S.ヘイゾ:パルクール

サミュエル・ヘイゾは1966年に生まれた、アメリカで注目の作曲家の一人である。映像や舞台の付随音楽の作曲を中心に活動していたが、近年では吹奏楽や室内楽への作品も意欲的に書いている。 
この曲は、打楽器の入り組んだリズムの強奏と、同じく強奏の管楽器の打込みによって幕を開ける。その後フルートが提示する4つの音の動きがこの曲の主題となり、曲を通して発展していく。中間部では一転してジャズの雰囲気となる。ここではサックスセクションを主体に展開し、それを伴奏が指を鳴らしたり手拍子で盛り上げていく。中間部が終わると、再び冒頭の再現を経て、6/8拍子のクライマックスとへ向かう。最後はテンポ・音量ともに上がり一気にエンディングを迎える。 
曲名の「Parkour(パルクール)」とは、フランス発祥のスポーツで、走る・飛ぶ・登るなどの"移動する"動作を基本とし、周囲にある環境を利用して様々な動作をするスポーツである。単に「Free Running(フリーランニング)」と呼んだり、フランス語で「L'art du deplacement(アール・デゥ・デプレイスモント)」と呼んだりもする。近年、日本でも注目を集めつつあるスポーツで、パルクールを行なっている人たちを「街の忍者」と称したりもされているようだ。文章で書くと非常に分かりづらいのだが、国民的人気ゲーム「スーパーマリオブラザーズ」の主人公であるマリオのような動きを実際にするスポーツだと表現した方がわかりやすいかもしれない。 
このスポーツの持つ高い芸術性や疾走するスピード感を表現した作品となっている。 

【出版:ハル・レオナルド社/グレード5/演奏時間5:45】

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