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オンライン会議を理解してもらうことの難しさ


地元の商工団体で青年部長をさせていただいています。
普段であれば行事やイベントなどの企画や運営を行っている組織なのですが、昨今のコロナの影響により、最近は今後の方針について話し合いをしています。

通常であれば5畳ほどのスペースに4人~5人の事業主が集まって会議をやっていますが、仕事への影響も考え、青年部では早々にオンライン会議を導入しました。

始めはLINEでしたが、ラグや回線の安定性が気になるためZOOMを導入。
仕事でも使う機会の多かった僕は使い方を教えたり、補助をしたりしていました。

今回は地方でのオンラインミーティングの導入検討を通して、右往左往して悩んだ内容を書いていこうと思います。



必要性だけでは人は動かない


今後はイベントや企画も難しいので、順次オンラインに切り替えていくということで会議が一致。運営が難しくなった時点で青年部としての活動の必要性があるのか?運営することがなければ、組織の存在は必要ないのではないか?という話にもなりました。

たしかに、主にオフライン会議や親睦を深めるための旅行などをメインとして活動していた組織なので、それが行えなくなるということは存在意義が問われます。
予算も確保していただいているので、母体組織にとっても負担は軽くなります。

僕自身は発起人というわけではなく、母体組織の高齢化に伴う会員の減少を緩和するために会員さん同士の親睦を深め、新しい会員さんを呼び込む役目として青年部を任されていたのでした。
それも転職に伴い、来年で後任に譲るという話になってましたが、今年は組織としての立ち位置も問われる形になってしまいました。

そんな会議の中、相談役として参加していた上役から、
「会員さん向けにZOOMの使い方の勉強会をやってくれないか?」という相談でした。

話を聞いてみると、オンライン会議を導入できているのは商工団体の中でも青年部だけで、他の部署では今も変わらず膝を突き合わせて会議をやっているとのこと。

コロナ対策だけでなく、オンライン会議のメリットに気づいた上役は、他の部署にも導入したい。でも、なかなか広まらないということで苦慮していました。

僕自身は組織全体の知識や経験を見て、それによってLINEやZOOMなどのサービス導入可否を見てアドバイスしています。
地方でZOOMが話題になった際、ZOOMをいきなり導入するのは全体として不可能だと感じたのでLINEを使っているかどうか確認ができた人からLINEのミーティングサービスを紹介していました。

Withコロナまでは「会わなくても使い方を覚えられる」ということが条件だったので、全員に会うのは不可能だと感じたからです。
人は必要性を感じていても"絶対的に必要"と感じない限り、自分で調べるという行動を起こすことはほとんどないので、「会えない(強制力がない・補填ができない)」「メンテナンスできない(問題解決ができない)」「自分で問題解決する必要性を感じない(オフラインで対応した方が早い)」と感じる属性の人が多い場合はその人の日常の延長線での対応をしていました。

特に地方の高齢者から相談を受けることが多かったので、会えなくて使う機会が少なく、コロナに罹患すると重症化する可能性が高い属性の人にはLINEでもできると紹介しました。スマホを購入した高齢者のほとんどはLINEを導入したくて購入している傾向があったからです。

組織では属性に合わせて導入しないと、ついていけない人は参加しなくなるからです。過度な情報リテラシーは思考の停止を招き、最終的には使わなくなってしまいます。まずは慣れるという意味でもLINEを紹介していたのでした。

ですが、上役は「今後、コロナが去ったとしてもサービスは残っていく。導入していかないと地方だけでは立ち行かなくなる。」という考え方だったので「まずは興味がある人だけでも導入できないか?」とのことでした。


オンラインミーティング導入のメリット


オンラインミーティングのメリットやデメリットは調べると山ほど出てきますが、恐らく未導入の人もメリットに関しては肌で感じていると思います。

noteを利用している人はすでに触れていると思いますが、
軽く紹介させていただくと、

・3密を避けることができる
・移動や場所の確保の負担を減らしてくれる
・会議を開催する費用を削減できる
・会議の時間を短縮できる
・規模が調整できるので柔軟に会議が開催できる
・社外ともミーティングが行いやすい
・会場のキャパシティを気にする必要がない

というように、コロナ前までは生活様式の前では不要とされていたものが、利用する人が増えて初めて"必要性"と"利用価値"に気づいたと思います。

テレワーク自体はコロナ禍以前でも、メリット・デメリットに関しては変わらないと思います。大きく変わったのは人の意識。ツールに対しての必要性と認識ではないでしょうか?

つまり、未導入の人も潜在的にはメリットを理解している可能性が高いのです。
しかし、踏み出せずにいる。
踏み出せない人いくら伝えてもメリットだけで動いてくれるわけではありません。動くための動機付けが必要になります。

動機には至らない理由を想像してみたので列挙してみます。

・今まで行ってきた実績へのこだわり
・触れたことがないものへの不安や恐怖心
・導入後の問題を解決する人がいない
・「見えない」管理に対する評価軸がない
・そもそもコロナ自体への関心が少ない
 罹患した人が出た場合の対応の大変さが想像できない

新しいもの、新しい脅威への抵抗感というもののほとんどが「想定できていない」です。
今までに「まさか自分が罹患するとは」というセリフを何度聞きましたか?
ほとんどの人が「自分が罹患するはずがない」と考えています。

自分たちが罹患しないのであれば、接触現場に自分たちが責任を持つ必要がなければ、導入する必要性がないのです。
導入する必要性を感じていなければメリットをいくら伝えても導入するきっかけにはなりません。

みなさんも予防意識も人それぞれだということに少しずつ気づき始めていると思います。
例えば、マスクをする・手洗いうがいをする・アルコール消毒をする・人との接触を避ける。この4つの行動でも個人によって意識差が出てきています。

人を集める場では、その個人が集合するので意識の個人差があるということを想定しなければいけません。
アルコール消毒していても、その中に罹患者がいれば体内にウイルスがいます。これはアルコール消毒では防ぎようがありません。
換気は罹患する可能性を下げるかもしれませんが、避けられるのであれば接触を避けることが望ましいという状態です。

厚生労働省の新型コロナウイルス感染経路については次のように述べています。

一般的には飛沫感染、接触感染で感染します。閉鎖した空間で、近距離で多くの人と会話するなどの環境では、咳やくしゃみなどの症状がなくても感染を拡大させるリスクがあるとされています。(WHOは、一般に、5分間の会話で1回の咳と同じくらいの飛まつ(約3,000個)が飛ぶと報告しています。)
 「飛沫感染」とは: 感染者の飛沫(くしゃみ、咳、つばなど)と一緒にウイルスが放出され、他の方がそのウイルスを口や鼻などから吸い込んで感染することを言います。
 「接触感染」とは: 感染者がくしゃみや咳を手で押さえた後、その手で周りの物に触れるとウイルスがつきます。他の方がそれを触るとウイルスが手に付着し、その手で口や鼻を触ることにより粘膜から感染することを言います。WHOは、新型コロナウイルスは、プラスチックの表面では最大72時間、ボール紙では最大24時間生存するなどとしています。

距離を確保することも重要ですが、会議室内だけでなく、経路も意識する必要があります。車などでの移動中の換気等は夏のクーラーを使用する時期は換気への意識が低くなる傾向があります。

疑心暗鬼になれというわけではなく、
オンライン会議は接触を減らすために集まる場所を変えるだけなんです。

大切なことは責任の所在にあると思います。


組織内でコロナ罹患が判明した時の対処


それでは、集団でコロナ罹患が判明した場合の対応について考えてみましょう。

まず始めに、予防をしていても罹患するときは罹患するのがコロナです。
そういった見方が広まっているおかげか、コロナに罹患した人が誹謗中傷を受けている事例は多くはないと思います。

僕の周囲では感染が起きていないため、地方での反応はわかりかねますが
・個人によって対策に意識差があること
・接触した場合、完全に予防することが不可能なこと
・熱中症を防ぐためにもマスクの常時着用が非推奨となること
により、罹患自体への本人への責任追及は少ない印象です。

課題となっているのは"拡げないこと"です。
Withコロナの時勢としては

・罹患を未然に防ぐこと
・感染を予防すること
・感染した際の対応を明確化すること
・罹患者への対応をどうするか

等の対応策を検討しないと組織が崩壊する可能性があります。
更に相談を勧めると上役は「地方の全体会議でも研修してもらいたい」という考えでした。

たしかに想定しない組織が多く、感染が発覚後、対応方針を策定していなかったため、後手後手に回る組織が多いです。
対応として考えられることは

・感染施設の消毒
・罹患者の療養、自宅待機時の金銭的補助
・罹患者の家族の金銭的補助
・罹患者、濃厚接触者(陰性含む)の自宅待機時の人員の確保、役割の代行
・関係各所への報告
・組織としての対応に問題がなかったかの検証   等

コロナ自体は目に見えず、予防することができても、100%罹患を避けることができないものだと思います。
そのため、密集する場を作ってしまった組織が責任を追及される可能性が高いです。

上記の対応は費用・人材の喪失・対応にかかる時間などのコストがかかる面も大きいですが、罹患者・罹患者の家族・濃厚接触者(陰性含む)への対応が大きな課題だと感じています。


たとえば、みなさんがとある組織の管理者だったとします。
職場内に陽性患者が見つかりました。陰性の濃厚接触者に1~2週間の自宅待機を命じなければいけなくなりました。

有給を使いますか?
公休などの福利厚生として休ませますか?
それとも、欠勤扱いで無給扱いにしますか?

ここに不安を感じている従業員さんは多いと思います。
罹患者の家族が働けなくなった分の対応も考えなければいけません。

これは企業であれば事前に対応策を練ることも可能ですが、
僕が参加する商工団体などの民間団体、地域の自治組織などは
対応することが難しい内容になっています。

コロナ自体から治癒したとしても、
職場に復帰できない状況では金銭的に困窮してしまいます。

特に商工団体は自営業者が集まる場ですので、
体が資本という意識を持ってらっしゃる方が多いです。
そのような場で罹患が発生した場合はどうなるでしょう?

恐らく、組織の在り方が問われるのではないでしょうか?
この対応については今後も対応策を立てることが必要があると思います。
そこまでは責任を取らなくていいという考えをお持ちの方もいらっしゃると思います。しかし、管理者にとっては使用者賠償なども怖い時代ですので、
組織を守るためにも対応策は必要だと思います。

コロナ禍の動向が少しずつ見えてきた時に組織にとって必要なのは

・予防を意識した行動
・罹患者とその周辺環境への対応を規定化すること
・治癒が終わった人への対応

こういった対応が遅れると組織から離れる人が出てくる恐れがあります。

僕自身は業務上で企業様への働きかけを行っていますが、業務上の感染を意識している管理者の方は多い印象です。しかし、日常生活から感染してしまう可能性も考慮しなければいけません。

特に民間団体は雇用関係ではない場合が多く、対応策を立てるのが難しいと感じています。



アフターコロナに向けて


オンライン会議への動機付けの難しさや組織としての対応について書いてきましたが、オンライン会議を導入するにあたり、必要なことは簡単です。
触れる機会を作り、回数を重ねることです。

触れる機会は研修等で作れます。
普及するかどうかの分水嶺は継続率です。

ZOOMであればアプリをダウンロードしてURLで招待。ホストがすべてを統括すれば対応できます。もしくはGoogle Meetsのようにブラウザで対応してしまうというように考えています。

会議の運営を行う人に対応を覚えていただき、率先してオンライン会議を引率してもらうことが必要だと感じています。
歯車=設定、「i」マーク=情報(インフォメーション)などのコンテキストを共有していないことも多いので、スタンドアローンで運営するにはそこから慣れてもらう必要がありますね。

運営できてしまうことが認識できれば継続率も上がってくるだろうと思います。
司会力も大切。意思疎通が一方的にならないような配慮が普段の会議よりも必要になってきます。

アフターコロナに移行しても多数の人がリモートワークが便利だと気づいてしまいました。電話通話で事足りる内容であればいいですが、資料を見ながらリアルタイムの打ち合わせなると、相手側からオンライン対応を求められることが増えてきます。

もちろん、すべてをオンラインにする必要はないと思います。
例えば、全員その場にいなければいけないというわけではなく、遠距離の人はオンライン参加というように、選択肢を持つということが重要だと思います。
企業であった場合には社内にいる時間を被らないというような考え方もできます。多様性を認めるということですね。

地方では高齢化が進んでいます。
今まで通り、地元だけで仕事をしていくというのは難しくなってくるかもしれません。
これからは「会議のため」だけではなくなっていくと感じています。
また、ノウハウを持った人に学んだり、ビジネスパートナーとして打ち合わせをしていくにあたり、必須のスキルになってくると感じています。

オンライン会議に切り替えていくにはツールの良し悪しや知名度だけではなく人材育成が必要。そのために時間を割くのはこれからの対応力を育成するという意味でも必要な時間だと思います。

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