侮るなかれ、オレたちを!のアンタッチャブルハンガリアンムービー。
「ヒットマン:インポッシブル」ハンガリー🇭🇺
突然ですが、ヨーロッパ映画とひとくくりにすると、それは大きな間違いで、国によって、様々なカラーがあるなぁと思います。
フランス、イタリア、スペイン、イギリス。
この辺りは言わずもがな、欧州の中でもメジャーどころで、見たことがあるという方も多いと思います。もちろんそれぞれのお国で独特のカラーがあります。
ドイツ、ポルトガル、ポーランド。
この辺りは映画好きな人は、監督が名が知れていて見たことあるかも、という国々。
私が上記の国々以外に、圧倒的な存在感でもって自国のカラーを表してるなぁと思うのが、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリアの映画です。旧共産圏ということもあって、その名残は色濃く出ているものもあれば、それとはまた違った面で、斬新で、むしろ映画大国アメリカがマネしたくなるようなものだったりします。彼らが作りたくても作れない何かがある。
この映画もそうです。主人公は先天性下半身不随と脳性麻痺の青年たちで、実際に彼らにはそういう障害を持って生きていて、それでもめっちゃくちゃカッコイイんです。それでも、って言葉は語弊があるか。
コミック作家を目指す車椅子の青年ゾリとバルバは、車椅子の殺し屋ルパゾフと出会う。殺し屋の手伝いをするうちに、二人は生きる希望を見出していくが、 ゾリらの口封じを拒否したルパゾフは、組織から命を狙われることに。ひねりの効いた視点が最高に楽しいアクション映画。(イベント公式サイトより転記)
青春映画といえども、全然キラキラしてないし、爽やかでもないし、障害者の方が出てくる映画って、(無理矢理)感動シーンに持っていくものも多い中、裏社会に足を踏み入れていく彼らの毎日は、退屈どころかハラハラし通しで、時折挟み込まれるゾリのコミック画やスタイリッシュな音楽が、本当に本当にこの映画をカッコよくしてるんです。
下半身不随のゾリ、脳性麻痺のバルバがムショ帰りの下半身不随のルパゾフと繰り広げるアンタッチャブルサスペンスとでも言うのかな。
車椅子だけど殺し屋を生業にしているルパゾフの姿に憧れて、それを手伝おうとするゾリとバルバ。それまで、人生を諦めてる感も強かった彼らが、オレたちに出来ないって思ってるだろ、侮るなよ!という若さ丸出しの青臭さを出しつつも、それが見ていて、こういう世界もあり得るかも…と思わせてくれる。何よりそれが彼らの生きる希望になったりして。
ルパゾフは元消防士で、火事場の事故が原因で下半身不随となる。まだ、ムショに入る前に、愛していた女性がいて、彼にとってはまだ彼女を諦められない。出所後も必死で彼女を取り戻そうとするけど…。
いろんな人生がある。他人が計り知れないような生き様や想い。
そういうことを織り交ぜつつ、あらすじにあるとおり、ひねりを効かせまくってて、そんじょそこらのアクション映画より、マジでカッコいいから見てほしい!
ラストは切なくて、哀しくて。それでも希望も見え隠れして。そんなオチあるの?と言いたくなるくらいだけど。それも含めて、いやぁ、うまいなぁと唸らせられました。
そういえば、エンドロールを見ていて、ルパゾフに殺しを命じる組織のドン役の俳優を含めて、やたらDr.と書かれている人が多いなぁと思ったら、ハンガリーでは、博士号を持っていたら名前として、Drと付けて、フツーに名乗ることができるようです。あのドン、博士号持ってるんだ…なんて思ったり。
こちらはレンタルもしている作品らしいので、フツーのハリウッド系メジャーアクション映画以外も見てみたいなぁと思われる方がいたら、是非手にとってほしいです。アクション映画好き以外の方にもオススメです!
2018年61本目。EUフィルムデーズ。京都文化博物館にて。
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