会紙『だめライフ』第2号オンライン版(2023年12月22日発行)
はじめに
会紙『だめライフ』は、当会の活動報告に加え「だめ」に関することを幅広く取り上げます。月刊の予定です。
紙版はイベント開催時に配布しています。PDF版は以下でダウンロードできます。いずれも内容はオンライン版と同じです。
CEFR-Jリーディングテスト顛末
受験「強制ではない」と釈明
一〇月六日と一一月二七日の通知で、東外大教務課は二〇二四年一月二九日~二月二日にかけて「CEFR-Jリーディングテスト」全学実施を発表し、言語文化学部、国際社会学部の全学生の受験を命じた。これは東外大が開発した二七言語の「レベル別にことばを使って何が出来るかを測るパフォーマンステスト」で、今実施はテストの品質検証のため、学生を実験台として動員するものである。専攻言語・入学年度ごとに異なる受験日程は、東外大が一方的に決定し「正当な理由」なしに日程は変更できないとした。「正当な理由」に含まれるのは「履修・就職活動」等、アルバイトは「自己都合」にあたり含まれないという。受験できない場合には、別途オンラインフォームに連絡することが求められた。
成績や単位に反映されないにもかかわらず、全員受験を義務付けるかのような通知に対し、学生による批判・問い合わせが行われ、一一月三〇日、教務課は「全学受験は教授会決定だが、学生への協力のお願いであり、強制ではない」と釈明した。
社説
大学では本来、必修を除けば、何を学ぶかは学生の選択に任されるものだ。大学の開発したテストだからといって、学生を強制的に動員するのは大学のあり方を損なう。学生を実験台にするなら、むしろ大学は学生に報酬を払うべきだろう。教務課の釈明は当然だ。
加えて、アルバイトを「自己都合」として「正当な理由」から排除したことは、東外大の謳う「多文化共生」について、当の教授会が全く理解していないことを明らかにしている。少なくない学生が困窮のために、やむを得ずアルバイトをしている。アルバイト先の労使関係を考慮すれば、日程調整が簡単でないことは容易に想像がつく。学生にとってアルバイトはもはや「自己都合」ではなく、生きるために不可欠なことなのだ。足元の学生にさえ想像が及ばない教授たちに、世界中の人々と共生することなどできるのだろうか。
本来強制ではないテストを、高圧的な態度であたかも強制であるかのように通知するのは、大学・学生間の信頼を損なう不誠実な行為だ。東外大は学生への不誠実と無理解を謝罪し、アルバイトでも日程変更を認めるなど、学生に配慮した環境を整えるべきだ。
今回、この釈明がかちとられたのは、学生一人一人による問い合わせの成果である。大学に対する疑問・質問は、何でも問い合わせることが重要だ。しかし、一人で立ち向かうのは心細い。可能な限り大学とのやりとりを学生間で共有し、団結して交渉していくことが一つの解決策である。
第一回「だめ茶会」報告
一一月三日、東外大府中キャンパスにて、当会主催の第一回「だめ茶会」が開催された。『だめライフ』創刊号の配布も行われた。異なる学年、専攻地域の学生が参加した。他地域の学生と交流する機会は多くないので、有意義だったと思う。色々なことが話題になったが、ここで取り上げたいのは「東外大生から奪われたもの」についてだ。参加者によると三つある。
一つ目は「アゴラ・グローバル個室ブース」だ。コロナ禍以降、封鎖されたままになっている。以前は学生やサークルなどが広く利用していたという。ただでさえアゴラは混雑が激しい。このスペースを封鎖したままにするのは不可解だ。
二つ目は「アゴラ・グローバル前ベンチ」だ。現在では、手すりつきのいわゆる「排除ベンチ」になっているが、かつては手すりがなかったことが確認できる。排除ベンチの問題はすでに広く取り上げられているが、あろうことか「共生」を謳う東外大がそれに加担しているのだ。学生・利用者から寝そべる権利を奪う東外大の姿勢は「だめライフ」とも「共生」とも相容れない。
三つ目は「図書館無料プリンター」だ。かつて、図書館四階のプリンターは無料で使用できたが、コロナ禍以前のある時期から有料化されたそうだ。今となっては大学の意図は確かめられないが、オンライン化が進んだとはいえ、いまだにプリンターが必要になる場面は多い。ここで問題なのは「逆進性」だ。例えば、授業用文書を印刷するとき、学生は貧富に関わらず同じ料金を払う。すると、貧しい学生の収入に対する印刷代負担率は裕福な学生よりも高くなる。これが「逆進性」で、消費税にも同じ問題がある。つまり、印刷に関して貧しい学生は不利であり、満足に文書を印刷できない場合、成績に影響が及ぶ可能性もある。こうした格差を軽減するために、無料の印刷サービスは有効だったはずだ。
これらはいずれも、学生生活の質を向上させるために重要な問題だ。コロナ禍で学年を越えた交流が断絶した結果、こうした問題は忘れられる傾向にあった。「だめ茶会」を通じて、これらの問題を異学年で共有できたことは大きな成果だと思う。
【寄稿】だめライフが作るだめじゃないライフ
日本大学文理学部 ぽむ
大学生なら知っているかもしれないだめライフ愛好会。ここ最近になって活動も表目立つようになってきており、だめライフ愛好会勢力の拡大を身をもって感じている。
だめライフ愛好会の存在意義は上記引用より「だめがだめでいられる場所」を守ることにある。また、だめライフ愛好会の活動はだめ人間同士の交流、だめ人間を排他する社会への風刺など、Twitterで「だめライフ愛好会」と調べれば簡単に出てくる。そんなだめ人間のためにだめ人間が活動をしている「だめライフ愛好会」は世の中のだめ人間から支持を集め続けている。
少しだけ自分語りをしたい。11月5日に本大学のだめライフ愛好会が喫煙所で開いたフリーシーシャ会では多くの大学生の支持を得ていた。勿論筆者も一時間ほどフリーシーシャ会に居座らせてもらったわけだが、シーシャと他大学だめライフ愛好会のおかげで楽しい談笑が出来たように思う。毎日希死念慮と戦っている鬱屈人間の筆者には少しだけ生きる希望が湧き、その後筆者が入れていたバイトという労働も頑張れた。だめライフ愛好会のおかげで、本来だめ人間がやらないようなバイトをこなせたのである。筆者がバイトを頑張れた理由はだめライフのおかげというよりシーシャのおかげではあるが、シーシャを吸うきっかけを作ったのはだめライフ愛好会であり、今はそれが一番大切である。
就職否定というだめライフ愛好会の活動方針と反することであるが、今回のフリーシーシャ会を経験したことで「だめ人間のための活動」とはだめ人間の更生も含まれていると考えられた。だめ人間を卒業し、全うに生きていく未来を作る。そこらへんの大学が掲げている言葉だけの薄っぺらい教育方針よりよっぽど素晴らしいと考える。
だめライフ愛好会が送るだめライフからの脱却、それもだめ人間のためになるのではないだろうか。だめ人間が様々な形で救われる未来を待ち望んでいる。
文芸
短歌
遠く
匿人
遠くからみているぼくはしあわせだゆれる大地こなごなの窓
世界一の魔王になった泣きながら霜柱ふみしめてあやめる
かきあつめた落ち葉をどこへもってくのとむらいせずにもしてしまうの
にえたぎる世界のなかでおっこちたごはん粒をあつめ握った
もういちど会うならサウザンクロス発ぐしゃぐしゃ世界のまんなか行で
【全69団体】ひろがるだめライフの輪
だめライフ愛好会は全国・海外に拡大しています。現存するだめライフ愛好会の一覧を作成しました。
全国
東北
関東
中部
近畿
中国
四国
九州
沖縄
海外
その他
活動予定
月一回のペースで茶会・月見・花見等をします。またイベントにあわせて、お読みの『だめライフ』紙も配布します。
学部生、院生、教員、職員、学外者、誰でも歓迎。
次のイベントは一月ないし二月ごろを予定しています。最新情報は@tufsdamelife2(X・Twitter)をご確認ください。
寄稿募集
『だめライフ』への寄稿を募集します。論考・エッセイ・詩・小説なんでも構いません。学外の方、社会人の方も大歓迎です。
内容:「だめライフ」に関することならなんでも。
書式:タイトル・ペンネーム(必要に応じて所属)を添えて、本文千字以内。
締切:第3号は一月二〇日(土)まで。
宛先:tufs.damelife2@gmail.comまたはX・Twitter DMまで。