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【cinema】アイス・ドラゴン

2017年42本目。スウェーデン映画🇸🇪

京都文化博物館で今年は6/3から6/24まで催されたEUフィルムデーズ。2年前から行くようになって、とても楽しみにしている映画イベントの一つです。マイナーな映画を見る私でもお初にお目にかかるような国のものが上映されたりするので、それがとても楽しみで。今年初めて見たのはコチラでした。

大都市で育った11歳のミックは、犬を怖がり、ヘビメタとゾンビ映画とクジラの歌が好きなごく普通の少年。突然、アルコール中毒の父と兄トミーと暮らす都会の生活から引き離され、スウェーデン最北部ラップランドにある小さな村に住む叔母レナの元に預けられた彼は、そこで初恋を経験し、おかしな年老いた兄弟と友達になる。田舎の生活に何とか溶け込み、物事がよい方向に進み始めたある日、再び児童福祉係がやってくる…。スウェーデンの色とりどりの美しい自然描写にあふれた冒険映画。監督の長編デビュー作。(公式サイトより転記、一部登場人物名等追記)

たしかこの時、私にとっては久々の映画鑑賞で、幼い頃のキラキラした日々を思い出し、胸がいっぱいになったのを覚えています。何より出てくる人たちが皆気持ちが良くて、憎めなくて、あったかくなるんです。えてして北欧の映画って、雪深いシーンが多いんですが、これも違わず、雪景色が多くて寒々しく感じるのに、すごーく心が温かくなる。

映画の冒頭、ミックは博物館で「クジラの声」に耳を傾ける。これが後々の展開の伏線にもなるんですが、こんなふうに感受性の高い子、こういう子の気持ちをわかってあげられる大人になりたい!と強く思ったのです。

一見すると、ちょっと変わった子で(あらすじには、ごく普通とか書かれてるけど)、父親の素行が悪いとか、片親しかいないとか、偏見を持たれがちな家庭だったりするんです。それでもミックのような子を信じてあげられる大人たちが周りにたくさんいて、全力で守ろうとしてくれる。また、子供たちの世界もなんですが、腕っぷしの強い子が出てきたり、徒党を組んでいたりして、あー、またお決まりのスクールカーストを見せつけられるのか、と思いきや、都会っ子のミックに歩み寄り、奇妙でステキな友情を育んでいくのです。

ある意味、みんなこうだったらいいのに的な夢物語なのかもしれないけど、現実と理想がちょうどいい塩梅で合わさった素敵な内容だったと思います。

子どもの頃って、誰かと一緒に何かを作り上げること、知恵を働かせて秘密を分かち合うことや大人にはわからない暗号や言葉で表してみたりすることが、ものすごく楽しくて、それだけで自分たちの世界は無限だって思えたりしたことが誰しもあると思います。そういうことを思い出させてくれる映画。

ミックと同世代の子ども達に、この映画を見せたら、もしかすると逆に子どもっぽいと感じてしまうかもしれない。こんなことしない、ダサいわ、とか思う子もいるかもしれない。

なんて言うか、うまく言えないけれど、子ども向けと言うよりは、大人が見て、あの頃のキラキラした感じに想いを馳せるための映画なのかなーと思った次第です。

それにしても、こんな児童福祉係おるんかいな。子どものためというよりは、機械的に、便宜上こう動くしかないと四角四面の対応しかしない。子どもを守るためのセーフガードの本来の役割が、実は果たされていないのかも、と一瞬の闇を見たような気もしました。だって、本当に居そうだし、ああいう極悪非道な里親とか、人をモノ扱いしかしないようなヤツ。

とは言え、全体的にはとても心温まるストーリーでした。ミックはダメダメな父親も、ちょっと気の荒い兄貴も大好きで、田舎の叔母や変わったご近所さんたちの愛情に包まれて、気の合う仲間たちと成長していく。一般公開はされないだろうけれど、心底、あー良い映画観たなーと思えました。

これから、立て続けにEUフィルムデーズの作品の感想を書いていきます!

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