
さくら
#7
紫郎が、柊子に男を近づけている。
私は隣でどんな意図があるのかと、紫郎を伺う。
その人は学校の有名人で、優しそうな見た目で女子人気が高い。
だが、誰かを特別扱いをする事がなく、話しかけられても愛想なく近寄りがたい。
今もそんな感じだが、紫郎がそれを気にする訳がない。
紫郎が柊子と、ついでに私の事も紹介して
暫く紫郎を中心に会話が進む。
私は3人の様子を伺って気がついた。
いつも見かけるその人とはほんの少し、ほんの僅かであるが、柊子の事を気にしている事がわかった。それに紫郎も…
ふたりになった時、私は紫郎を問い詰めた。
「ふたりをくっつける気なの?何故いつもやらないようなお節介をするの?」
紫郎はきまり悪るそうに答える。
「これから…柊子の側を長く離れる」
そうだ、今までより制限なく行けるよね。
でも、そうすれば柊子は寂しがるかもしれない。
紫郎が行った後、無意識に少し落ち込んでる。
だけれど、柊子は弱くない。
小さい頃みたく誰かに何か言われても黙っていない。
ちゃんと悪意には悪意て対応できるようになったんだよ。
そう言ってやりたかったけれど、紫郎の顔を見て何も言えなくなった。
わかってる、私とあんたは一緒だよね。
「柊子が望まない男はいらない。あんたがいない時は私が側にいる」
私たちは柊子が大事…