【富士登山2023】深夜の富士登山開始!!【半蔵坊→八合目】
前回は初めての山小屋に圧倒的感謝だった。
さて、時刻は23時。
半蔵坊で受け取っていた朝ごはん用のパンを食べる。(朝じゃないが)
へたに残して悪くなっても困るので、こういうものは先に食べてしまうようにしているのだ。(かつてサンドイッチで失敗した経験による)
……しかし不思議な感じだ。
夜に富士山を登ることになるなんて。
街の灯りを見下ろしてちょっと感動する。
では23時30分、登山スタート。
空には天の川が広がっている。
月齢は23くらいなので、天の川もそこそこ綺麗に見えるのだ。
なんだか宝永山っぽいものをシルエットで確認しつつ、歩いていく。
……しかしあれだ。
夜間登山だけど全く怖くない。
自分は函館山でも夜間登山したことがあるのだが、あっちのほうが100倍怖かった。
おそらくこれは富士山には動物が居ないからだろう。
加えて何かが飛び出てきそうな林もないし、恐怖感が生まれないわけだ。
夜の富士登山はただひたすらに星空が綺麗。
そこに御殿場ルートの控えめな登山者のヘッドライトが時折光り、自分が一人じゃないことを教えてくれる。
……さて、歩きはじめて数分。
いや普通にきついぞ!!
まさかの滑る砂利道である。
いきなり心を折ってくるじゃないか……!
そしてそんな道を登っていくうちに、今まで御殿場ルートでは全く見なかった巨大な岩が散見されるようになってきた。
いよいよ富士登山本番という感じだ。
深夜1時20分。
ついに標高3000mに到達。
そして上にいくにつれて砂利道ではなくなり、硬い地面になってきた。
地面が硬いだけでめっちゃ登りやすい。
なんだか砂利道からの開放で元気が出てきたぞ!
そしてこのルートの目玉である大砂走りの分岐点を発見。
下山で大砂走りを盛大に駆け下りるのが楽しみだよ……!
深夜1時30分。
7合目の日ノ出館に到着。
ここは現在閉鎖されている山小屋だ。
先を急ごう。
深夜1時40分。
わらじ館に到着。
半蔵坊がない頃は、御殿場ルートの最初の山小屋はここまで来ないと存在しなかったのだ。
半蔵坊からは、ちょっと回復した自分の足で2時間くらいだろうか。
やっぱり登山口からここまで山小屋なしってのはキツいぞ……。
深夜1時50分。
すぐ近くにある砂走館に到着。
眼下の風景は変わり、富士市が見えた。
この時間なのになんという明かりだろうか。
もはや大都会富士市である。
そして山小屋のライトがかなり近くなってきた。
最近読んだ120年前の本に「8合目の山小屋が火を焚いて位置を教えてくれた」という描写があったので、それを追体験しているかのようだ。
しかしあの本を読んでおいて良かった。
なんだか御殿場ルートの楽しみが増えた気がする。
深夜2時を過ぎていてもこの街の灯り。
ここからは沼津から静岡市まで見渡せる。
静岡県は明るいんだな……!
そして2時40分、赤岩八合館に到着!
ここは御来光を良い感じに見ることができるスポットらしい。
……だが自分はこのまま進むことにする。
日の出まではあと2時間もあるのだ。
山頂から見られるかは微妙だが、人の少ない御殿場ルートなら登山道からでも快適に見られるだろう。
そしてちょっと寒くなってきたので上着を1枚追加。
登り始めて3時間くらい経つが、やはり睡眠を取らなくても寝床で横になっているだけで体力はある程度回復するようだ。
あれだけボロボロになってたどり着いた半蔵坊だったが、今は嘘のように歩けている。
人間の回復能力って凄いな。
そしてここへ来て血中酸素が初の84%になった。
うーん、でもどうだろう。
あんまり当てにならない気もする。
別に苦しかったりボーッとしたりもしてないし。
相変わらず空気の薄さというのはよくわからない。
……そして、にわかに空が明るくなってきた。
こ、これは……!!
山肌が邪魔!!!
そうなのである。
実はこのルートは進むにつれて、御来光が山肌に隠れて見えなくなるのだ。
この地点にいたら御来光が上がる瞬間は見れません!!
(だからさっきの山小屋では好適地点なんて表示があったんですね)
御来光が上がる様をしっかり見る場合は、あの山小屋で日の出まで待つのが正解だったのである。
し、知らんよそんなこと……!!
おいおい……!
なんだか自分の暗所性能が低いカメラでも全然撮影できるレベルになってきちゃったぞ……!
これは急がないと!!
しかしここへきて足が凄まじく重い!!
どうやら5時間横になっていたことによる回復効果は終わったようだ。
もう次の一歩が出ないのなんの……!
時刻は4時30分。
日の出までは20分を切っている。
こ、これはまずいぞ……!!
果たして御来光はどうなるのか。
次回へ続く……!!