長生 淳:奔馬を秘めて

長生淳は1964年茨城県で生まれた。3歳でピアノを、7歳でヴァイオリンを始める。東京藝術大学を卒業し、同大学院修士課程を修了する。作曲を永富正之、野田暉行に師事する。現在は東邦音楽大学講師を務めている。
作曲家、編曲家としても活躍しており、氏の作曲した作品は第2回日仏現代音楽作曲コンクール特別賞、第54回日本音楽コンクール作曲部門第2位、第4回現音作曲新人賞入選、第57回日本音楽コンクール作曲部門入選、2000年度武満徹作曲賞、日本交響楽振興財団作曲賞、全日本吹奏楽連盟作曲コンクール第1位、Coups de Vents国際作曲コンクール2012 第2位など、多数の入賞や入選歴がある。
この作品は、日本管楽合奏指揮者会議(JWECC)による共同委嘱作品で、当団も委嘱団体に加わっている。2014年3月に愛媛県で開催されたJWECC ISLANDにて初演が行われた、まさに出来立ての作品である。

「奔馬」と聞いて真っ先に思い付くのは、三島由紀夫が書いた最後の長編小説「豊饒の海」の「奔馬(全4巻中第2巻)」だと言う方は、少なくないと思う。「奔馬」とは、辞書で調べると「勢い良く走る馬。狂ったように走る馬。」と書かれている。この意味より、「心が奔馬のように逸る(やる気や意気込み、気持ちの昂ぶりを表現する)」と言った使い方をされる。
「中学生でも演奏できるように」と委嘱時に依頼をしている通り、今までの長生氏の作品の中でも、楽譜は易しく書いてある。しかし、氏の作品に共通する様々な動きの絡まりや、考え抜かれた緻密な構成がしっかりとあり、クライマックスに向かうに連れて、落ち着きのある音楽の中でも着々と昂ぶっていき、まさに「奔馬を秘めて」向かっていく。

【出版:未出版/グレード5/8:30】

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