お婆ちゃんとババア
今日は久しぶりに入眠するためにnoteを書こう。
今日、息子がリビングで映画を見てて、画面からおもしろさが溢れてたので一緒に見た。
めっちゃ良かった。
題名は…何だっけ…
芦田愛菜演じる高校生と、宮本信子演じるお婆ちゃんがBLを通じて友達になる話。
いや〜良かったな〜〜。
特に宮本信子のお婆ちゃんがね〜
カワイイお婆ちゃんで。
でも…
あんなカワイイお婆ちゃん、滅多にいないから。
大部分は、「ババア」なんですよ。
これは、ネットでの「BBA」みたいな、年齢で女性の美しさをどうこう言う、そういうやつじゃなくて…
極悪非道の、ババア!
の方です。
ジジイは漏れ無く、ジジイです。
※ここで言う「ババア」「ジジイ」というのは現在70〜80代の人じゃなくて、もっと先代の、俺の祖母くらいの、大正生まれとか、もうこの世にはいない世代の。…ということは書いておきます。
何度かnoteにも書いてる俺の祖母のことを書こう。
重複するだろうけど、別にいいや。
祖母は大正生まれで、その旦那である祖父は戦死してる。
祖母には子どもが2人いて、男の子が生まれて、その次に女の子が生まれた。その女の子が俺の母親なんだけど。
まず、祖父は戦死してるわけだから、まあ、今の価値観で言うと、戦死した夫の写真に毎日手を合わせ、感謝……
みたいな感じかな。
でも祖母は違った。
家に女の子もいるというのに、男を家に住まわせていた。
その男(たち)はヤクザだったと母から聞いた。
ヤクザといってもチンピラみたいな。「構成員」だったのかは知らん。
知らんが…
別の男を住まわせんなババア!
旦那が戦死!
よし、戦争も終わったし!
また新たに、自由に、女として第二の人生を生きるぞ!
じゃあ、他の男を探すか!
おっ。なんかチンピラみたいなのがおるのう。うちに連れ込んじゃれ!
住まわせちゃれ!
住まわすなババア!
元気だなババア!
祖母の娘、母は15歳までチンピラ・ヤクザが出入りする家に住み、15歳で集団就職で名古屋に行ってるんだけど。
名古屋まで行った理由は「お父さんが戦死しとるのに、ヤクザを平気で住まわせる母親(祖母)がイヤだった」と言ってた。
俺は父親がいなくて母が働きに出てたのでお婆ちゃんっ子だったのだけど。
そのお婆ちゃん、祖母は俺に、教育的な配慮というか、何かを禁止したりはしてなかったのだけど、
1つだけ、マジで祖母が怒ったことがある。
花札である。
子ども時代にトランプとか覚えて、その流れで(家にあった)花札で兄と適当に遊んでたら、
祖母がマジで怒った。
花札はすんな!素人が!
花札は博打打ちがするもんやろが!
いや…ばあちゃん…
俺はその…カードゲーム感覚で遊んでただけだが…
そんな「博打打ち」って専門用語を…
後に「博打打ち」という言葉の意味をハッキリと映画で知ることになる。
ワシら美味いもん食うてよ、
マブいスケ抱くために生まれてきとるんだけどババア!
教える年齢が早いよ!
俺、まだ5歳くらいだったし!
ババア、いや祖母は小学校も3年生までしか行ってないと言ってたが、
手に職があった。
着物を…なんか反物屋?生地?から着物まで作り上げる技術を持ってて、
自立してかなり稼いでいた。
ヤクザを住まわせていたのも「金のため」などでは全くなく、
まあたぶん、道楽だったのだろう。
その、祖母とヤクザたちの力関係は、祖母の方が上だったのか、とも思う。
というのは、15歳までヤクザ付きの家に住んでた母は
「ヤクザはいい人ばっかりやったよ。小遣いとか、お菓子とかくれたし」
と言っていて、
後に「アウトレイジ」がテレビ放送された翌日、俺に電話をかけてきて、
「アウトレイジ見たけど、ヤクザがあんな悪いことするわけないやないね!たけしはヤクザに恨みがあるんね?ヤクザはあんな悪いことせんよ!」
と割とマジなトーンで言っていた。
これは、1970年に俺と兄が生まれ、映画などを見る暇がなくなり、
1973年に日本で初めて「ヤクザはマジで悪い奴らです。今までのヤクザ映画は全部ウソです」を表現した、
「仁義なき戦い」以降のヤクザ映画を全く見てないことも大きいのだが。
とにかく、
母は15歳まで(他人である)ヤクザたちと同じ家に住んでおきながら、
ヤクザから、手を出されていないのである。
それが祖母の、ヤクザを上回る怖さ故だったのかは分からないが。
インコの話。
話は変わるが、祖母は小鳥を可愛がっていた。
カワイイお婆ちゃんだ。
鳥かごの中で鳴くインコに話しかけたりして。
今日見た映画の、宮本信子みたいだ。平和だ。
ある日、祖母と母が帰宅すると、
鳥かごの中にデカいヘビがいた。
インコはいなかった。
鳥かごの隙間から入ったヘビはインコを飲み込み、飲み込んだ分、デカくなって鳥かごから出れずにいた。
祖母は叫んだ。
「傘持ってこい!」
母は祖母に雨傘を渡した。
祖母は鳥かごの中に手を入れ、躊躇なくヘビの首をイイ感じに掴み、
ヘビの口をカパっと開け、
コンガッキャァ!!
と叫びながら、ヘビの口に、傘の先端を入れ、ゆっくりとヘビの体内に雨傘を入れ、ヘビを文字通り、八つ裂きにしたそうである。
いいぞババア!
殺生ババア!
インコ入りのヘビを八つ裂きだババア!
あと、母の兄、俺の叔父の話。
これは重いのでサラっと書くが、
叔父は15歳の時点で丁稚奉公に出され、叔父は自分の母親に捨てられたと感じ、
数年後、祖母の目の前で包丁で自分の腹を切って、自殺している。
割腹自殺である。
うちは一般家庭で日本刀を常備してるわけではないので、介錯なしの割腹自殺。
その割腹自殺の様子を、祖母も、13歳くらいの母も、見ている。
いやぁ…
マジの「生まないでほしかったムーブ」じゃん。
ツイッターなんかで、
「生まないでほしかった」とか言ってる人たち、
本当に生んでほしくなかった、それを直接、自分の親に訴えるために、
割腹自殺なんかどうかな?
あ、これは冗談です。
冗談ですから、本気にしないでください。
でもまあ、完全に自分のせいで、息子が目の前で割腹自殺した祖母も、
なんか普通にその後も生きてたね。
80歳くらいまで。
あと、アレ、
「さす九」という言葉をツイッターでよく見るけど、
俺が小学校3年生くらいかな、昼飯に味噌汁が出て、その頃には白味噌、赤味噌、合わせ味噌くらいは知ってたから、味噌汁を一口飲んで
「これは合わせ味噌やね」
って言ったら祖母が
「男が味噌の話やらすんな!」
ってめっちゃ怒った。
男尊女卑だなババア!
あとは、松坂慶子が歌う「愛の水中花」がヒットした時、
「テレビを消せ!」とババアは叫んだ。
他は特に…俺が何をテレビで見てても構わないよ〜
お婆ちゃん構わないよ〜
という感じだったのだけど、
上の松坂慶子を見た瞬間「消せ!」
って叫んだから、
いいぞババア!
嫉妬かババア!
まだ女を捨ててないなババア!
元気だなババア!
よし。
寝るか。