等で設定を追い込んでから。
穴のXYサイズ補正:穴の部分だけ補正する設定。
設定する場合はテストモデルを作って設定を追い込んでから。
微細構造の検出
細い部分の構造を検出する設定。
ONにすると細い部分専用の設定を適用できるになる。
スライスに掛かる時間が伸びるので注意。
微細構造の直径:ここで指定した数値より細い構造の部分が微細構造として扱われる。
微細構造の小さな穴の直径:ここで指定した数値より小さな穴が微細構造として扱われる。
微細構造の速度比:通常の速度を100%として何%の速度で造形するかを指定する。
折れたりしないように通常より遅い速度で造形する事になるので出力時間が伸びる。
微細構造の充填率:ONにした場合、微細構造だけ充填率を変更する事が出来る。
強度を上げるために充填率を増やす事になるので出力時間が伸びる。
まとめ
3Dプリンターに慣れないうちは基本設定と最初の層(底面)の設定の項目を変更するだけでも失敗が減ると思います。
以上でideaMakerの詳細設定(レイヤー編)の項目説明は終わりです。
必要に応じて追記したり修正したりしていく予定です。
この項目は「こんな考え方で使うといいよ!」とか「ここ間違ってるぞ!」みたいなコメントは知識を共有するために大事なので何かありましたらご指摘をお願いいたします。
ideaMakerの使い方や応用方法に関する説明記事は下記のマガジンに随時追加していく予定です。
サポートして頂けたら欲しいものリストにあるフィラメント等を購入して色々な検証記事を書いていく予定です。 https://www.amazon.jp/hz/wishlist/ls/3RKZOFBZP9FWU?ref_=wl_share