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旧国道50号線沿い 。81歳のおばあちゃんが40年以上ひとりで握ってきた優しい優しいおむすび(前編)

【1249むすび】おおくらや(筑西市)鮭
《連続1692日目!》


おむすびの出店ブームが続いている。
ここ1~2年の間に全国で200軒もの店がオープンしたらしい。
東京都内でも1年間で60軒ものお店がオープンしている。

物価高が進む中でお米の価格が安定していることや、海外からの訪日客がおむすびを食べに来てくれるなどいろいろな要因が考えられる。

今までにないような華やかな見た目だったり・・
考えられないような高級な具材だったり・・
本当に様々なおむすびを見かけるようにもなった。


それ自体は歓迎すべきことである。
まだまだ、おむすび屋さんは少ないものだし、パン屋やラーメン屋みたいにもっともっと増えてもいいはずだ。


でも、ブームの中で忘れてはいけないこともある。



日本を代表する文豪 太宰治は、有名な斜陽の中でこのように語っていた。

「おむすびがどうしておいしいのか、知っていますか。あれはね、人間の指で、握りしめて作るからですよ。」

おむすびの本質がこの50文字にも満たない言葉の中で表現されていると思う。

おむすびは、人の手から人の手へ渡っていく食べ物だ。
その中には、美味しさだけでなく作り手や食べ手の想いも入っているし、だからこそ長く愛されていく食べ物なのだ。

どんなにブームになっても、このことは大切にしていきたい。





茨城県の筑西市、旧国道50号線沿いに2本ののぼりが立っていた。
そののぼりには「おにぎり」「営業中」と書かれている。

これがこのお店が営業している"しるし"らしい。




味がある。
という表現が合っているかわからないけれど・・
かなり年季の入った店構えのおむすび屋さんが、そこにはあった。

その名前は「おおくらや」

知り合いから美味しいおむすび屋さんが茨城にあると聞いて、それからずっと訪問したかったお店だ。




カラカラカラ~
ごめんくださいー

お店の中は、セピア色という表現がぴったりするような、かなり昭和レトロな雰囲気だ。

「ようこそ。いらっしゃい」

どうやら、おばあちゃんがひとりでお店をやっているみたいだ。


カウンターの上には作りおきのおにぎりはなく、注文してから握ってくれるスタイルみたいだ。

厚紙にマジックで具が書いてあった。

しゃけ
たらこ
おかか
うめ
こんぶ
ごま
シーチキン
まぜごはん


いわゆる定番のおむすびの具が並んでいる。
(焼きおにぎりは、やっていないとのこと)


最近のおむすびブームの影響で、トリュフだとかローストビーフだとか高級な具を入れたおむすびなんかも出てきている。
そういうのもたまにはありだと思うけれど、注文するときに緊張してしまう。


そう考えると、定番の具はその名前を見ただけでほっとできるよなあ。

でも、この中から選ぶとなると…

悩むよなあ。
なににしようかな。

うーん。



どの具がオススメなのか、おばあちゃんに聞いてみた。


「そうね。鮭は毎日、焼いているのよ」

それだ!

これまで、1200以上のリポートを含め、2000種類以上のおむすびを食べてきている。
おむすびを選ぶのに迷うことも多々ある。

そんな時は「鮭」を注文するのが良いの法則があったんだ。

鮭おにぎりは、焼いたり、ほぐしたり、フレークだったりといろいろなタイプがある。梅や昆布など他の具材に比べて手間をかけると美味しいものができる具材でもある。

だから、鮭おむすびが美味しいと、他のおむすびも美味しいというのがあてはまるんだ。



お店の中には、出来立てのおむすびが食べられるイートインスペースもあった。

年季は入っているけれど、清潔感はある。
席に着くと不思議と心が落ち着いた。


「お待たせ」

しばらく待っていたら、大きな三角形のおむすびが運ばれてきた。

熱々でふっくらした感じが、おむすびを持った手からも伝わってくる。


いただきまーす!


がぶっ。

はふはふ。

うわぁ。旨い!

お米がとても甘くて。
米粒ひとつひとつが潰れないように、ふんわりと握られている。


このお米は、おばあちゃんの親戚がこのお店の近くの田んぼで作っているコシヒカリ。お店の裏を流れる小貝川が米づくりに適した土壌にしているらしい。

「米だけは本当に美味しいのよ」

美味しいお米があったから、40年以上前におむすび屋さんを始めたと、おばあちゃんは笑顔で話ししてくれた。


なるほど。

でも、美味しいのはお米のおかげだけではない。

例えば、塩加減。
しっかりとまんべんなく表面に塩がまぶしてあって、それがまたいい感じに利いている。

うんうん、旨い。

そして、中には甘塩の鮭がたっぷり。
これがまたお米と合って美味しいのだ。

この鮭は、毎日おばあちゃんが焼いて、丁寧に丁寧にほぐしているとのこと。

作り手の優しさが伝わってくる。


しかも、これで120円!

開業した43年前が100円だったらしく、それからほとんど価格を変えていないらしい。

今は値上がりの時代だ。
コンビニおにぎりだって200円近くするようになった。

それなのに、この大きさでこの美味しさでこの価格。
これはもう、感服するしかない。


茨城旧国道50号線沿い 。
81歳のおばあちゃんが40年以上ひとりで握ってきた、優しさがいっぱい詰まったおむすび。


ご馳走たまでした!




そして・・
なぜこの場所でおむすび屋さんを開いたのか、なぜずっと続けているのか、そして美味しいおむすびの秘密などをおばあちゃんに聞くことにした。

(後編に続く)
↓よろしければ、ぜひお読みください〜




秩父の味噌ポテト屋のおばあちゃんの話もおかわりどうぞ。


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ハスつか
ファンベースデザイナー、地域創生プロデューサーなどしてます。 おむすびnoteを毎日書いてたり、浦和レッズを応援したり… みんなが、好きなこと、応援したいことを素直に言える世の中にしたいなあ。 皆さんと、いろいろなコラボをしたいです! ぜひぜひご連絡ください!