【つながる旅行記#144】ちょっと銀行へお金と天井を見にいこう【青森銀行記念館】
前回はまさかのりんごカツカレーとニュートンの樹との別れを経験した。
長いこと通ってきたりんご公園だが、こういうこともあるのだ。
……では気分を変えて、また弘前の市街地へ戻ろう。
この建物は青森銀行記念館。
旧第五十九銀行本店本館の建物を利用したお金の資料館だ。
観覧料はリーズナブルに200円。
しかも定期的に無料にもなるらしい。
この建物の施工を行ったのは、弘前藩お抱えの堀江佐吉。
彼は青森の色々な建物に関わっているが、この銀行はその中でも最高傑作と言われているらしい。
なんだか見たこともないお金がめちゃくちゃある。
そういえば稚内のタワーでもお金の展示を見たが、もう忘却の彼方だ。
やはり繰り返し見ないと何も覚えられない脳みそである。
藩札や太政官札、民部省札などもある。
な、なんだっけそれ……?
正直なにかのおふだにしか見えないが、この頃から日本は判子を押しまくりだったのが紙幣からうかがえる。
そして近代化のために明治政府が新紙幣を作るにあたっては、イタリア人に図案や原版の製作をお願いしたらしい。
本当にあらゆる分野で先進国に追いつこうと外国を頼った時代だったんだなと思う。
札幌や十和田の回で登場した新渡戸稲造のお札もあった。
なんだか改めて見ると、お札の左部分の空白になにか書き加えたくなるデザインだな……。
たくさんの紙幣を見ていくと、なんだか明らかに異質なものがあった。
この紙幣、英語が書いてある……?
これは軍票(軍用手票)といい、かつて日本軍が占領地に駐留する際に現地通貨で発行された疑似紙幣らしい。なので額面はルピーとかペソである。
これがまた悲惨なあれこれを生んだらしいのだが、血生臭い話は今回はちょっと回避ということで……。
紙幣以外の展示もちゃんとある。
自分は庭から大判小判がザックザクと出てきてほしいなと思っていたが、どうやら「大判」は家臣への恩賞や朝廷・公家への贈答用に作られた特別なものらしい。
田んぼだらけの自分の田舎では望みは薄そうである。
昭和天皇の在位六十年を記念した10万円の金貨もあった。 欲しい。
なんだこうしてみると硬貨に関しても全然見たことないものばかりだ。
ちなみに新10円金貨は1000~2000円くらいでヤフオクにあった。
(金貨だけど金は少量ってこと……?)
2階に上がると、なんだかすごくお金持ちな雰囲気が漂う空間だった。
ピアノとか置いてそう。
そしてこの銀行の注目要素が、まさかの「天井」らしい。
天井に使われている「金唐革紙(きんからかわがみ)」は、手仕事で17の工程を経て仕上げた凄いものだそうで、機械化されるまでは輸出品として活躍したという。
まあ要するに和紙をあれこれして革っぽく仕上げたものなのだが、かつてヨーロッパでは壁装に皮革を用いたので、金唐革紙はその代用品として重宝されたのだ。
・・・
(ヨーロッパって壁に動物の皮貼ってたの……?)
なんだか由来を聞いてからだとすごくありがたい感じがする……!!
こんなに天井に注目したのは初めてだ。
情報の力って凄い。
さて、それでは別世界も体験したことだし、帰ろうか。
新青森駅でまったりする。
あー、職場に帰りたくない。
いや、帰らなければならない。
こうして旅行するためにもね……。
夕方になって薄暗く感じるフェリーの中で、お菓子を広げる。
この超広いスペースに足も堂々と放り出す。
……やっぱり新幹線と比べて、こういうくつろぎ感がフェリーは最高だと思うのだ。(片道4時間かかるけど)
窓を見たら撮影会が始まっていた。
友達同士で旅をしているのだろう。すごく楽しそうだ。
ああいう旅もいつかしてみたい…………か?
いや、やっぱり自分は一人旅が気楽なんだよな、と思いつつ、
気づけば函館に降り立っていた。
何度目かわからない青森旅はもう終わったのだ。
今回も楽しかった。
あぁ……
早く休みが欲しいなあ……!!
なんだかもうすでに挫けそうになりつつ、次回へ続く……