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【cinema】夜明けの祈り

2017年62本目。フランス、ポーランド映画。

ショッキングすぎる事実がテーマとなっているこの映画。

1945年12月、ポーランド。赤十字で医療活動に従事するフランス人女性医師マチルドのもとに、ひとりの修道女が助けを求めに来る。彼女に連れられて修道院を訪れたマチルドは、ソ連兵の暴行によって妊娠した7人の修道女たちが、信仰と現実の間で苦しんでいる姿を目の当たりにする。マチルドは修道女たちを救うため激務の間を縫って修道院に通うようになり、孤立した修道女たちの唯一の希望となっていく。(映画.comより転記)

今まで数々の本や映画で、戦中戦後の(戦勝国と言われる)兵士たちの蛮行について知ってはいたけれど、中でもロシア軍のそれは残酷で、というのも知っていて。だから、この映画を見る前から覚悟はしていました。

このマチルド役の女医は実在の人物、マドレーヌ・ポーリアックという医師がモデルです。映画では、若い彼女が奮闘して、何とか修道女たちを守ろうとする姿が、ポーランドの荒涼とした中で、ひときわ輝きを放っているように見えました。ただ、それを美化するでもなく。彼女は淡々と、でも信念を持って、自分のできる限りの事を成し遂げようとするのです。それが本来業務に支障が出ようとも。それってやっぱり同じ女性だから、そうできたんではないのかなって思います。月並みな言葉だけど。

それと彼女の同僚のサミュエルがいい。彼の役を演じるヴァンサン・マケーニュはなんだっていつもこんなに寂しそうで温かい人柄を演じられるんだろう。実際にサミュエルのような男性の理解者がいたかどうかは定かではないですが、マチルドの存在以上に、光っていたと思います。

映画の中で暴行のシーンは一切ないのですが(未遂とかはある)、修道院の中にしても、雪深い外の世界にしても、とにかく原題「Les innocentes(罪なき人々?)」に相応しい真っ白な世界が広がる。男たちはそんな修道女たちの世界に押し入って、全てを汚していった。それは、そんな暴行のシーンを映し出すより残酷なのかもしれない。

でもこの映画は、とても淡々としているんです。全てにおいて。音響や一つひとつのシーンの影響かな。めちゃくちゃ盛り上がるシーンもなければ、悲しみに明け暮れて涙するって感じでもない。それがよくもあり、悪くもあるかも。描きようによっては、もっとドラマチックにも出来たかもしれない。

この映画の感想を書くのに、というか書き始めるのにすごく時間を要しました。何だろう、いい映画だったとは思うけど、自分の中の何かを掻き立てられるような気持ちにはならなくて。書ける時はスラスラと言葉が溢れ出てくることもあるのにな。

気を取り直して、残り30本以上レビュー頑張ります!

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