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【cinema】バーバリアンズ セルビアの若きまなざし
「愛と哀しみのボレロ」を見た後すぐに同じ映画館で見たもの。前の映画のインパクトが凄すぎて、コレはなんていうか…物足りなさを感じてしまった。
この話は、独立直前のコソボが舞台の、そこに住むセルビア人の若者たちを描いたもので、もうなんていうか虚無感そのものなんだよね。
主人公は仮出所中の青年ルカ。お酒を飲んでは騒ぎ、地元のサッカークラブの試合では暴徒化することを常とする。だけど、そこに若者特有のほとばしるエネルギーみたいなものはなく、諦めみたいなものが見てとれる。特にルカは。
そんななか、コソボ紛争で行方不明だと言われていた父親が実は生きていたことがわかって、彼は捜しに行くが…
ってなったら、感動の再会、はたまた今まで欺かれた復讐か、怒りをぶつけるのかと思うでしょう? なんかねー、もっと頑張ろうよって思ってしまう。好きな女性ステファニアに対してもはっきりしないし、だからこそ彼女もルカの存在を嬉しいと言うよりも疎ましく感じてしまうし、彼は、簡単にキレてしまうのに、いまいち沸点に達していない、不完全燃焼な感じ。だからと言って、仲間のフラッシュほどちゃらんぽらんでもないし、芯があるようでない。だから、あまり彼に共感できなくて、見ていてもすっきりしないんだよね。むしろブッ飛んだ感のあるフラッシュの方が好印象。
この国の若者は皆そうなんだろうか。
彼らには紛争後の悲壮感もないけれど、明るい未来も描けなくて、現状に甘んじていたり、強がって悪ぶることがカッコいいことだと思っていたり。
とてつもなく虚しさを感じた作品でした。
左がルカ、右がフラッシュね。