双子として生まれると 〜マナカナ考察〜
俺は一卵性双生児の弟として生まれた。
一卵性・二卵性に関わらず、双子の子育てって特殊だと思う。
俺は育てられた側なので「振り返って客観的に考えると」という言い方しかできないけど。
確実なのは「常に2倍かかる」ってことよね。
特に学費。特に入学時。
公立高校に入学してもジャージ代とか副教材費がかかるでしょ。
アレが同時に2倍かかる。
子どもが2人の場合と双子を比較するとトータルでかかる出費は変わらないかもしれないけど、
双子だと確実に、同時に2倍かかるね。
あと全ての「お下がり」が効かない。服なんかも同時に2倍かかる。
その他の子育てに関する苦労は現在子育て中の方のほうが詳しいし、それぞれ状況は違うと思うんだけど。
母は「アンタ達を育てた18年間が1番楽しかった」と何回も言う。
まあ、祖母がいつも家に居たってのも大きいと思う。
俺からは「双子育児はこうするといいですよ」的なことは何も言えないです。
双子として生まれただけで双子を育てた経験は無いので。
ここからは一卵性双生児として生まれた身として覚えてること。
まず、兄・弟の区別なんだけど。
俺は戸籍上、「弟」ということになってる。
でも、本当に「弟」か?という疑問がある。
兄の1時間後に俺が出てきたので弟になったらしいんだけど。
ここの兄・弟の決め方は今は知らないし、調べる気も知る気もないが。
覚えてるのは脇毛と陰毛が生えてきた時。
陰毛は突然に──
人によるのかもしれないけど「アレ?産毛みたいなのが生えてる」から「オレが陰毛だ!」までの期間がめっちゃ早くなかった?
俺の記憶だと「産毛→陰毛だ!」の期間が数日〜1週間以内だったと思う。
一卵性双生児として覚えてるのは、その「産毛→陰毛だ!」が
兄より俺の方が1日だけ早かった。
弟「見て見て!なんか生えてきた!」「うわ!太くなった」
兄「マジ?あ、俺もよく見たら生えとる!」「うわ!太くなった!」
という親も知らんであろう現象が「1日早く」俺の方に起きた。
脇毛も全く同じ。
なので生物としては俺が「兄」では?と思ってる。
後で出てきたってのは俺の方が奥にいた→先に受精した
ということだと思うので。
俺は男だから出産についてとやかく言える立場ではないけど、
「産んだあとにまだ1人いる」
ってなかなか大変よね。
野球の「あと1人!」のレベルではない。
…これは、ツイッターだと怒られるやつですね。
陰毛の話になるけど、キレイ目のガラステーブルみたいなのを挟んで話してる時にふとゴッツい陰毛が「陰毛です」とテーブルの上に居るのを見つけて無言でフッ!と息を吹きかけて飛ばしたことがあるね。アナタもあるでしょう。
陰毛はいつも、何故ここに?何故、今?という形で現れる。
オマエらはいつも、そう!
子どもの頃の、これは自分の意思で服を選ぶ前段階なんだけど、
その頃の写真を見ると、母は俺と兄に同じ服を着せてる。
服買いに行って、2回選ぶのめんどくさ…同じの2つ!
もしくは、うわあ似てるな…コレ、同じ服着せたらどうなるんだろう…うわ!更に似る!おもしれ〜
のどちらかだと思うけど、たぶん母は後者の方だと思う。
さっきの、陰毛の話、アレを見せ合うくらい仲が良かった。ケンカもよくしたけど。1番の友達が朝起きた時からいる、という感じ。
ただ、それは小学生まで。
中学生から「似すぎていること」に違和感を覚えるようになった。
誰でも「録音された自分の話し声」を初めて聞いた時に「自分って、こんな声だったの?」と思った経験があると思うけど
俺は「これは兄の声ではないか?」と思った。
声以外も話し方、歩き方、咳払い、振り向き方、などなど
全てがコピー人間のように同じ。
マナカナがよくテレビに出てた時、顔以外にも喋り方やリアクションが全く同じで「家で練習しとるやろ!」とよく言われていたが、
アレは練習してないです。断言はできないが。リアクションの練習をしてたとして、そんなに練習してないですね。容易にできることだと思う。
そういうのが、一卵性双生児として生まれたので分かる。
似すぎて困ること。
あなたはテレポーテーション攻撃を受けたことがありますか?
アレ?さっきこの人を見たはずだが…また同じ人!これはテレポーテーション!あっ!あそこに移動している!目の前にもいる!
…というSFでしか起こらないことを多くの人に経験させてきたと思うんですよね。
駅の改札口、今のICカードじゃなくて駅員さんが1人ずつ切符にハサミを入れてた時代、駅員さんからアレ?アレ?という反応をされた。
実際に「さっき来なかった?」と言われたこともある。
他にもいろんな店の人に「さっき来て、同じもの買わなかった?」と言われたことがたくさんある。
並んで歩いてるとジロジロ見られる。人口が少ない田舎町だったのもかなり影響してる。
なので話し合って決めた訳ではないが、数m〜10mほど距離を取って移動するようになった。中学生から。
コレがテレポーテーション現象を生んでしまう。
後に歩いた方が「アレ?」という顔をされる。
フィクションで考えると「そういうの、やってみたいなァ」と思うかもしれないが、ずっとだからね。毎日、ずーっと。
やめたい時にやめられるもんでもないし。
「いや、私たちもやりたくてテレポーテーション攻撃をやってる訳ではないんですよ」と説明するのもおかしいし。「アレ?」って反応するのは知らない人ばかりだし。
別行動すれば?と思うかもしれないけど、同じ学校に登校してたからね。朝の時間を10分ずらすって大変なことになるし。
あと、通ってた中学がガチ・シンナー・ヤンキー中学だったので。
中1の頃って中3がオッサンみたいに見えるでしょ。
オッサンは言い過ぎ!と思う人は昭和のヤンキー・暴走族の写真を見ると分かります。アレはオッサンです。
そのオッサンみたいなシンナー・ヤンキーから「オイ!オマエらちょっと来い!並べ!」って2人で並ばされて「おう、似とるのォ。どっちが兄ちゃんかのう…(30秒くらい間が空く。シンナーが入ってるので)オマエが兄ちゃんやろが!違う…?(30秒ほどの間)じゃあオマエが弟か。オレが間違っとるんか。のう。オレが間違っとるんかのう。(間)オマエが兄ちゃんやろ」「ハイ。僕が兄ちゃんです」
みたいな会話を100回以上した。
双子とは関係ないけど、中1の時に中3のオッサン・シンナー・ヤンキーのパシリをよくさせられてたのだけど、
印象深く覚えてるのが
「オイ、オマエ、ジュース買うてこい。何がいいかのう…炭酸がいいかのう…コーラ…でもコーラは骨が溶けるしィ」
と言ったことがあって、「コーラ飲んだら骨が溶けるやつ、信じとるんや!しかも、骨が溶けるのイヤなんや!既にシンナーで歯がボロボロに溶けているのに?」と思った。
一卵性双生児は嗜好が似てる、というかほぼ同じでしたね。うちの場合。音楽やら映画やら。好きなスポーツ選手やら。
離れて暮らしててもマイブーム的なのが同じ。ほぼ同時期に全く流行とは関係ない東映ヤクザ映画「大阪電撃作戦」を見てたり。ほぼ同じ時期に全く同じバッグを買ってたり。
シンクロニシティ的なのもあって、ダイヤル式の固定電話の時代、何か用があって兄に電話した時に、
普通はダイヤルをジー、ジーと回して数秒後にプルルルが鳴って相手が出るんだけど、ダイヤルを回し終えた瞬間に「兄の咳払い」が聞こえたことがあって、既に繋がっていたらしく「何で?」とお互いに言ったら「お互い、同じ瞬間に電話し合ってた」らしく。プルルル音が鳴らないレベルで同じ瞬間に電話してたらしいです。
あとは…シンクロニシティが起こってても「今〇〇した?」っていちいち確認しないし、起こってたかもしれないですね。
その、ほぼ同じコピー人間、嗜好もほぼ同じのコピー人間の双子が明確に違ってたのが「好きになる女性の嗜好」、俗に言う「女の好み」ですね。特に高校時代から顕著に違った。これはワザとではない。
結婚相手も「なんで…?こんな顔の人が好きなんや…?」って思ってたので、
創作物に有りそうな「双子の兄と入れ替わって兄の彼女とSEX」みたいなのも(可能だったかもしれないけど)しようとは思わなかった。
マナカナについて、特に詳しくないしけど、不仲説?みたいなのを読んだ記憶があって。不仲説が本当だとして「似すぎて不仲になった」と思いますよ。確か一緒に住んでたでしょマナカナは。
「ああもう!なんでこう、何もかも私と同じなの!」「お姉ちゃんこそ!」みたいなのがあったんじゃないですかね。
同性のコピーレベルの一卵性双生児が成人してから二人暮らしするってのはめっちゃイライラすると思います。似すぎてて。自分を見るようで。
んで、イライラして「姉ちゃんの彼氏を寝取ってしまえ」と思っても、やろうと思えばその彼氏を騙さずともやれたと思うし。
大変だと思いますよ、マナカナをやるのも。
倉科カナって女優を「マナカナのカナの方」と思ってた時期があって、「最近、カナの方をよく見るなあ。マナの方は女優やらないのかな。まあ双子だから逆に、違うことやりたくなるかもしれないな」と思ってましたね。3年間くらい。
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