地に足を付けるためのスキンケア使いきり
今年の夏にQoo10のメガ割でスキンケアセットを2つ購入した。
本来ならば2万円ほどするものがセットで5000円、しかも商品画像が華やかで、レビューにはたくさんの商品がぎっしりと並んだ画像がずらり。
買うなという方が無理だというくらい、「お得感」と「わくわく感」のあるセットだった。
私は特段、スキンケアにこだわりはない。
なくなったら適当に薬局で買って、使ったり使わなかったりの繰り返し。
ライン使いするというのは今までにあまりない体験で、届いた2つのセットを日々使いはじめた。
届いた瞬間はわくわくもしたが、とはいえ、段々と飽きてくる。
「お得感」や「効果の高さ?」をウリにしているからか、見た目は質素なものが多いのがQoo10メガ割セットの特徴なのだろうか。
大量に入った化粧水も、その量ゆえになかなかなくならない。
30枚入ったパックはまるで使わず、初夏に届いたというのに、夏が終わっても残ったままだった。
「おまけ」としてさらにパックやよくわからないテスターが大量に残っていて、それもいつ使うのやら…という感じだった。
大量のテスターの付録を目当てに雑誌を買って、使わず数年後にゴミ箱行きとなる自分らしいと思った。
(ちなみに、調味料とかも同じことになる。)
ここ数年の自分は、とにかく「地に足を付けたい」という願望がある。
気分で買って、買って満足する、使いもせずに飽きる、といった行動パターンが多い人間だった。
買い物以外にも、そういう行動がやたらと多い人生だと思う。
そのものではなく、キラキラしたイメージを買っているのだろう。
まさにマーケティングに踊らされる人間、という感じだ。
そんな私にとって、届いたものを全て使い切ることは、なんとなく「地に足のついた」行動のように思われた。
そして、そう思った日からパウチにはいった大量の謎のサンプル品をひたすら使い始めた。
よくわからないクリームも、とりあえずテキトーに塗ってはごみを捨てた。
そうしているうちにおまけのパックはなくなって、今度は30枚入りのボックスパックを使い始めた。
気が向いたときに、では30枚のパックはなくならない。
「使い切る」ために毎日パックをするようになり、それもこの度最後まで使い切ることに成功した。
パックを使い切るのが生まれて初めての経験だったので、小物入れに使おうと思った。
除菌シートを入れるボックスにしたら、なかなかいい感じで嬉しかった。
まだいくらか残っているものもあるが、これも全て使い切って捨てたいと思う。
これはたぶん、「断捨離欲」に似ていたと思う。
とにかく捨てたいくて、自分の目の前にある中途半端なものを消滅させたい感覚。
そのためになんだか良さそうなクリームもドバドバと肌に塗り付け、スペシャルケアと書いてあるパックも連続で使った。
本来の用途とはかけ離れていたが、それでもたしかに「達成感」があった。
スキンケアを使い切ることに「達成感」とは、なんだかおかしい気がしたが、気持ちが良かった。
使い切るのが大変だったから、今回のメガ割ではかなり吟味することが出来た。
やはりスキンケアセットは1セット買ったが、手元の残りが少ないのでこれは問題ない。
メガ割は、とにかくスキンケアセットが大量に発売される。
たくさん入っていて、お得で、なんだか「素敵な自分」になれそうなわくわく感がある。
思わず2セット買おうとしたが、どちらのセットにもパックボックスが入っていた。
合わせて60枚、さらにはおそらくついてくるであろうパックのおまけのことを考えると気が遠くなった。
どうせ数か月後には、また「早く使い切って捨てたい!」となっている気がした。
そんな自分が想像出来すぎて、なんとか1セットのみで踏みとどまることが出来た。
「地に足をつける」とは、大変だなと思った。
夢を見ることが出来ない。
毎日コツコツと積み重ねて、小さな成功を得る。
正直地味だなと思った。
スキンケアセットに夢を見て、途中まで使って、また新しいものに夢を見ていた方がずっと楽だ。
楽だし、楽しいし、わくわくする。
でも、そうしていたから今の自分に満足できず、夢ばかり見てしまうのだろうと思う。
クジラを食べきる方法は、一口ずつ食べる、というようなことわざがどこかの国にあるらしい(忘れた)。
結局すべてはそうなんだろうな、と思う。
自分の手の届く範囲のことをコツコツ積み重ねて、少しずつ前進していく。
大変だけど、達成感はある。
まだ残っている謎のクリームを全て使い切って、次のスキンケアセットに進みたいと思った。