「ネギトロの由来って〜w」 について改めて調べる 【ねぎ取る???】
たまにお安く寿司気分を味わいたいときに、マグロのたたきが入ったパックを買うことがある。
ネギを加えたらネギトロになるから。
そんなときにふと思い出すのは、ネギトロの由来についてだ。
もちろん雑学大好きな自分には余裕の知識である。
ま、常識ですわな!!
……しかしこれ、
本当にそうなのだろうか……?
なんかもう最近になって昔の知識が否定されまくりで、何もかも怪しく思えてしょうがないのだ。
正直なところ、このネギトロの由来って胡散臭くないか?
変に教養ぶったニオイがぷんぷんするというか……。
この前投稿したつながる旅行記の大阪回の「銀ブラ」で、「銀座ブラブラじゃなくて銀座でブラジルコーヒーのことですよ^^」という間違った説を誰かが意図的に広めた例を見ているので、なおさらそう思う。
そもそもこの「ねぎ取る」という知識だって、たしかテレビ番組かなにかで見たものであって、一次資料をあたったわけではない。
テレビが言ってた説をひっくり返されまくっている今現在、もちろんこのネギトロの由来だって信用出来るかはわからないだろう。
……こりゃ調査だな。
そして調べてみると、自分と同じようにネギトロの由来について疑問を抱いた人は当然居たようで、なんかもうしっかりと経緯を辿ってくれている。
↓ すごく詳しいのでこれを読もう!! (調べる手間が省けた)
で、結論はやはり「ねぎ取る」説は非常に怪しいというものだった。
そして『三省堂国語辞典』編集委員の飯間浩明氏も、この「ねぎ取る」説については否定している。
辞書編纂に関わる人が言っているのだから、なかなか価値のある意見なんじゃないかと思われる。
そして国立国会図書館データベースには、1975年に浅草の寿司屋でネギトロを食べた人のコラムが存在する。
そのコラムの中では、「ネギを巻いてくれ。ついでにトロもいれて」という客の求めがきっかけで生み出された料理だと店主が話しているのだ。
まさにネギとトロである。
それに対して、巷でまるで教養のごとく広まっている「ねぎ取る」説は、2000年代以降に突如として出現。
建築用語の「根切り」がどうのこうのなど、なんだかよくわからないことを根拠にしている感があるのは否めない。
飯間浩明氏が言うように、「ねぎ取る」を使用している実例が皆無というのを聞くと、やはりネギトロの由来は単純にネギとトロなんじゃないかと思えてこないだろうか?
日本が誇るべき大日本国語辞典は、「実際に使われた用語である」ということを重視して用例採集を行ったらしいが、こういう幽霊語じみた謎の単語(ねぎ取る)が世間に広まっているのはかなり厄介な気がする。
そんな説を今のところ各社の辞書では取り上げていないというのが唯一の救いだろうか。
(そこらのいかがでしたかブログでは取り上げまくりだが)
こういう由来が広まったのには、おそらくあれこれ理由があるはずだ。
銀ブラの際は、「銀座でブラジルコーヒー」という説を広めることで、銀座の喫茶店には確実に利益が生まれたことだろう。
ネギトロも同じように、本来の由来のネギとトロを採用してしまったら、本物のトロを使用していないとおかしいということになる。
そこを「ねぎ取る」説にしておけば、「トロ」のネームバリューは貰いつつ、ネギトロの中身はこそげ落とした中落ちで済ませることが出来るという提供者側の利点が産まれる。
店によっては、「ネギトロの由来はねぎ取るだから、ネギが入ってないことに文句を言うな!!」みたいな例もあるようだ。
こうやって世の物事は捻じ曲がっていくのかもしれないな……。
あぁ……なんだか過去に自分がやらかしたアカマンボウの一件を思い出す。
有名な都市伝説で、「アカマンボウはマグロと同じ味だから、回転寿司はアカマンボウをマグロとして出している!!」とかいう話を聞いたことがある人もいるだろう。
自分はその話を自信満々に漁師経験のある方に話してみたところ……
「はぁ〜???」
と、見事な『何アホなこといってんだこいつ』という反応をされた。
漁師にとっては荒唐無稽にも程がある話のようだ。
事実かわからないものを偉そうに語るべきではないのだ……。
そんなわけで、ネギトロの由来でも自分は騙されていた可能性が高い。
世の中嘘ばっかりだ。
そしてその嘘を否定するために労力がかかるのが本当に厄介。
一体今後どれだけの知識のアップデートが必要になるのだろう。
いやまあ「ネギトロのアップデートとか必要なくない?」と言われたらそれまでなんだけども……。
ネギトロについて語るときはこの記事のことを少しだけ思い出して欲しい。
根拠を辿れない雑学にはご注意を。
迂闊に話してしまうと、将来あれこれ言われちゃうかもしれないから……。
そして自分は、マグロのたたきじゃなくて本当のトロを使ったネギトロを食べられるように頑張らなきゃな。
そんなことを思ったのだった。