ドラマ「未来への10カウント」感想
※ネタバレを含みます。
木村拓哉主演のドラマ「未来への10カウント」をネトフリで見た。
とてもおもしろかった!
最近、キムタクにハマってしまい…
キムタクは何をやってもキムタク、と言われることも多い。
だが、そこが良いのだ!
何の役をやっても喋り方や仕草等、同じ演技で通す俳優がいる。
田中邦衛、田村正和、福山雅治、ロバートデニーロ、アルパチーノ、木村拓哉、あとYOUも同じですね。
他にもいると思う。
そういう俳優、良いなあ…
この「未来への10カウント」というドラマは俺は存在も知らなかった。
2022年のテレ朝のドラマ。
脚本は「まんぷく」「龍馬伝」「HERO」「ガリレオ」等の福田靖。
共演は満島ひかり、安田顕、内田有紀、生瀬勝久、柄本明、波留、八嶋智人、山田杏奈、村上虹郎、等。
全9話。
主題歌はB'z。
このドラマ、評判がよろしくなかったようだ。
放送当時は「キムタク初の視聴率1ケタ台」「もうキムタクも終わりか」「9話って、打ち切りではないのか」
等、言われてたようだ。
ばかやろう!
いつまでキムタクに「抱かれたい男No.1」の頃のキムタクを期待してるんだ?
キムタクは、年々良くなっているぞ?
アンチ・アンチエイジングをしているキムタクの魅力に気付かないのか?
キムタクは年相応に老け、年相応に良さが増しているぞ?
この「未来への10カウント」はキムタクが高校のボクシング部のコーチをやる学園ドラマである。
このザックリしたあらすじだけを見ると、
「キムタクが弱小ボクシング部を立て直す話か?」
「キムタクが不良の巣窟な学校を立て直す話か?」
と思ってしまう。
全く逆だ。
このドラマは48歳フリーターの不貞腐れた男、キムタクを周りが立て直す話なのだ。
キムタクが演じているので分かりにくいが、この主人公はかなりのダメ男だ。
不貞腐れている。
顔も、浮腫んでいる。
キムタクが不貞腐れているのはそれなりの理由があるのだが、省く。
このキムタクを、どうにか立ち直らせようとまず、2人の大人が動く。
安田顕と柄本明である。
キムタクを高校のボクシング部のコーチにしてしまう。
その高校の校長は内田有紀(最近、「奇跡の48歳」と言われる内田有紀だが、2年前のこのドラマの時点で「奇跡の46歳」である)。
そのボクシング顧問に無理やりさせられるのが満島ひかり(36歳設定)。
このドラマは第1話の時点で「なんか雑じゃない?」「なんか…中途半端なコメディ感が…」と感じる部分はある。
その雑なドラマを何とかしているのが、満島ひかりだ。
満島ひかりが、自分が出演した作品を駄作にするわけがない。
このドラマは8割以上、「満島ひかり力(りょく)」で持っている。
満島ひかりは「なんかワケアリの、陰な」役を演じることが多い。
明るくワケアリではない、「完全なる陽側」の満島ひかりというと「ごめんね青春!」しか思い浮かばない。
とにかく満島ひかりがカワイイ。
男性から見て「カワイイ!」と思う分かりやすいカワイイ満島ひかりがずっと見れる。
余談だが、教頭役は「ミスター教頭」の生瀬勝久である。
満島ひかりと生瀬勝久、「ごめんね青春!」と同じである。波瑠も出てくる。
何故か生瀬勝久には「猫林はじめ」という雑な役名が付けられている。
カワイイ満島ひかりの横で
「はぁ」「なんスか」「いやぁ」と48歳ダメ男のキムタクが不貞腐れている。
この状態が全9話のうち、6話の中盤まで続く。
キムタクが本気になるまでに6話を要する。
なんて手のかかるキムタクだ。
本気出してからもキムタクは高校生たちから元気付けられている。
そもそも、この高校は超・進学校である。
キムタクが立て直す必要は元から無い。
このドラマは
「中高年クライシス(ミドルエイジ・クライシス)」を描いたドラマである。
主人公はしっかり(顔の浮腫みも含めて)中高年クライシスを表現している。
しかし、「キムタクだから」という視聴者側の先入観から、48歳フリーターが置かれている危うさが見えにくいのだ。
「もうキムタクは終わりか」ではない。これは新しいキムタクだ。
中高年クライシス・キムタクドラマである。
不貞腐れキムタクも時々カッコよさを見せる。
ピザのデリバリーで遭遇したヤカラをボクシングテクニックでビビらせたり、
街の不良たちを一網打尽に殴って倒したりする。
カッコイイ。
カッコイイがキムタクはオリンピック候補まで行った元ボクサーなので、おそらく傷害罪である。
そんなキムタク・アクションを見せつつ、中高年クライシス・キムタクがかなり楽しめる。
カッコイイ俳優が(冷静に見ると)カッコ悪い人物を演じてる作品が好きだ。
このドラマはアルパチーノ主演の「カリートの道」に通じるものがある。
どちらも主人公は終始(顔や仕草が)カッコイイが、かなりカッコ悪いことになっている。
キムタクの友人役の安田顕もよかった。
キムタク(48)、安田顕(48)、満島ひかり(36)の3人の中高年・恋愛模様も爽やかだった。
ボクシング部員役では「ミスミソウ」で同級生を惨殺していた山田杏奈と「孤狼の血2」で大変なことになっていた村上虹郎がよかった。
あと、同僚教師役の脇役で出ていた
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この人もよかった。めっちゃ見たことがある。よく脇役で出てくる。
馬場徹という、この俳優が出てくるドラマはだいたいおもしろい。
また満島ひかりの話に戻るが、「ごめんね青春!」の満島ひかりは
![](https://assets.st-note.com/img/1729795387-xziND4hOPJLf8eTlEFmRyqtU.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1729795398-eMBYbZqu39XcUoPz2OmaltyG.jpg?width=1200)
毎回、奇抜なファッションだったが、
今回はオフィスカジュアルというか、普通の「教員ファッション」がカワイかった。
学園ドラマというのは「本当の学校では有り得ないこと」が描かれるのだが、
今回のドラマは
「飲食店でやたら声がデカイ教員」
「飲食店でもデカイ声で『先生』と呼び合う教員」
あたりの解像度が高かった。
あと序盤で、悪い父親(山田杏奈の元・義父)役で袴田、不倫のアパ袴田が出てくるのだが、
このアパ袴田とキムタクの「どちらが不幸な人生だったか対決(過去の不幸話を披露し合って、不幸度合いがそうでもない方を山田杏奈が殴る)」という、
妙なシーンがあり、
キムタク「俺は、オリンピック候補だった時、網膜剥離になり、ボクシングをあきらめた。大学も中退した」
アパ袴田「俺は、受験戦争を勝ち抜いて大学を卒業したのに、就職氷河期で…そこから俺の人生はボロボロだ!」
山田杏奈→迷わずアパ袴田を殴る。
…というシーンがあり、
(いや…氷河期の方が大変だったのでは…?)
と、思いました。
まあでも、アパ袴田は自分の不幸を理由に元妻と山田杏奈を殴っていたので、
アパ袴田が悪いですね。
こういう(グダグダでは?)というシーンの後にしっかり、
満島ひかりがキムタクに「あんな、生徒の前で不幸自慢してどうするんですか!」とピシャっと叱ったりして、
叱られたキムタクが「はあ」とか言ったり、
そういうのが6話まで続きます。
6話でキムタクが本気になってからは爽やかな学園ドラマでしたね。
満島ひかりはシングルマザーで8歳の息子(可愛くて賢い8歳)と妹の滝沢カレンと住んでて、この家庭も幸せそうでよかったです。
満島ひかりが何故シングルマザーになったのか、その理由は最後まで分かりませんでした!
どうでしたか?
ということで、キムタクはどんどん良くなっていってると思うので、
軽い気持ちで見てください。
よかったですよ。
周りの人たちに助けられて、徐々にマトモな人間になるキムタク。浮腫んだ顔も最後はシュッとしてましたし。
おわり。