東京外国語大学出版会|TUFS PRESS
東京外国語大学出版会から刊行した書籍の一部を公開しています。各書の雰囲気をご覧ください。
激動する香港、「転がる石」に何が起きたのか――。 誰かによって、声高に表明されることのない、 人々の日常に刻印された記憶 2019年以降の急激な政治変動の中で、偶然に、あるいは不可避的に生起し、人々の感情を強く喚起したさまざまなポピュラー文化。 その生成の背景を、内的な文脈に基づいて読み解くことで、危機の時代の香港社会が抱えていた課題、決して声高に語られることのない「空白部分」が鮮やかに浮かび上がる。 「はじめに」の冒頭を公開します。 はじめに――香港危機の残響「香港
学内2箇所で書籍を販売 2024年7月28日、オープンキャンパス(学部進学説明会)が開催され、たくさんの高校生や保護者が来場しました。多数の説明会や相談会、交流会が行われるなかで、外大生協購買書籍部と、研究講義棟1階ガレリアに設置された外大生協の出張販売所の一角で、東京外国語大学出版会の本を販売しました。 一部は割引で販売 出張販売所では57タイトルを並べました。そのうち、受験生におすすめしたい以下の8タイトルを、当日限定の特別価格として10%引きで販売しました。「英作
取り上げられた書籍と当日の模様 2023年11月、「トランスギャルド叢書」創刊時に刊行した2冊のうちの1冊、『それぞれの戦い――エミー・バル=ヘニングス、クレア・ゴル、エルゼ・リューテル』の書評会が、2024年6月28日に行われました。 本書は、1970年代の女性運動の影響を受けたドイツの作家アンナ・ラインスベルクが、1920年代の3人の女性アヴァンギャルド芸術家の「戦いの軌跡」を、自身を重ねながら描写した小説です。 書評会では最初に、本書の訳者である西岡あかね先
紹介した刊行物と展示内容 附属図書館の展示スペースで出版会の刊行物を紹介する、図書館と出版会の共同企画の第二回として、読書冊子「pieria」2024年春号関連展示を、2024年4月5日から5月10日まで開催しました。 毎号、特集に合わせて、ブックデザイナーの細野綾子さんがデザインする表紙が好評です。本展では歴代の「pieria」の表紙を展示しました。 2024年春号の特集「気候変動と人の営み」からは、執筆者である久米順子先生、武内進一先生、千葉敏之先生が記事内
紹介した書籍と展示内容 2024年3月1日から3月16日まで、東京都府中市にあるマルジナリア書店で、前年12月25日に出版会から刊行した『ウクライナの装飾文様』の原書展を行いました。 『ウクライナの装飾文様』は、ロシア帝国の御用画家だったミコラ・サモーキシュによる、故郷ウクライナの刺繡のスケッチをまとめた画集の複製です。原書は1902年にプラハで、のちにハルキウとサンクトペテルブルクで刊行されました。それぞれの絵がカードになっており、一枚一枚飾ることができるように作
紹介した書籍と展示内容 2024年1月16日から2月22日まで、東京外国語大学附属図書館の展示スペースにおいて、前年12月25日に出版会から刊行した『ウクライナの装飾文様』の刊行記念展示を行いました。 『ウクライナの装飾文様』は、ロシア帝国の御用画家だったミコラ・サモーキシュによる、故郷ウクライナの刺繡のスケッチをまとめた画集の複製です。原書は1902年にプラハで、のちにハルキウとサンクトペテルブルクで刊行されました。それぞれの絵がカードになっており、一枚一枚飾るこ
刺繍が物語る地域と歴史 帝国の画家が描きとめた故郷の花文様のアルバム 1902年にプラハで、のちにハルキウとサンクトペテルブルクで再刊された、古い刺繍の文様のスケッチ40点をまとめたアルバムです。 これを描いたミコラ・サモーキシュ(1860-1944)は、故郷・ウクライナの文様を写し取る一方、ロマノフ朝の御用画家でもありました。 サモーキシュの生涯を繙き、ナショナリズムが芽生えていった時代について考える解説を付けて、このアルバムを複製しました。 本書から「はじめに」と
著者は東京外国語大学の卒業生で、本書は2020年度に提出された卒業制作を書籍化したものです。 留学先のガーナで、埼玉県のフィールドで、著者は“理想の家族像”を揺さぶられ続けました。その時々の思いや、ガーナの風習を、瑞々しいタッチで綴っています。 現地らしい調理の場面から、フィールドワークをする思いを語った「なんでふたをあけないの?」を公開します。 ◇ ◇ ◇ なんでふたをあけないの?「ジョロフライス(ピリ辛トマトの炊き込みごはん)って難しいのよ。間違えるとすぐ
一九二〇年代、ドイツ語圏で活動した三人の女性アヴァンギャルド芸術家 二十世紀初頭に始まった女性解放の動きに呼応するかのように、女性の伝統的生活領域を踏み越えていった三人の女性作家たち。――それぞれの戦いの軌跡。 彼女たちは常に旅の途上にあり、自分自身の体験を語るための言葉を探し続けた。現代ドイツの女性作家ラインスベルクが、男性が書いた「文学史」への批判を込めて、とぎれとぎれの、錯綜する女性たちの声をたどり、彼女たちの痛みと貧しさ、孤独、そしてすべてを越えて生きのびようとす
メディシス賞受賞作家マリー・ダリュセックによる渾身の「伝記」=オートフィクション 激しい生命の炎を燃焼し尽くした、夭折の女性画家の生涯を、現代フランス文学を代表する作家ダリュセックが、研ぎ澄まされた文体で描く。男性のまなざしの外にある女性の姿が、そこに浮かび上がる――。 ドイツ近代絵画史において独特の「輝き」を放つパウラ・M・ベッカーは、歴史上初めて、裸体の自画像を描いた女性画家としても知られ、七百点を超えるポートレート、風景画、静物画などを遺した。長く美術の歴史において
東京外国語大学は2023年、建学から150年を迎えました。 言語を礎に、世界各地の政治、経済、文化など多岐にわたる分野の教育・研究機関として紡がれてきたその歴史は、つねに日本を取り巻く国際情勢の変化とともにありました。 東京外国語大学文書館が保管する史資料や聞き取り調査から記述される本書から、「はじめに」を公開します。 ◇ ◇ ◇ はじめに 一八七三(明治六)年、東京外国語学校が建学された。本書は、この建学の年から起算して一五〇年目に当たることを記念し、『東京外
植民地、独立、国家形成、ポピュリズム、軍事政権、米国の介入、新自由主義、左傾化、民主制の後退、専制の台頭—— ラテンアメリカ諸国は非常に類似した経験を共有しており、しかし同時に、これまで各国が示してきた政治的特徴は極めて多様である。 複雑に絡み合う国際社会との関係、歴史の変遷を丁寧に読み解き、先植民地期から現代まで日本や欧米諸国などと対比しつつ、ラテンアメリカ政治史の全体像を俯瞰する、新しい概説書。 本書から、著者による「この本について」の一部と、「第1章 ラテンアメリカ
恣意的に名指された「テロリスト」の実像 〈9・11〉以降、米国をはじめとする国際社会が推し進めてきた「テロとの戦い」において、主要な標的として存在し続けるイスラーム過激派。その思考・行動様式のあり方は、絶えず変貌を遂げている。 長年にわたる網羅的な情報収集と定性的な分析、現地主義に徹した研究手法とリテラシーを駆使して、変容の実態に迫る。 本書から、著者による「はじめに」を公開します。 ◇ ◇ ◇ はじめに 二〇〇一年にアメリカのジョージ・W・ブッシュ大統領(
1945年、シベリア。 「日本軍」として捕らえられ、抑留された朝鮮人青年たちは―― 旧「日本軍」兵士としてソ連軍に武装解除され、シベリアに抑留されたなかには、朝鮮出身者も含まれていました。彼らが抑留されている間に、朝鮮半島は南北に分断されました。南側出身の人々は、命からがら38度線を越えて故郷へと帰りました。 『朝鮮人シベリア抑留――私は日本軍・人民軍・国軍だった』は、韓国でもその存在をあまり知られることがなかった朝鮮人シベリア抑留者たちのインタビューなどから、東アジ
9.11から20年間、ムスリムたちの素顔――。 「9.11」という悲劇的な事件の直後から、アメリカに暮らすムスリム(イスラーム教徒)に対する差別的な行為が急激に増加した。 アメリカ人ムスリムに焦点を当て、日常を捉え続けてきた、記録写真家リック・ロカモラによる日本初の写真集。アメリカのムスリムとアイデンティティをテーマとして論じたエッセイや解説を収録。 本書から、監修・編著者による「はじめに」の一部と、写真家による「刊行によせて」からメッセージの抜粋を公開します。 はじ
ヘンリー・ミラー、カフカ、クレマン・ロセ、ジッド、フォークナー、フロム、鈴木大拙、サルトル、ハイデガー、ユグナン、ヘミングウェイ、カザンザキス、トマス・ウルフ、ニーチェ、チャップリン、モーム、サローヤン、イヴォ・アンドリッチ、アポリネール、禅……。 近代西欧の文学・思想の批評を通じて、自身の内なる〈生〉の炎を燃え上がらせる若き詩人思想家ファム・コン・ティエン(1941-2011)の苦悶と覚醒の記録。『新しい意識』は、ベトナム戦争下の1964年に刊行され、ベトナムの若者たちの