おつかれエアロスミス
10年…いや?15年くらい前?
テレビで、何の番組かは全く覚えていないのだけど、
「世界5大バンドといえば?」
という、ザックリにもほどがある、ツイッターで有名人が語れば炎上しそうなことを言っていた。
それがクイズだったのか、「いや普通、そうでしょ」という根拠の無い断定なのかは覚えていない。
ただそこで挙げられていた「世界5大バンド」が何だったのかは覚えている。
・ビートルズ
・ローリングストーンズ
・クイーン
・エアロスミス
・オアシス
だった。
俺は実はニルヴァーナ以降の洋楽バンドを知らないのでオアシスも知らない。オアシスってそんなすごいの?と思った。
(ここまで書いて、U2も入っていたような…まあいいや!)
その、根拠の無い世界5大バンドの1つである、エアロスミスが引退した。
洋楽(米英の音楽)を聴き始めた1983年、俺が中学1年生の頃、
エアロスミスというバンドは、いなかった。
「70年代には、エアロスミスというとてもカッコいいバンドがいた」
「70年代、クイーン・キッス・エアロスミスが3大バンドとして人気を競っていた」
という話が当時の音楽雑誌(ロッキンオンやミュージックライフ)に書かれていた。
ただその、エアロスミスというバンドは薬物のやり過ぎでガタガタになり、ギターのジョー・ペリーが脱退し別のバンドを作り…という状態だった。
正直言うと、もう解散した、過去のバンドだという認識だった。
1985年にライブエイドという、「有名バンドやミュージシャンは都合が合えば全部出ろ」というすんごいイベントがあり、スケジュールが合わなかったミュージシャン以外は殆ど出ているのだが、
エアロスミスは、ライブエイドに出ていない。
たぶん、そもそも呼ばれていないのだ。
解散状態だったから。
俺は80年代の流行りの洋楽よりも60〜70年代の洋楽に惹かれた。
一番聴いたのはビートルズとレッドツェッペリンである。
その流れで70年代のエアロスミスも貸しレコード屋でレコードを借りて1stから「ドローザライン」まで全部聴いた。「ライブ・ブートレグ」もよく聴いてた。
当時のレコードにはレコードの中に紙が入っていて、和訳とか載ってなかった。
邦題も酷いやつが多く、曲名もアルバム名も変えられ、
例えばグランド・ファンク・レイルロードの1stアルバムの邦題は「グランドファンクレイルロード登場!」だった。
(この洋楽ミュージシャンの1stアルバムに「〇〇登場!」という邦題を付けるのは他にもあったかも)
エアロスミスの「トイズインジアティック」にあの、さんま御殿のエンディングに使われている「ウォークディスウェイ」が入ってたのだけど、その邦題が「お説教」だったのは強烈だったので覚えている。
その頃は既にMTV的な洋楽ミュージシャンが動く映像を見れる番組が深夜に放送されていて、ベストヒットUSAだったかは忘れたが、「懐かしの曲」みたいなコーナーでエアロスミスの70年代のライブ映像が流れた。
スウィートエモーションだった気もするが、ドローザラインだった気もする。
その、70年代の汚い映像は「いかがわしさ」が溢れていた。
思春期の少年はドキドキした。
この映像だったのかは定かではないが、この映像もかなりいかがわしい。
ああ、これがエアロスミスか。もう解散した、あの、伝説の。
という気持ちだった。
しかし、エアロスミスはその後、復活するのである。
80年代にヒップホップという音楽がメジャーになってきた。
ラップという表現方法を使うミュージシャンも増えた。
その流れで、RUN D.M.C.がエアロスミスの「ウォークディスウェイ」をカヴァーした。
なんと、そのミュージックビデオにエアロスミスが出ていた。
「生きていたの?」と思った。
そして1987年、俺が高2の時に突然、エアロスミスは新曲を出した。
当時の感覚では「おっさんバンド再結成」である。
「デュード」という曲だった。
カッコよかった。
このビデオが放送された翌日、「見たか昨日のエアロスミスの新曲」という話で盛り上がったのを覚えている。
特に
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この、ジョー・ペリーのギターソロの終わり頃に坂道を駆け上がっていくスティーブン・タイラー。
このMVの目的は「俺たちエアロスミスは元気である。ちゃんと動けるし、走ったりもできる。ホラ、走ってるぞ!」だったのだと思う。
見てた俺も実際、
「走って大丈夫なの?」と思った。
いやだってアンタらは薬物漬けで身体はボロボロでオッサンで…
仮に、この時のエアロスミスが約40歳だとして、80年代の40歳というのは老人に近い。近所のオッサンが50代でフツーに死に、石原裕次郎と美空ひばりの死(享年52)に対して誰も「若すぎる死」とは言わなかった時代だ。
だから俺はこのエアロスミスの再結成を「オッサンバンドの一時的な再結成」だと思った。
しかし、それから37年、エアロスミスは第一線でロックをやり続けた。
この、エアロスミスの復活が、それまでの「セックス・ドラッグ・ロックンロール、ロックスターは27歳で死ぬ」から「体力・健康・ロックンロール」への大きな転機の1つだったのだと思う。
ここからは、俺の個人的な音楽の好みの話になる。
1973年の「ドリーム・オン」や「ママキン」が入ったデビューアルバムから1978年の「ドローザライン」までのエアロスミスが好きだ。
俺が好きな泥臭いブルースロックを演っているからである。
そこまでが「エアロスミス・第一部」。
1987年、「デュード」で復活してから現在に至るまでの「エアロスミス・第二部」は売れたし、冒頭の「世界5大バンド」と認識されるようになったが、俺はイマイチ…
復活したエアロスミスは「エンジェル」という曲をヒットさせた。
いや…エアロスミスって、こんな曲を演るバンドだったか?
お金に困ってるのか?…と思った。
そして、あの「アルマゲドンの歌」。
好きな人が多いと思うが、
俺はあの曲に心底ガッカリした。
アメリカのバンドは、最終的にこういう、演歌みたいな売れる曲を作る。
イギリスのバンドはそうならない。
アメリカのバンドは売れ線に走る。
だからまぁ、エアロスミスの第二部は全く追ってないし、
知ってる曲も「デュード」以外は78年までの曲が多いのだけど、
おつかれエアロスミス!
関係ないけど、ポールマッカトニーがまだ生きてるの、おかしくない?マイケルジャクソンやプリンスがもういないのに?俺が生まれる8年前にデビューした人なのに?何故…?
って思う。
おわり。