色彩のない世界に、彼が「見た」ものは。
「ザ・ウォーカー」
原題;The Book of Eli
あらゆる文明が崩壊した近未来の地球。イーライと名乗る男(デンゼル・ワシントン)は、世界でたった1冊残る本を運び、30年間、ただひたすら西へ向かって旅をしていた。そんな彼の前に、その1冊の本を探し続ける独裁者・カーネギーが現れる……。(映画.comより転記)
これもまーったく自分で見ようともしなかったものを例の如く、オススメされて見たもの。この映画の存在自体知らなかった。私の作品チョイスで最初に抜け落ちるのが、「近未来」や「アクション」なもので…。
大体どんな作品でも寡黙な「漢」を演じるデンゼル・ワシントンが、この作品でも違わず、物静かで、何かある男イーライを演じている。彼はひたすら歩く。文明が果てた地(だけどそこはかつてのアメリカ以外の何物でもない)を突き進む。その行く先々で、何かしらの邪魔が入り、それをゴルゴ13並みにクリアしていく。一冊の本を携えて。
思ったよりストーリーは深くて、その一冊の本を巡り、ゲーリー・オールドマン扮する独裁者カーネギーが出てくるあたりから、面白くなってくる。彼はかつてのどんな文明利器より、その本が喉から手が出るほど欲しい。その本というのが、何となく途中から、アレなんだろうなというのがわかってくる。
当たり前のように人々の生活の根底にあって、生きる指針となるものが、全て消え去ってしまった時、人はどうなってしまうのか。ソレがなければ、人は「野蛮」に成り果ててしまうのか。ということが、描かれているわけだけども、まぁ何て言うか大多数の日本人には、パーフェクトに理解することは難しいテーマだなと思った。もちろん私も含めて。
と書いたら、気づいてもらえると思うけど、とある宗教が絡んだお話です。
深い内容と言った割に、私のレビューが全く深くないけれども、文明の破壊された地は、水は枯渇し、砂埃に塗れ、人々は色のない世界に住み慣れてしまっている。イーライは、そんな中、誰もが忘れ去ってしまっている言葉が綴られた本を手に、多分、ある種の希望を秘めて旅していたんだろうなと思う。それは、彼にしかできなかったこと。色彩のない世界で、彼は確かなものだけを「見据えて」西へ、西へと向かっていった。なぜ、タイトルの「見た」と、前述の「見据えて」を強調したかは、ストーリーを最後までご覧いただければ、わかるかと。
相変わらずデンゼル・ワシントンは必要最低限のことしか口にしない役で、その周りがわりかしギャーギャー言う感じも他の作品と変わらないなぁと思ったけど、それにしてもミラ・クニスは可愛かったし、チャーチル役じゃなくて、こんな感じのゲーリー・オールドマンの方がやっぱり好きだなと思った。
2018年33本目。Netflixにて。
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