予告編に魅せられて。
「ブリグズビー・ベア」
毎日1本更新しても年内に追いつかないくらいのレビューがたまっているため、端折りつつ書いていきます!
25才のジェームズの世界を"作った"のは、彼を乳児の頃に攫った男女だった。彼らがひたすら見せて聞かせた「教育番組」のキャラクターのクマ、ブリグズビーベアがジェームズの唯一無二のヒーローだったという物語…
私はこの映画を見て、泣きたくなったけど、それは何に対して?
ジェームズはいつも幸せだった。それは何物にも代え難いもの。攫われて、(隠蔽されて、)彼はずっとブリグズビーベアの世界の住人だった。
そんな彼が「現実世界」に戻った時に、変わり者扱いせずに接する人達の温かさが本当に心に沁みた。
妹オーブリー、妹の友達スペンサーに、演劇好きの警部。
全然ノーマークの映画で、チラシもチラッと見るくらいで、ちょっとバカにしてたくらいだった。クマが主人公の映画なんでしょとか。
でも予告編で見たときに、あ、これは面白いんじゃと思い、実際見に行ってみて。
綺麗事では済まされないこの世の中で、ああ、良かったね、で終わらせてしまうにはテーマが結構ダークだと思うし、でもそれをダークな部分を前面に押し出すことなく、まあるく仕上げているように思った。誘拐した二人を正当化するでもなく、でもジェームズがあそこまでブリグズビーベアに没頭できたのには、彼らナシにはあり得なくて。
このどうしようもない感情をどう表現したらいいのかわからないし、25年の空白の間に、ジェームズや彼の家族は、誘拐されていなければ出来たこと、やれていたこともあったわけで、私がジェームズの親なら、ホンマに複雑すぎて、この映画に出てくる人たちは優しすぎる…と。
ほんわか、でもなくて、そのほんわかの中にある種の鋭さを感じる作品だと思いました。
ブリグズビーベアは、かわいい。
2018年72本目。シネリーブル神戸にて。