もっと話題になってもいいハズだ!
この映画、関西では他にどこで一般公開されてたんだろ。全然取りこぼしてしまっていて、弐番館的な映画館でやってるのをたまたま知って観に行ったのです。めずらしく母と。
「ロープ 戦場の生命線」
舞台は停戦直後のバルカン半島。
井戸に投げ込まれた死体と引き上げるためのロープを巡って、あるNGO団体の奔走の1日を描いたもの。
なぜ死体を引き上げなければならないか。紛争直後の荒れ果てた土地に住む者達にとって、井戸から汲みあげる水はなくてはならないものであり、死体によって汚染されてしまうから。
これを解決しようとするNGO団体というのが、「国境なき水と衛生管理団」という代物。活動家たちの出身国は皆異なる。プエルトリコ、アメリカ、フランス、ロシア…。色々設定を面白くしてるなぁと唸らされる。
たった1本のロープ、のハズなのに、見つからない。「あるのに」、ない。あるはずなのに、ゲットできない。ゲットするのに、幾度となくハードな道程を経て、彼らが目にしたものは…。
ベニシオ・デル・トロの冷めた目は、かの地でどんなに必死でやっても無駄だという諦観を表していて、ティム・ロビンスの突き抜けた感は、現実を見てきたからこそ、ハイテンションじゃなきゃやってられんの精神、なんでしょうか。
哀しい現実を突きつけられるも笑えるシーンがそこかしこにあり、また音楽が超絶妙。特にラストの「Where Have All The Flowers Gone」が沁み渡る…。
旧ユーゴ紛争って、今から二十数年前のことで、言い方は悪いけど、済んだこと、若干使い古された感、インパクトの無さは否めないんです。でもソコじゃないんです!!
あの当時、私たちはどう感じてきたか。改めて今、何を感じるか。バルカン半島における世界各国の致し方、ではなくて、どこの、どんな出来事にも通ずる話だったりします。「暖簾に腕押し」「骨折り損のくたびれもうけ」なんて、ことわざがまかり通ってしまう現実を、ユーモアを交えながら見せて(魅せて)くれる映画です。ややこしくしてるのは、当事者というより、部外者なのかもしれません。
レビューとしては、全然面白くないんだけど、私の中ではかなり好印象で、もっと多くの人にこの映画を知ってほしい!と思いました。
事実、大衆受け映画大好き母が、面白かった!と言ってくれたので。(何となく私自身、この映画ならイケる!という確信を持ちつつ、一緒に見る映画はチョイスするんですが)
2018年14本目。シアターセブンにて。
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