R.ノーリン:アズ・ウィー・フォーギヴ
ライアン・ノーリンは、オハイオ州クリーブランド出身で、ボーリング・グリーン大学を卒業し、現在はオハイオ州の高校の教員をしている。
この作品は地元の高校バンドの為に作曲され、曲名の「アズ・ウィー・フォーギヴ」とは、聖書の言葉より引用されている。
第1楽章の「テンプテーション(誘惑)」は、キリストが洗礼者ヨハネから洗礼を受けた後に悪魔から受けた荒野の誘惑(あらののゆうわく)をモチーフにしている。攻撃的で強烈な前奏から始まると、時には怪しげな、時には威厳を持った旋律が次々と現れる。その様子キリストが受けた幾多の誘惑や、荒野に吹き荒ぶ嵐を表現しているようである。やがて音楽は落ちつき、フルートの物憂げな旋律で幕を閉じる。
第2楽章の「フォーギヴネス(許し)」は1楽章の最後に使われたフルートの旋律をオーボエ、ホルン、チューバ、ピッコロのソロが受け継ぎ展開をし、唐突に最初の盛り上がりを迎える。その後、クラリネットの靄のような連符の中からホルンによって「許し」の旋律が奏でられる。ここは作曲者が「forgiveness(許し)のテーマにかかるethereal fog(天国の霧)」と表現している。中低音域の金管楽器による豊かな響きの賛美歌を挟み、許しのテーマのクライマックスに向かう。この楽章の最大のクライマックスのハーモニーの中から、オーボエの音が残り、フルート、クラリネットと共に静かなトリオを奏でてこの楽章を締めくくる。
第3楽章「フリーダム(自由)」は、6/8拍子の活力に満ちたファンファーレでから始まる前奏の後、トランペットの躍動感溢れる旋律と木管楽器の柔らかな旋律が入れ替わりながら音楽は進んでいく。その後12/8拍子へと変わり、3楽章の主題を木管楽器、2楽章の「許し」の旋律を金管楽器によってそれぞれ同時に演奏され、曲は広がりを持ってクライマックスへと向かっていく。
【出版:チョス出版社/グレード4.5/演奏時間11:30】