【cinema】ハロルドが笑うその日まで
ノルウェーはオサネで高級家具店を営んできた町の名士ハロルド。しかし、イケアが町にできたことで店は倒産し、妻は死んでしまい(これはイケアとは直接は関係ないけど)、何もかも失った。絶望した彼が思いついたこと、それはイケアの創業者カンプラードを誘拐することだった…
ほんわかしたトボけた映画を想像していた私。全然違って、わりとハード。というかコルト45とか一般市民が持てるんや…。終始銃がちらつくところを見ると、何だか穏やかでない。
この映画に欠かせない存在が、エバというスウェーデン人の少女で、飲んだくれの母親の面倒を見なければならない彼女は、孤独で、何度も家出を繰り返していた。ハロルドがカンプラードを誘拐した後まごまごしていた時に、ネット上にその事実を流そうと促すのはこの少女だ。また、カンプラードもカンプラードだ。ある意味イケアの宣伝的な側面もあるこの映画。スウェーデン人が見れば笑えるツボや、んなアホな的なシーンもあるんでしょう。日本ではブランド自体は知名度が高くても創業者のことまで知っている人はほぼいない。そこには、児童就労に脱税疑惑、自身が国粋主義者だという黒い噂がつきまとう。そこら辺が私たち日本人には周知の事実ではないので、カンプラードがなぜそんな悠長な態度なのか理解するまでに時間を要した、気がする。
ついついまじめくさったことを述べてしまったけれど、邦題はなかなかいい。原題(英題)は、Here is Harold、「ハロルド、ここにあり」。ラストの自嘲気味な彼はある意味あらゆるものから解き放たれたんだと思う。今までこだわってきたものって何だったんだろうなと。そして息子のところへ向かう。何度も再会の言葉を反芻して。
この映画にはカンプラード含めて、人生を謳歌し、バラ色の生活を送っている人は一人も出てこない。誰しも日々苦悩し、挫折したり、過去の残像に囚われすぎていたり、何かを抱えて生きてきた人たちの物語。そして、やっぱり北欧ならではで、雪深く、日に照らされないシーンの連続。雪なくしてはまた語れない物語だったなぁと思った。それにしても、ノルウェーとスウェーデンは方言程度なんかね、言語の違い。フツーに会話してたよね。
一番最近見たものを真っ先にレビューで上げます。あと8本…
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