辻元よしふみ

服飾史・軍装史研究家。陸上自衛隊需品学校部外講師。陸自の新型制服(16式常装など)制定に関わり、陸上幕僚長感謝状を授与。『図説 戦争と軍服の歴史』(河出書房新社)『軍装・服飾史カラー図鑑』(イカロス出版)など著書多数。「美の壺」「ヒューマニエンス」(いずれもNHK)などに出演。

辻元よしふみ

服飾史・軍装史研究家。陸上自衛隊需品学校部外講師。陸自の新型制服(16式常装など)制定に関わり、陸上幕僚長感謝状を授与。『図説 戦争と軍服の歴史』(河出書房新社)『軍装・服飾史カラー図鑑』(イカロス出版)など著書多数。「美の壺」「ヒューマニエンス」(いずれもNHK)などに出演。

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スーツ=軍服!? 1回目

『スーツ=軍服!? スーツ・ファッションはミリタリー・ファッションの末裔だった』改訂版  辻元よしふみ、辻元玲子 著 ※これは、2008年3月10日に彩流社から初版が刊行された同名書籍の改訂版です。この書籍は現在も絶版はしていないものの、版元さんの事情もあって、事実上は再版未定となっています。 しかし刊行当時から評判がよく、今でもこの本を基に取材のご依頼があったり、Wikipediaの出典や、ネット記事、YouTubeなどで引用されたりしております。2021年6月にも、日本

    • 『スーツ=軍服⁉』(改訂版)第116回(最終回)

      『スーツ=軍服⁉』(改訂版)連載116回(最終回)辻元よしふみ、辻元玲子   ※本連載は、2008年刊行の書籍の改訂版です。無料公開中につき、出典や参考文献、索引などのサービスは一切、致しませんのでご了承ください。 ◆「軍人は傘を差してはならない」 雨傘の本場といえば、雨の多い英国である。英国紳士は十九世紀後半から、ステッキの代わりに傘を携行するようになった。雨傘は英語でアンブレラだが、これはラテン語で影を示すウンブラumbraが語源とか。つまり、元々は雨用の傘ではなく、

      • 『スーツ=軍服⁉』(改訂版)第115回

        『スーツ=軍服⁉』(改訂版)連載115回 辻元よしふみ、辻元玲子   ※本連載は、2008年刊行の書籍の改訂版です。無料公開中につき、出典や参考文献、索引などのサービスは一切、致しませんのでご了承ください。 ◆三菱グループと無関係の三菱鉛筆  ファッション関連からいうと少し外れるかもしれないが、洒落者には必携の小道具、筆記用具の話を二、三しよう。どんなに日常のビジネスではスマートフォンやタブレットといった電子機器を活用していても、最後の正式な署名にはクラシックな万年筆、と

        • 『スーツ=軍服⁉』(改訂版)第114回

          『スーツ=軍服⁉』(改訂版)連載114回 辻元よしふみ、辻元玲子   ※本連載は、2008年刊行の書籍の改訂版です。無料公開中につき、出典や参考文献、索引などのサービスは一切、致しませんのでご了承ください。 第十一 サングラスと眼鏡、万年筆、傘の章 ◆眼鏡はフランシスコ・ザビエルが日本に持ち込んだ 眼鏡という物はすでに十三世紀後半にイタリアで発明され、一五五一年には戦国時代の日本に宣教師フランシスコ・ザビエルが持って来たという。徳川家康なども老眼鏡の愛用者だった。 十八

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          『スーツ=軍服⁉』(改訂版)第113回

          『スーツ=軍服⁉』(改訂版)連載113回 辻元よしふみ、辻元玲子   ※本連載は、2008年刊行の書籍の改訂版です。無料公開中につき、出典や参考文献、索引などのサービスは一切、致しませんのでご了承ください。 ◆航空機と世界大戦が普及させた腕時計 一九〇〇年代はじめ、初期の飛行家として有名なブラジル人、アルベルト・サントス・デュモン(一八七三~一九三二)の依頼により、パリの宝石商カルティエが腕に装着できる時計サントスを開発する。現代型の腕時計はまず航空時計として発祥したこと

          『スーツ=軍服⁉』(改訂版)第113回

          『スーツ=軍服⁉』(改訂版)第112回

          『スーツ=軍服⁉』(改訂版)連載112回 辻元よしふみ、辻元玲子   ※本連載は、2008年刊行の書籍の改訂版です。無料公開中につき、出典や参考文献、索引などのサービスは一切、致しませんのでご了承ください。 十、時計の章 ◆最初の懐中時計はヘンリー八世か 紳士服のルーツの起源を求める本書の最後に、ミリタリー・オリジンのもう一つの典型として、腕時計の歴史にも触れておこうと思う。今や、時間を知るためだけの道具なら、携帯電話で十分であり、腕時計というものも嗜好品とか、アクセサ

          『スーツ=軍服⁉』(改訂版)第112回

          『スーツ=軍服⁉』(改訂版)第111回

          『スーツ=軍服⁉』(改訂版)連載111回 辻元よしふみ、辻元玲子   ※本連載は、2008年刊行の書籍の改訂版です。無料公開中につき、出典や参考文献、索引などのサービスは一切、致しませんのでご了承ください。 ◆エリートのための熊毛帽、貴族のためのパパーハ帽 冬場となれば防寒用の帽子も出番となる。 特に毛皮の帽子となると、先ほども挙げたが、ウズベキスタンの民族帽チョギルマからオスマン・トルコ軍経由で広まったカルパック帽が有名だ。 カルパックとはトルコ語で皮帽子の意味で、十八

          『スーツ=軍服⁉』(改訂版)第111回

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          『スーツ=軍服⁉』(改訂版)連載110回 辻元よしふみ、辻元玲子   ※本連載は、2008年刊行の書籍の改訂版です。無料公開中につき、出典や参考文献、索引などのサービスは一切、致しませんのでご了承ください。 ③シルクハットの時代 ◆さまざまな帽子が出そろう十九世紀後半 ナポレオンが好んだ二角帽は、軍隊では十九世紀半ばまでに官帽子などに座を譲って、特殊な儀式などの大礼帽となった。また、折りたためば携帯できるその形状から、舟形帽(ドイツ語でシフヒェン。英語ではギャリソン・キ

          『スーツ=軍服⁉』(改訂版)第110回

          『スーツ=軍服⁉』(改訂版)第109回

          『スーツ=軍服⁉』(改訂版)連載109回 辻元よしふみ、辻元玲子   ※本連載は、2008年刊行の書籍の改訂版です。無料公開中につき、出典や参考文献、索引などのサービスは一切、致しませんのでご了承ください。 ◆現代的な「官帽」の成立 そして、この時代(十九世紀初め)の帽子で見逃せないのが、現代の各国軍人や警察官、日本の自衛官、鉄道の職員などが被るいわゆる「官帽子」あるいは「官帽」である。英語圏ではコンビネーション・キャップ、ピークド・キャップなど。あるいは米国などではホイ

          『スーツ=軍服⁉』(改訂版)第109回

          『スーツ=軍服⁉』(改訂版)第108回

          『スーツ=軍服⁉』(改訂版)連載108回 辻元よしふみ、辻元玲子   ※本連載は、2008年刊行の書籍の改訂版です。無料公開中につき、出典や参考文献、索引などのサービスは一切、致しませんのでご了承ください。 ◆古代から続く敬礼の歴史 ネルソン時代のボーター帽と、軍隊や警察などで今日でも使われる挙手の敬礼(ハンド・サリュート)にはかかわりがある。 右手を挙げ、肘を曲げて、帽子のつばにふれるような形で静止する敬礼は、古くは古代ローマの風習に起源があるという。暗殺が頻発した時代

          『スーツ=軍服⁉』(改訂版)第108回

          『スーツ=軍服⁉』(改訂版)第107回

          『スーツ=軍服⁉』(改訂版)連載107回 辻元よしふみ、辻元玲子   ※本連載は、2008年刊行の書籍の改訂版です。無料公開中につき、出典や参考文献、索引などのサービスは一切、致しませんのでご了承ください。 ②敬礼と脱帽の歴史 ◆ネルソン提督のボーター帽 十九世紀の水兵帽としては、ネルソン提督が部下の英国海軍水兵の制帽として麦わら帽を採用した。水兵帽なのでボーター(船乗り用)と呼ばれた。いわゆるカンカン帽である。十九世紀末まで、日本海軍を始め、各国海軍の水兵は夏場に麦わ

          『スーツ=軍服⁉』(改訂版)第107回

          『スーツ=軍服⁉』(改訂版)第106回

          『スーツ=軍服⁉』(改訂版)連載106回 辻元よしふみ、辻元玲子   ※本連載は、2008年刊行の書籍の改訂版です。無料公開中につき、出典や参考文献、索引などのサービスは一切、致しませんのでご了承ください。 ◆軍帽から生まれたさまざまな様式 三角帽は身分階級にはあまりかかわりなく、また軍人でなく民間人もかぶったが、二角帽は主に将校用だった。ナポレオンが一八〇三年以後、新式の軍帽として筒型のシャコー帽を採用すると、その傾向はますます強まり、二角帽は上級の将官や高級将校、およ

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          『スーツ=軍服⁉』(改訂版)第105回

          『スーツ=軍服⁉』(改訂版)連載105回 辻元よしふみ、辻元玲子   ※本連載は、2008年刊行の書籍の改訂版です。無料公開中につき、出典や参考文献、索引などのサービスは一切、致しませんのでご了承ください。 ◆三角帽、そして二角帽に変化 さて、巨大なハットはいかにも洒脱で見栄えは良かったが、その後、マスケット銃の使用が急速に広まると、大きなつばがいかにも邪魔になってくる。特に前装式の当時の銃では、弾丸を込め、火薬を押し込んで搠杖という付属の棒で押し込まなければならない。ま

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          『スーツ=軍服⁉』(改訂版)第104回

          『スーツ=軍服⁉』(改訂版)連載104回 辻元よしふみ、辻元玲子   ※本連載は、2008年刊行の書籍の改訂版です。無料公開中につき、出典や参考文献、索引などのサービスは一切、致しませんのでご了承ください。 ◆王様のハゲ隠しから二百年も流行したカツラ 帽子を取り上げるついでに、その下にある男性の髪型についてもふれておくと、ギリシャ人やローマ人は短髪を好んだ。特にローマ人は短髪主義で、ギリシャ人は髭を好んだが、ローマ人は通常、髭も伸ばさなかった。 しかしそれ以後、ゲルマン人

          『スーツ=軍服⁉』(改訂版)第104回

          『スーツ=軍服⁉』(改訂版)第103回

          『スーツ=軍服⁉』(改訂版)連載103回 辻元よしふみ、辻元玲子   ※本連載は、2008年刊行の書籍の改訂版です。無料公開中につき、出典や参考文献、索引などのサービスは一切、致しませんのでご了承ください。 九、帽子の章  ①二角帽までの時代  ◆フードの「ターバン巻き」が流行った中世  帽子は、他のものにも増して遺物が少ない。記録もなく、歴史的経緯をたどるにしても、憶測の要素を差し挟むしかない部分も多い。  とはいうものの、ごく古い時代の人類にとって、ヘッドギアは防風

          『スーツ=軍服⁉』(改訂版)第103回

          『スーツ=軍服⁉』(改訂版)第102回

          『スーツ=軍服⁉』(改訂版)連載102回 辻元よしふみ、辻元玲子   ※本連載は、2008年刊行の書籍の改訂版です。無料公開中につき、出典や参考文献、索引などのサービスは一切、致しませんのでご了承ください。 ③金属製のトランク ◆月に行った「ゼロハリ」と、ドイツ空軍仕様の「リモワ」 金属製のトランクといって、多くの人がすぐに思い浮かべるのは、アメリカのゼロ・ハリバートンだろう。一九六九年に人類初の月面着陸を成し遂げたアポロ十一号クルーが携行した事で有名だ。月面の石などの

          『スーツ=軍服⁉』(改訂版)第102回