イチョウのオス・メスとまさかの性転換
東京大学では素晴らしい美しさを見せてくれたイチョウの木。
しかしイチョウにはオスの木とメスの木があることを知っていただろうか?
もちろん自分は知らなかった。
「えっ、植物ってみんな雄しべと雌しべの要素を自前で持っているんじゃないの?雌雄異株?何それ?」って感じである。
ちなみに知ったきっかけは、用務レンジャー氏の記事だ。
相変わらず広範な素晴らしい知識を与えてくれる人である。
現役用務員の知識と技能は凄いのだ。
是非とも用務レンジャー氏の記事をあれこれ読んでみてほしい。
さて、イチョウの木は凄い臭気を放つ実を落とすことで知られているが、そうやって実をつけるのはメスの木だけである。
なのでオスの木だけを植えれば、銀杏の臭いに悩まされることはないのだ。
大阪の御堂筋のイチョウ並木は、徐々にオスの木の割合を増やしているという。(腐食した木とかを植え替える際に)
「最初から全部オスにすれば良かったのでは?」と思わなくもないが、イチョウは種の頃なら容易にオスかメスかの見分けがつくが、若木まで育ってしまうと雌雄の判別が難しいらしい。
「葉っぱの切れ込みでわかる」とか「オスとメスは樹形が違う」とか色々見分ける方法が叫ばれているが、どうも科学的根拠は乏しいとか。
花が咲くレベルまで育って初めて雌雄どちらかがはっきりわかるのだ。
そして更には180年経ってメスになっちゃったイチョウまで出てきた。
山梨県身延町上八木沢のオスのオハツキイチョウは、2011年に突然実をつけたのである。
論文では、「マイクロRNAやらがうんたらで胚珠が出来た……のかなぁ?」
という感じで、明確な結論が出たわけではなさそうだ。
植物の世界もまだまだ奥が深いようである。
ちなみにイチョウではないものの、福井県立大学で「ヒロハノマンテマ」の性別を決める遺伝子を特定したらしい。
世界各国で100年近く研究が続いていたテーマで、進化学上の極めて重要な発見だということだ。
※より詳しい記事は以下を参照↓
いや、しかしだ。
イチョウもこんな感じで雌雄判別の遺伝子が見つかりそうなものだ。
イチョウの遺伝子解析に関しては、「最新の技術で調べたわけじゃないけど、遺伝子は雄雌で同じだと思われます」という記事があったが、それも古いもの(2008年)だし、今は研究が進んでてもおかしくないのでは……?
更に探すと、ソースは東亜日報ではあるものの、イチョウの雌雄区別の技術に関する記事があった。
この記事は、韓国が中国国内でイチョウの雌雄判別方法の特許を取ったという記事である。
記事の日付は2015年。
そして記事内を見ると、すでに韓国はこの技術を2012年に商用化しており、ソウルや大邱(テグ)など、8つの都市、1121株の街路樹の雌の木を、雄の木に取り換えてきたという。
まさかの十分な実績もある技術だった。
既に韓国で解明された研究だから、日本の研究が出てこなかったのか……?
しかしその……
韓国にイチョウあるんだ……。
昔のことだが、「イチョウはヨーロッパでは生きた化石扱いだよ!!」みたいな話を聞いたのを覚えている。
だから、そんなレアなイチョウ目当てなのもあって外国人は日本にやってきているのだろうと、自分は思いこんでいた。
しかし日本のイチョウはそもそも中国から仏教とともに伝わったものであり、野生種は存在しない。
原産国の中国にも当然イチョウはあるし、雌雄判別の方法を発表した韓国も、先述の通りイチョウだらけである。
さらにはヨーロッパでもアメリカでもアラスカでもニュージーランドでも、いまやイチョウは普通に存在するのだ。
イチョウは日本の専売特許ではない。
いやまあ、この記事を読んでいる人には、
「それ今更気づいたの?」と思われてそうだが……
……今さら気づきました……!!
最初は「イチョウっておもしろーー!!」くらいのノリで調べ始めたのに、最後はなんだか自分の知識のアレさに打ちのめされた感がある。
知ることは楽しいけれど、たまにダメージも食らうのだ……。
でも、これからも苦しみながらも知っていきたいと思う。
上野のイチョウはとても綺麗だった。
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