Bitter Sugar
――その恋は、まるでアイリッシュ・コーヒーの様に
陶酔するほど甘く、ずっと舌に残るほどほろ苦く
そして――決して混ざる事のない、淡い夢だった
「だーっ!!どいつもこいつも!!」
3月10日、私達にとっては何の変哲もないその日、二人きりの部屋に彼の怒声が木霊した。
「まーた叫んでる。これで何回目?」
「だってよぉ!!どいつもこいつも!!」
いつも一緒に遊んでいる友達皆からフラれて気が立っている彼に向け、幾度目かの失笑を向けながら、彼が淹れてくれたカフェオレの残りを飲み干した。