【ヒストリエ12巻発売】今こそヒストリエ読もう!という記事
「ヒストリエ」ほんとマジめちゃくちゃ面白いから、読んだ方がいい!って人にお薦めしたいお気持ち注意報、発令中。
パッと見で、歴史物だからって避けている人、絶対いると思うんだよな。舞台はギリシャ、紀元前、主人公は「エウメネス」、、誰やねんて。
そう思うの分かるけど、大丈夫だからそこは。。俺、歴史物好きじゃないし、世界史知らないし、片仮名の名前ぜんぜん覚えられないけど、面白いから。。(知ってたら楽しめる要素もいっぱいあるので、歴史本も読みたくなるよ!)
ほんと、読むと人生の得だから全人類にお薦めしたい。だけど、最低限グロの耐性が必要だろうな。というか、グロに多少フェチがあった方がいい。
「寄生獣」がリトマス紙になるから、読んでないならそっちも読んでね。傑作だから。究極、ネトフリでアニメ版見て。漫画の方がいいけど、アニメなら見れるって人はそうして。岩明均を知って。
で、ヒストリエ、まずは3巻まで読んで欲しい。一つ大きな見せ場がある。
以下、内容のネタバレはほぼしないけど、オモバレ(面白い要素バレ)します。
俺、この作品、最初は「歴史物」だと思ってたんだよな。
史実に基づいてるような語りをするし、実際、未詳の部分以外は、割と史実に沿っているんだよ。人物の名前や時系列、主な戦乱の流れとかも。
けど、実は、史実って、物語におけるピースの一つでしかなくて、神話とか別の物語要素が紛れ込んでキメラ状態になってる。
ヒストリエは歴史を基にした二次創作であって、解釈遊びなんだと思う。それが面白いんだよ。付け足し、拡大解釈、習合が基本にあって、奇妙な歴史観が生まれている。
歴史のWikipedia、見てもネタバレにならない。むしろ補助線として良いくらい。
で、この漫画そもそも「伝奇もの」だわ。ずっと変な感じがあったけど、12巻まで読んでようやくクッキリした。
岩明均漫画の典型。「寄生獣」や「七夕の国」と同じ。日常の裏で、何だか変な事が起きている、あの感じ。歴史の裏側で奇妙で不気味な事が起きている、このゾワゾワ感。
今最高に高まっている。この漫画今始まってる。
でさ、「歴史物」って聞くと、つい”戦乱記”を想像してしまうんだけど(歴史で記録されるのは騒乱・政変が多いから)「ヒストリエ」では、それ自体は描きつつ、力点がそこにないんだよな。
岩明均の基本スタンスなんじゃないかと思う。「へウレーカ」って作品でも語られていたけど、戦うとか征服とかより「もっと他にやる事ないのかぁ?」なんだよ。歴史を見たらまさにわかる。全員死ぬんだよ。じゃあ、物作りにハマったり、好きな人とお出かけしたいじゃん。戦いは、自分の身の回りが守る為だけで十分なんだよ。
「ヒストリエ」でも戦闘シーンってしばしばあるけど、最も心動かされるのは、何かに勝利する瞬間、ではないんだよな。愛する者を見つめる「眼差し」であったり、触れる「手」であったり、差し出す「言葉」で、人の心の芯が出る瞬間。
簡単に言えば、ロマンスだったり、家族愛だったり。それが歴史の動きよりも重視されていると思う。
で、人情が大事な作品であるにも関わらず、主人公の「エウメネス」ってやつが、情が深そうに見えない。これが良い。
周りの男たちはガツガツしてるんだけど、エウメネスはいつも何考えてんだかわかんない顔してる。
一見すると草食系とも見えるか? 権力にも興味がない。本が読めたらそれでいい。旅に出るのは嫌いではない。物語の憧れの主人公みたいだから。そんな感じ。
なのに、戦闘能力がめちゃくちゃ高い。ここは王道というか、漫画ポイント高いよね。積極的に戦いはしないけど、障害があるなら薙ぎ倒すマンだよ。それってヒーローじゃん?そうだよ。英雄譚の側面はある。
けど、”名誉”は得た瞬間にポイと捨てて、またきっと旅に出る。旅をし続ける物語だと思う。
読んでくれ。実は、細かいところは気にしないでいい漫画だから。
以上。