強い者の心も砕く
たった2年滞在したあの地の思い出が蘇るたび、
声をあげて「わーん!」と泣き叫びたくなる。
幸せだった。
幸せすぎた。
しかし運命は逆行し、
瞬く間に幸せが崩れていった。
誰も悪くはない。
誰のせいでもない。
みんなが自分の運命に翻弄されているから。
運命に流れがあるのなら、
逆らうことなどできないのだろう。
私には力がなく、流れていくしかなかった。
流れの中で必死にしがみつき、
大切な者を守り、
自分の使命を果たすのに必死になった。
もし自分がどんな運命をたどるのか、
どんな人生を歩むのか
最初から分かっていたなら、
こんなに悲しまなくて済むのに。
私は強いはずなのに。
神様はこれでもかと何度も試練を与える。
まだ私を試すのですか?
神は時に
「強い者の心も砕く」。
人は弱いものだと、それを知らしめるために。
その弱さを知ることで、
さらに自身を強くさせるために。