【入院】「このまま素顔を見ずに卒業（退院）するのかもしれないな…」という体験
コロナ禍のときに、「クラスメイトの素顔を見ないまま卒業してしまう」という問題を聞いた覚えはあるだろうか。
自分は「いや給食のときには流石にマスクを外すのでは…？」と思ったものだが、よく考えてみたら高校生では給食は出ないのだ。
そうなると本当に素顔を見ないままの卒業はあり得たんだろうなあと思う。
もしかしたら、卒業アルバムでクラスメイトの素顔を初めて知ったなんてことも……？
そう思ってコロナ禍での卒業アルバムの制作あれこれを調べてみると、授業やイベント時にはマスクを外す場面を作ったり、個人のスマホやプリクラの写真まで集めてアルバムを作ったらしい。
なんだかんだでやっぱり素顔を出す場面は作っていたようだ。
しかし自分の生活と関わりがなさすぎて当時は考えたこともなかったが、あの頃は生徒たちだけじゃなく、色々な業界の人が頑張ってあの状況に対応していたんだなと、今更ながらに知ったのだった。
同じ時代を生きたはずなのに、随分と得た経験値は違ってきそうだ。
ところで、なんでそんな話をしているのかと言うと、
現在入院している病院の看護師や理学療法士の素顔を、自分は全く知らなかったことに今更ながらに気付いたからである。
そう、彼らは常にマスクをしているのだ。
医療機関においてはコロナの流行云々は関係なく、常時マスク必須の体制なため、当然素顔は見えない。
患者と食事を一緒に摂ることもないので、マスクを外した姿なんて見る機会がないのだ。
そして中には髪型が似ている人もいるので、最初は本気で個人を認識するのに苦労した。
というか看護師さんに関しては、未だに認識できていない人は多い。
理学療法士は常にリハビリで関わるので流石に覚えるのだが、看護師とは今や関わる機会自体が少ないうえに、女性の場合は髪型も後ろでまとめている人がかなり多い。
そこでさらにマスク装着によって顔の情報が削られると、本気で個体識別の難易度が上がるのだ。
（まあ一番は、あんまり人の顔をジロジロ見ないという自分の癖のせいだとは思うが）
そんなわけで、このままだと自分はお世話になった人の素顔も見ないままに退院していくんだなと、少しさみしい気持ちになったのだった。（まだ退院は先だけど）
きっと退院後にスーパーかなにかで会ったとしても、自分が気づくことはないんだろうな……。
（いやマスクを着けていれば逆にめちゃくちゃ気付きそうな気もするが）
……と、そんなことを思っていたら、リハビリ室の一角に素顔の写真一覧が普通に貼ってあった。
ここ見れば余裕で確認できるーー！！
……いやしかしだ、
正直なところ掲示されている写真が多すぎて、自分が関わった人を探すのに一苦労にもほどがあるのだ。（他の階のスタッフも全部網羅されている？）
そして置いてある場所的に、なんかちょっと立ち止まりにくい！！
なにせここに立ち止まるということは、「素顔チェック」のためにとどまっている以外のなにものでもなく、他に理由など存在し得ないのだ。
自分の陰キャセンサーによると、こんなところに立ち止まってジロジロと写真を見ていようものなら、「えぇ…？ そんなに素顔見たいの……？」「aosagiさん、こわっ…」と周囲に思われるのは必定である！！
うん！
こりゃ確認は無理だね！！
そして自分は人が接近する気配を感じとり、即座にその場所を離れたのだった……。
あぁ…！ 写真があるのはわかっているのに見れないだなんて……！！
「いや普通に見ろよ」という話なのはわかる。
でもなんかほら、ねぇ……？
なんだろう、まるで秘密を暴くかのようなある種の背徳感が発生している。
しかしまさか入院によってコロナ禍の生徒たちの感覚を体験できるとは思わなかったな。
だがよく考えたらこれは理学療法士をはじめとしたスタッフの方々に日々お世話になったことで、そうやって思えるくらいに距離を近く感じているということなのだろう。
（コロナ禍の生徒たちだって、関わりのない他のクラスの人間の素顔なんて気にならないだろうし）
ふと昔同僚に言われた、「aosagiさんって他人に興味無いですよね」という言葉を思い出す。
どうやらあの頃から、少しは自分も変われたのかもしれないな。
・・・
（やっぱり隙を見て写真見とこう）
その瞬間の出会いを大切に……！
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