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【cinema】ブレイク・ビーターズ

8/30鑑賞。
かつて冷戦時代の東独で、ブレイクダンスに命を懸ける若者たちがいた–––––。
公式記録では一切残っていない声なき声を映画にしたのがコレ。

時は1985年。主人公のフランクは社会主義国家に自分の道が見出せずにくすぶっていた。そこに光が差したのは、アメリカで沸き起こったブレイクダンスブーム。映画上映により、それを知った彼は、友人たちとのめり込んでいく。自分を型にはめず表現できる、自分をさらけ出せるものとして。けれど、そこで問屋が卸さないのが悪名高いシュタージ、そして当時の東ドイツという国で、ブレイクダンス=資本主義の現れ=国にとって不健全、という考えの下、取り締まろうとする。それも国家指定の芸術集団として彼らをアーティストと認定する代わりにブレイクダンサーたちの表現を制限し、より社会主義的なものにしようとする…。

なかなか面白かった。こんな事実があったんだろうか。記録が一切ないところもまたすごい。社会主義の恐さを思い知る。彼らは何を恐れたんだろうか。若者たちのほとばしる想いがうねりとなって、国をいつか揺り動かすのではと思ったんだろうか。バカげているといえばそうなのかもしれない。でも当時の国家にとっては全てが脅威で、何でも小さな芽の間に摘んでおこうというのが主義だったんだろうな。

フランクのブレイクダンスのチームは、男子3人の女子1人。そこに巻き起こるのは…というのはお約束で、それがこの映画のポイントにもなっているんだけど、安易のような気がしないでもない。そこにもうひと工夫あれば、もっとストーリーは面白かったのでは、と思うのは私が斜めから物事を見る性質からだろうか。

とはいえ、フランク役の俳優さんはイケメンだし、取り締まろうとする政府やその手先となるマネージャー?もコメディタッチで描かれていて、ラストは何だかやるせなかったけど、いつの時代もどんな場所でも社会の流れに抗おうとする若者たちがいて、そんな彼らの存在は眩しくて、大人達からしたらバカげているけどある種の脅威でもある。そういうことを思い知らせてくれた青春映画です。

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