J.オリヴァドーティ:序曲「バラの謝肉祭」
ジョセフ・オリヴァドーティは1893年、イタリアのカラブリア州コルターレに生まれた作曲家である。家族全員が音楽家という家庭に生まれ、7歳で町のバンドのメンバーとなり、以後家庭教師をつけた本格的な勉強を開始し、ホルン、サクソフォーン、クラリネット、作曲を学んだ。1911年、18歳で渡米してからは、ニュージャージーやミネソタに移り住み、地方の劇場や音楽団体で演奏や指揮の仕事を行い、1924年にアメリカの市民権を取得する。その後シカゴに移住し、音楽大学の教授を勤めながら、シカゴ交響楽団のオーボエ奏者として活躍する。
この曲は、ゆったりとしたコラール風な序奏の後、クラリネットの美しい旋律が現れ、それに金管が加わって最初の場面が終わる。テンポの早い2拍子になり短調の物憂げな旋律が現れ盛り上がっていく。その後、3/4拍子の印象的な旋律が優雅に奏でられた後、9/8拍子へとリズムが変化して中間部の盛り上がりを迎える。2拍子に戻り、トランペット、トロンボーンのファンファーレの後、ポルカ風の音楽が始まり一気にクライマックスを迎える。クライマックスへの展開は、ロッシーニを彷彿させる展開になっている。
この曲は、1947年にスクールバンド向けとして作曲されており、彼の作品の中でも、構成が大きく、変化に富んでいる。
世に出てから65年経った今でも新鮮で色褪せない名曲であるが、残念ながら楽譜がしばらく絶版になっていた。しかし、この度日本の出版社により再版され、再びこの曲を演奏する機会を得やすくなっている。
【出版:エイトカンパニィ/グレード3/演奏時間6:25】