【つながる旅行記#33】むつ科学技術館で「みらい」を考える part.2
前回、「みらい」と「むつ」の関係について語った。
今回はいよいよ本格的な展示を見ていこう。
さて、ここで前回のおさらいなのだが、
「むつ」は真っ二つになって原子炉も撤去され、
その船体を利用して「みらい」が完成したと述べた。
ではその撤去された原子炉はどこへ行ったのか?
そう、「むつ科学技術館」には、
「むつ」の原子炉(本物)があるのだ。
当然未だに放射線を出し続けているのだが、鉛ガラス窓などによって最小限に抑えられているらしい。
中を覗いてみよう。
おぉ……。
正直仕組みについてはよくわからないが、緑の光で照られている(鉛ガラスのせい?)もあいまって、言いようのない凄みを感じる。
ちなみにこの原子炉室の周りの放射線量は、高くても0.05μ/Sに抑えられているらしい。
福島県の信夫山に行った際に見た線量計測結果が0.59μ/Sだったことを考えれば、原子炉室が置いてあるとはいえ、安全は徹底されていると言える。
とりあえずはそんなに怖がることはなさそうだ。
周りには他にも関連設備の展示がいっぱいある。
自分は全然技術系の出身ではないので、詳しいことについては皆目見当もつかないが、こんなものを作り上げてしまう人たちの凄さにただただ圧倒される。
放射性炭素年代測定についての展示もあった。
これは考古学でもよく使われるものだ。
しかし内容を見ると、なかなか簡単なものでもない様子。
太陽の変化まで気にする必要があるのか。
wikipediaを見ると、その他にもコンタミやら場所による増減やら、気にするべきことはたくさんあるらしい。
やはり世の中はシンプルに見えてシンプルではない。
研究者には頭が下がる。
これはさっきあったDRXより明らかに大きい原子炉。
説明を見ると大型船舶用らしい。
こうしてみると、研究自体はまだ行っているということか?
2022年現在、ロシアが原子炉を2つ積んだ史上最大級の砕氷船を建設しているとの話もあるが、原子力船は今後どうなっていくのだろうか。
(2027年就役予定とのこと)
科学館にはむつの船体構造を体感させてくれる展示もある。
「むつ」はたとえ衝突や挫傷をした場合にも原子炉格納容器に問題が起こらないようにかなりの対衝突構造になっているのだが、それを自分の目で見られるのだ。
まるで実際の「むつ」船内のように構造物が見れるというわけだ。
科学館は上空から見ると船の形をしているし、元々そういうコンセプトがあるのだろう。
ご当地アイドルコーナーもあった。
まさかり☆Girls5(4人組)である。
今はもう解散しているのだが、元々活動2年くらいを予定していたようだ。
震災後の復興予算を600万ほどアイドルに当てて、下北の周知を図った面白い例と言える。
実際自分の頭には確実に残っているので、効果はあったのかも。
実際に使われていた機器が置かれた制御室。
ものすごい量のメーターやらなんやらである。
何がどうなっているのか意味がわからない。
こういうのを見ると技術系の人は凄いなと思う。
自分でやりたいとは思えないし、そもそも出来る気もしないが。
原子力船仕様の制服……かっこいいな。
ブリッジは八甲田丸でも見たことがあったが、ここは科学館だというのに窓も船仕様のものを再現していてなかなか凝っている。
……ん?
腕にはめたスマートウォッチが振動している。
そう、実は閉館時間に向けてタイマーをセットしておいたのだ。
もう時間切れ。
もちろん一番悪いのは1時間しか見る時間を確保してない自分である。
むつ科学技術館、良いところだった。
ここに来なければ「むつ」の歴史どころか、日本唯一の原子力船の存在自体も知ることはなかったかもしれない。
動いてみるものだ。
さて、じゃあホテルへ帰ろう。
またしばらく歩いてバス停までいかないとな。
なにせここは市街地から離れているのだから。
さて、時刻は16時半を回った。
2月なのでなんだか暗くもなってきた。
そしてその……バスがないんだけど……?
え……?
歩いて帰るしかないのか……?
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