【つながる旅行記#302】旧呉鎮守府司令長官官舎と、どこかで聞いた『金唐紙』【ジョサイア・コンドル】
前回は入船山公園内の郷土館で呉の歴史とビラを見た。
では今回は旧呉鎮守府司令長官官舎を見ていこう。
古い建物の中を見るのが好きという自分の嗜好を最近知った感じがあるが、なにせ鎮守府の司令長官の官舎である。
凡人が一生見れないであろう建物の中は一体どんな事になっているのだろうか……!?
……なんか突然すごく日本っぽい家の画像になったが、同じ建物である。
そう、この長官舎は和風と洋風が混ざった建築なのだ。
沼津の御用邸も和風かと思いきや、中に入ると絨毯やら椅子やらで洋風だったりしたものを思い出す。(#252参照)
なるほど、そういう感じね?
さすが長官の官舎だけあって、廊下も豪勢な装飾がされている。
でもなんかこれ、どこかで見たことがあるような……?
金唐紙……?
そういえば、ヨーロッパでは壁に動物の革を貼ってたが、それを日本は紙で再現したとかいう話をどこかで………青森銀行!!
たしか青森銀行の天井で同じようなものが使われていたはず!!
……いやはや、まさか金唐紙で青森銀行と旧鎮守府司令長官官舎が繋がってくるとは思なかった。
(なお青森では金唐革紙と言われていたが、同じものである)
しかしやはりこうして見ると、まさに長官にふさわしいお宅だ。
絨毯と高そうな椅子があるだけでなんかもう雰囲気がすごい。
金唐紙も使われまくりである。
食事内容を見ると、「レモンアイスクリーム」に「タピオカプリン」、「ローストビーフ」に「シチュードチッキン(?)」などなど、めっちゃ洋食。
これが上流階級の食事……!!
……と思ったが、考えてみれば今や自分たちも食べようと思えば食べれるものである。
現代に感謝!
そしていきなりの和室!
……内装の振れ幅が凄すぎる官舎である。
ある意味仕事と休息を切り替えやすくて良いのか……?
さてさて、それでは呉市歴史民俗資料館も見ておこう。
すると先程の旧呉鎮守府司令長官官舎の設計者、ジョサイア・コンドルについての展示があった。
なんでもこの人、のちに東京駅を設計する辰野金吾や、丸の内オフィス街を設計する曽禰達蔵らを教えた先生だったらしい。
そして設計した建物は、上野博物館や鹿鳴館などなど、なにやら自分が想像していたよりずっと凄い人だったようだ。
ジョサイア・コンドルはイギリス時代の師匠の影響で日本文化にも興味があったようで、日本に来てからは日本庭園や生け花、果ては日本画まで学んでいた。
長官官舎の和洋折衷な感じも、ジョサイア・コンドルの設計の特徴らしい。
また、彼の講義は生徒からも人気だったようで、東京大学工学部建築学科の庭には弟子たちによって建てられたジョサイア・コンドル博士の銅像が立っているとのこと。
そしてさっき見た金唐紙だが、実は占領軍によって全部屋白いペンキで塗られていたものを、上田尚(うえだたかし)氏が明治の技術で復元したものだったらしい。
(なんてことしとんだ占領軍)
というわけで、入船山公園のあれこれをどうにか見終わる事ができた。
まあ正確に言うと美術館には行けてないが、そこは15時からじゃ絶対無理だろうし仕方ない。
なんだかんだ、1日で呉市についてかなり知れたんじゃないだろうか?
このままさらに掘り下げたいところだが、休みにも限りがある。
明日は次の目的地、広島市へと向かおう。
うだるような暑さの中、
次回へ続く……!
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