嘘つきは猫泥棒の始まり 第1話
あらすじ
私こと 前島華
大学院生 理系女子
地方から出てきて一人暮らし
24歳 学習塾講師アルバイト中
柳下拓実
大学2年 20歳 自宅住まい
華と同じ学習塾でアルバイト
笹元万里
20歳 美人で難関大学の学生 最近、華や拓実と同じ学習塾に
バイトでやってきた
第1話
「泥棒猫!」
けたたましい声の主は
魚屋のおかみさんの声。
店先の魚を咥えて、痩せた野良猫が
歩行者の中を縫って逃げていく。
その声に驚き、商店街を歩く人が皆
振り返る。
私も5センチは足が浮いたと思うくらい
飛び跳ねた。
自分の事かと思ったから。
いや、正確には
私は猫を泥棒した。
猫泥棒のほう。
大学院生の私に
アルバイト募集があるのは
塾の講師ぐらいしか無い。
何せ、ゼミでの研究は
ハードすぎて、マトモなシフトで入れないのだ。
ただ、学歴はハイスペックなので
塾の講師バイトは引く手あまた。
同じ塾バイト仲間の柳下拓実は
4歳年下のちょいイケメン。
同じ駅を、利用しているのを知ったのは
数ヶ月前。
拓実の実家を通り過ぎて
8分程歩けば、私の住むアパートに着く。
偶然、駅前で会って知った。
今までそんなに意識してなかったけど
いつしか一緒に帰り、夜遅いからと
実家を通り越して
私のアパートまで送ってくれる様になった。