一番、夢中になって見たアニメ

「未来少年コナン」です。

一切調べずに記憶だけで書くので事実と違うかもしれないけど。

NHKで、水曜日の19時30分から放送されてたと思う。

NHKって説教臭いイメージがあったのだけど、見てみたらめっちゃおもしろかった。

NHKが何か教育的なものを見せようとしてきてるな…？
という気持ちが
NHKでアニメ放送をやるなんて、なんという特別感！
に変わったんですね。
1話見ただけで。

もう、アレですよ。ビデオとか無いし、水曜日の19時頃からソワソワしてテレビの前で待機して、全て記憶してやる！という心構えで見てました。
正座して見てたかもしれない。
いや、正座してたね。してなくても心の正座をして見てた。

小学4年生？くらいに放送されたと思う。

友達と遊んでても「今日、コナンがあるけん！早よ帰って、メシとか先に済ませてから見る！んじゃあね！」って言ってた覚えがあるんですよ。
俺だけじゃなくて、みんな言ってた。

ただその…内容を全く覚えてないんですよ。
未来少年コナンの。
コナンって男の子が出てきて、女の子を守るためにいろいろする、そんな話のような……

ハッキリ覚えてるのは、コナンが天井を走ってたこと。

超能力があるとかじゃなくて、
すんごいパワーがあった。
そのパワーが何から生まれてるとか、そんな説明も必要なかった。

アニメーションの躍動感が凄まじかった。
見たことのないものがテレビの中で繰り広げられていた。

設定がどうとか、この世界ではこうとか、そういうのがあったかもしれないけど関係なかった。

コナンが跳び、すんごいスピードで走り、斜めの壁、真横の壁、果ては天井まで走り回る。

あ、裸足だった！

覚えているのはそれだけです。

アレがアニメーションの力だと思う。

10歳くらいの子どもが夢中になってアニメを見るって、
そういうことじゃないですか。

考察とか、いいんですよ。
制作の裏話とか、いいんですよ。
宮崎駿が作ってた？参加してた？とか、どうでもいいんですよ。

美味しいものを食べると脳が快感状態になる。だからまた食べる。
好きな曲を聴くと、気持ちが昂ぶったり、歌いたくなったりする。だからまた聴く。
性行為だって同じでしょう。

映画やドラマ、アニメ、小説、漫画も同じだと思うんですよね、本来。

ソレに浸ってる間は、気持ちよくてたまらん。ずっと続けていたいから、ずっと続ける。

それだけなんですよ、本来は。

ウオー！すごかったー！
この気持ちを誰かに言いたい！
ねえ！アレ見た？読んだ？
おもしろかったよね！
あそこよかったよね！
ねーーーー！！！！！

そこまでで、いいんですよ。

それができなくなったら、
純粋にそれができなくなったら、

人は「考察」などに走るんです。

純粋な、気持ちの昂ぶりを感じ取れなくなった、
その穴を、「言葉」で埋めようとする。

その時が、人間には、遅くとも30歳くらいまでに訪れる。

アレ？子どもの頃、思春期の頃みたいに夢中になれてないな？
…と気付く。
アレ？アレ？何故だ？

…考えて、言語化してみよう。
その結果が考察であり、レビューであり、「あそこは〇〇のオマージュ」などの、ウンチクです。

そんなの、数名の評論家に任せておけばいいやん。

学校で、読書感想文の宿題が出て、「やった！感想が書けるぞ！」と思ったか？
と自分に問いかけると、全くそんな記憶はない。
マジかよ…感想を書かないといけないの？

と、イヤだった感想文を、今は強制されてないのに、書いている。

なんなら、映画などを見てる間も「どんな感想を書こうかな」と考えている自分がいる。

なんだろうね？と、たまに思う。

未来少年コナン、夢中になって見たのに、ストーリーを全く覚えていない。

今は、どこかで見れるでしょう。配信か何かで。
でも見ないよ、絶対に見ない。

見て、54歳の俺が落ち着いてちゃんと見て、

アレ…？
こんなものだった…？
この程度のものだったか…？
になるのが、イヤなんです。

10歳の俺の、あの夢中になった体験を、汚したくない。
汚すのは、感性が死んだ54歳の俺。

幸運にも現在、「コナン」といえば「名探偵コナン」のこと、というのが常識であり、
「未来少年コナン」について話題になったりしないこと。
ツイッターなんかでも見たことがない。

そのことに救われているところがある。
ありがとう、名探偵コナン。

先ほど「作品を鑑賞してることが快感で、この快感を止めたくないのでずっと続けてしまう」というようなことを書いたけど、

先日、本当に久しぶりに、そういう体験をした。

ドラマ「地面師たち」です。

4話の途中で夜中、さすがにこの年齢で徹夜は…と1回止めたけど、
さっきの「見る快感」を続けたい、という欲望のまま、朝まで見てしまった。

ありがとう……

欲望を貪るように満たす、
それがだんだん無くなっていくのは、ちょっとさみしい。
今、確実にソレができるのは「食」しかない。
グルメみたいなやつではなく、白米と白米に合うおかず、あとは甘いパンとかですが…

その、貪る対象から「性」が外れたのでね。

年老いて、良いことはたくさんあるのだけど、

「加齢、めっちゃ楽しい！すぐ忘れるし！世の中のこと分からない！楽しいよ！」
とか言っても伝わらないじゃないですか。

伝える必要もないし。

人間は今の年齢を、今の年齢で生きていくことしかできないし。

また夜中にnote書いちゃった。

楽しかった。