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【つながる旅行記#146】江戸東京たてもの園で高橋是清を感じる

前回は仙台で旧石器時代に思いを馳せた。


そんな帰省途中の旅。

自分はまた東京に寄ることにした。

たどり着いたのは『江戸東京たてもの園』。

昔なつかしの建物がそのまま展示されているミュージアムである。


自分は旅行で権力者が使っていた建物などを見ているうちに、「人の家見るの楽しいな…」という謎の感情が芽生えたのだ。

そしてそんな欲求を満たせる場所があると聞いてやって遥々やってきたというわけ。

園内はなかなかの広さを誇る。

では、お目当ての場所へ向かおう。

これは高橋是清(たかはしこれきよ)邸

青森銀行記念館に行った際、お札に写っていた人物である。

50円札

なんだかすごい人というのはテレビかなにかで知っていたが、しっかりは知らない。この機会に学んでいこう。

建物ができたのは1902年。港区赤坂にあったらしい。

では、早速入っていこう。

靴は袋に入れます。

おぉ……!

壁ではなく襖で仕切られた空間
すごく昔の日本の家って感じだ。

高橋是清がどんな人物かについては、語っていたら記事が何文字になるやらわからない。

凄まじく激動の人生を送り、日本に貢献しまくりだった人である。

ちょっとだけ是清の人生を解説すると……


是清は生後まもなく仙台藩の足軽の家に養子に出され、14歳の頃に勝海舟の息子と一緒に留学に行かされる。

そしてなんやかんやでアメリカ人に騙されて奴隷にされる。(!?)

その後どうにか日本に戻って教壇に立ち、正岡子規秋山真之(のちにバルチック艦隊を撃滅する人)に英語を教えたりしつつ、特許制度を整えたり、事業に失敗してホームレスになったり、日本銀行に入行したりする。

そして日露戦争においては、戦費不足が本気でヤバかった日本をどうにかするため、小村寿太郎が当時の日本銀行副総裁だった是清に戦費調達を依頼。

戦争の勝敗を左右する海外での戦費調達という超重要任務を是清は見事成功させ、日露戦争を勝利に導いた功労者の一人となった。

他にも総理大臣になったりとエピソードは山盛りあるのだが………

なんにせよ、凄まじく濃い人生である。


そしてなんだか写真を見るとめっちゃ優しそうな人に見える。

国民からはダルマさんと呼ばれて愛されていたらしい。

とても信念の強い人でもあったようで、自分が正しいと思ったことはちゃんと言ったとか。


(そのせいで最後は……)


明治のガラス

あ、明治のガラスがあった。

昔のガラスはガラス越しの風景が微妙に歪むのだ。

「今はこういったガラスは作れないから貴重なんだよ」という話をどこかで聞いた覚えがある。そう聞くとただのガラスも有り難みがすごい。

おしゃれなふすま

2階に上がって外を望む。

高橋是清もこんなふうに外の景色を眺めていたのだろうか。

高橋是清はこの二階の部屋で、毎日日記をつけていたらしい。
さらに英字新聞も毎日購読していたとのこと。

さすが歴史に残る偉人は勉強家だな。


・・・


そして、ここが高橋是清の亡くなった場所でもある。


1936年2月26日早朝。

白の寝巻き姿で布団に座っていた是清に、
青年将校が銃弾を6発浴びせ、軍刀で切りつけたのだ。

あの有名な、二・二六事件である。



高橋是清は先述した日露戦争の活躍以外にも、1931年の世界恐慌によって混乱する日本経済をデフレから世界最速で脱出させた経歴を持つ。

そんな大活躍な是清だったが、あるときかなりのインフレが起きる兆候を予見。

そこで是清は当時膨れ上がり続けていた国防予算をどうにか統制し、来たるインフレに対応しようとしたのだ。

「予算は国民所得に応じたものをつくらなければならぬ。

ただ国防のみに遷延して悪性インフレを引き起こし、その信用を破壊するが如きことがあっては、国防も決して牢固となりえない。

自分はなけなしの金を無理算段して、陸海軍に各1000万円の復活は認めた。これ以上は到底出せぬ

高橋是清

是清はそう述べたが、軍の要求は陸海軍各4000万円の軍事費増額
各1000万円なんて額は到底受け入れられるものではなかったのだろう。

こうして軍部の恨みを買った高橋是清は、青年将校によって暗殺されることになるのだ。

日露戦争の英雄である是清に対し、青年将校は「国賊」と吐き捨てた。


そして日本は、第二次世界大戦へと突き進んでいく―――。



高橋是清。
なんという激動の人生だろう。

奴隷という最底辺から国のトップである総理大臣へ。

これを一度の人生で体験した人なんて他にいるのか……?


しかし、その最後はあまりにもむごい。


他人の家で他人の人生を学んだせいか、普段よりもずっと吸収力が高まったような気がする。

しかしあまりにも凄みのある人生すぎて、これは精神に来るものがあるな……。


ここは他の建物でも見て、気分を変えるとしよう。

江戸東京たてもの園は見どころいっぱいだからね!!


空元気を出しつつ、次回へ続く……


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