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病気治療と情報戦①
先日、陽子線治療を専門に行っている病院の研修を受けさせていただきました。
がんってどんな病気?ということから、がんの統計、陽子線にできること・できないこと、陽子線治療にかかる時間・費用などについて現場のお話を聞くことができました。
話を聞いている内に、これはガンだけではなく、すべての病気に広まってくることだなと感じたのでまとめてみたいと思います。
がんってそもそもどんな病気?
"がん"ってそもそも何でしょうか?
病名は広く知れ渡っていますし、
身内にがん患者さんがいらっしゃって不安に感じている方もいると思います。
実は原因が特定されていないガンがほとんどです。
しかし、研究によって要因になっているものがあり、メカニズムは解明されつつあります。
私たちの体は細胞の集合体です。
つまり、全身がガンに罹患する可能性があります。
全身のどこのがん細胞が大きくなるか予測することが現状は難しいと言われています。
先程の要因ですが、
・喫煙
・飲酒
・食物、栄養
・身体活動
・体格
・感染
・化学物質
・生殖要因とホルモン
・遺伝性
と言われています。
それぞれの要因に確実と言えるもの、可能性が高いものがあります。
下の図は国立がん研究センターのものです。
これらの要因でがん細胞が大きくなったものが、
悪性新生物になり、がんと診断されるわけです。
がん細胞も細胞なので、細胞分裂を繰り返すことで大きくなります。
また、分裂する中で全身に転移するのもこの細胞分裂の一環です。
だからこそ、早期に見つけることが重要になってきます。
見つけられた場合のがんの治療法はどんなものがあるでしょう?
がんの治療方法アレコレ
がんの治療方法といっても様々です。
がん細胞は切除する、薬で除去する、放射能で細胞を死滅させるといった形です。免疫療法は自分の免疫力を高めて、自分の免疫細胞でがん細胞を取り除く方法です。
つまり、何らかの方法で取り除くことが目的になってきます。
これだけたくさんの方法があるのは治療によって身体に負荷がかかる可能性があるので、世界中で負荷を少なくする手術方法が日々研究されているからです。
全身のどこのがん細胞が活性化するかわからないので、部位によっては人口膀胱を導入したりして、治療後もがんとは違う負担が残ることがあります。できれば、身体への負担が少なく、予後に影響が少ない治療を受けたいですよね。
しかし、日本の法律では健康保険適用治療かどうかでかかる治療費が大きく異なります。というのも、健康保険適用となる治療法というのは、多くの臨床試験の結果をもとに「効果がある」と認定された治療法でなければ適用されません。
健康保険適用認定までは臨床試験を繰り返し、実証を証明しなければいけないので時間がかかります。「負担が少ないとされる最新の治療を受けたい!」と思っても健康保険適用治療ではないことがほとんどなんです。
この場合、3割負担ではなく全額自己負担になります。
がんと診断された時に提案されるのが上の図の標準療法です。
髪の毛が抜けるような抗がん剤治療がこれに当たります。
「なぜ負担が少ない治療法として提案されないのか?」と思いませんか?
これには医師のルールがあります。
診療ガイドライン
日本の良いところは、健康保険適用範囲であれば、全国どこでも一律の治療を3割負担で受けられることです。
さらに高額療養費制度で負担はかなり抑えられます。
ですが、その昔同じ病気に対して、地域や病院によって違う方法で治療していました。
それを容認していると、地域や病院によってかかってくる治療費が大きく変わってくるという事態になりました。7割負担している政府としてはこれは困ります。医療費の問題もそうですし、病院によって治療法に違いが出てくるとなると医療サービスの平等性が損なわれます。
そこで臨床試験で得た経験を整理し、全国で均一の手引き書を策定することになりました。これが診療ガイドラインです。
健康保険を適用する治療をする際はこの手引き書に従う形になります。
わかりやすくいうと医師のためのルールブックです。
このため、最新の治療が健康保険適用治療になり、この診療ガイドラインに記載されるようになるまでにかなりの時間がかかってしまいます。
この治療が標準療法といわれるものです。
新しい治療法が次々と開発されている病気に対しては後追いする形になります。
放射能療法・免疫療法などの治療は比較的新しいもので、切らずに治すということを意識しています。その中でも細分化されて光子線・粒子線と多岐に渡ります。それぞれにできること、考え方などが異なるからです。
もちろん、必要な治療費についても大きく違います。
次回は治療費の考え方と陽子線治療について触れてみたいと思います。