駿河台のヒメアマツバメ
大都会の真ん中にツバメが住み着いているという話を聞いて、いったいどんなツバメだろうと調べると一年中いる「ヒメアマツバメ」でした。よく多摩川などで冬でも集団で飛び回っているのを見ることが出来る鳥です。
ちょうどECOM駿河台様の記録写真撮影で文一総合出版の高野丈さんから「ヒメアマツバメ」撮影の打診があり、渡りに船と喜んで受けさせて頂きました。
無理を言って四季を通じて延べ13日間にわたり日の出から日没まで屋上にこもって撮影・観察をさせて頂いたレポートです。
なぜ都会か?
一般的に昆虫は高いところを飛ばないといわれています。
よく昆虫を主食としているツバメを引き合いに出すことが多いですが、ツバメは比較的低い空域で活動をしています。天気の悪いときには虫は低いところを飛ぶのでツバメも低空を飛ぶとか言われます。しかし、ツバメを観察していると今にも雨が降りそうな時や小雨が降っているような時には活発に地上10~20メートル付近を餌獲り場として飛び回ります。
観察からわかったことですが他のツバメ類に比べてヒメアマツバメ・アマツバメはもっと高い上空で餌を捕まえているようです。
高いところは虫は飛ばないという説が有力です。もっとも人には上空を飛ぶ虫は見えませんから、見えないがゆえ虫は高いところを飛ばないと思っているだけだと思います。
今回観察した駿河台の三井住友海上の本社本店ビルは24階建て地上100メートルです。
ヒメアマツバメたちはそれよりも遙か上空で虫を捕まえているようでした。
実際、蚊、テントウムシ、カメムシ、トンボ、蝶、羽アリ、蜂などが地上100メートルの屋上で見ることが出来ました。普通のツバメもこの高さまで飛んで来ますが、見上げるような上空を飛んでいる姿を見たことはありません。一方ヒメアマツバメたちは双眼鏡でも芥子粒ほどしか見えない高いところを飛ぶ姿は頻繁に見ることが出来ました。
駿河台は都会なので高いビルが建て込んでいて、ビルの空調システムなどの熱により建物に沿って舞い上がる上昇気流が発生します。写真1の赤丸はヒメアマツバメの巣がある駿河台の三井住友海上ビルです。高層ビルが建て込んでいて自動車の密度も高いので付近一帯は熱を発生する物が多くて上昇気流が発生しているはずです。
屋上で観察をしていてハシブトガラスが羽ばたくことなくビルに沿って下から屋上まで舞い上がってくる様子を何度も見ています。このことから、ビルの周りには強い上昇気流が発生していると考えて良いと思います。
その上昇気流に乗って虫たちがかなり上空まで吹き上げられているはずです。
双眼鏡で観察するとヒメアマツバメ達が芥子粒ほどにしか見えない上空まで昇って飛んでいるのが観察出来ました。おそらく上空まで吹き上げられた虫を捕食しているのでしょう。
ツバメよりも高いところで餌を獲るヒメアマツバメにはちょうど良い環境なのかもしれません。
東側の集団飛行の様子
下から見ると空の狭い部分しか見えないのでどのように飛んでいるかはわかりません。しかし、ビルの屋上から見るとこんなにも多くのヒメアマツバメが飛んでいたことがわかり正直驚きました。
こんな都会のどこでヒメアマツバメたちを養っていくだけの飛翔昆虫が供給されるのだろうという単純な疑問があります。
写真2は都心にある緑地公園です。小さな赤丸が駿河台、赤で囲ってある場所が大きな緑地・公園です。緑地には沢山の飛翔昆虫がいるので、ツバメの食事所となっています。
一番近いのが皇居、そして浜離宮、外苑、代々木公園、新宿御苑などがあります。
駿河台から新宿までわずか5キロメートル。ヒメアマツバメの飛翔スピードを持ってすればわずか4分足らずで到着するので、十分餌を獲る範囲になるはずです。
これらの緑地から吹き上げられた虫がヒメアマツバメたちの餌になっているのでしょう。
つまり、大都会でも生きていくだけの餌は供給できると言うことです。
集団コロニー
さて肝心のヒメアマツバメの巣(コロニー)は三井住友海上の本社本店ビルの最上階の庇の内側にあります。
東西2カ所に庇があって両方共に巣があります。
写真3のようにビルの一部が空洞になっていてその周りに巣が造られています。
写真4の赤く囲ってあるところに巣があります。いかにもヒメアマツバメが好みそうな場所で中がえぐれていて外からは見えませんので外敵の攻撃対策効果も高そうです。よくまあ、こんなにも営巣に敵した場所を見つけたものです。正確なカウントをしていないのでなんとも言えませんが駿河台ビルで暮らすヒメアマツバメの数は100羽くらいだと思います。
営巣に適した場所があり、餌も十分に供給されるという意外と好条件で、ここ駿河台はヒメアマツバメたちにとって住むのには適した場所かもしれません。
実際に巣の周りを飛んでいる映像です
このように沢山のヒメアマツバメが飛ぶのは限られた季節の朝、午後、そしてねぐら入りの夕方です。
おおよそのサイクルは決まっているようですが、それも日によって飛ぶ数や時間が違っていて今日飛んだから明日も飛ぶという保証はありません。
ヒメアマツバメたちの食事
屋上にずっといると色々な虫がやって来るのが観察出来ます。
カメムシ、トントウムシ、トンボ、蝶、羽アリっぽい虫などいろいろな虫が屋上まで飛んできます。都会やビルの上昇気流に乗ってやって来るのだと思います。
上の写真は餌を捕まえる瞬間です。見ていると頻繁に捕食行動をとっているので意外と虫はたくさんいるようです。こんな小さな虫がたくさん上空まで吹き上げられています。
写真5を見るとこんなにも大きな口を開けて虫を捕まえているんですね。
ツバメでもこんなに大きな口を開けて虫を獲ることはないと思います。
一年を通して観察撮影をしたので四季折々の背景で飛ぶヒメアマツバメが撮影できました。
2022年9月22日8:30~10:30
曇り
日の出:5:30 日の入り:17:40
気温 朝:17度 昼:24度 夕方:22度
風力:2〜4m 風向き:朝:北西 昼:北東 夕方:北西
ロケハンでビルの屋上に上る。
曇り空だったがヒメアマツバメがビルの周りを飛んでいます。
たまに10数羽ほどの集団でビルの周りを飛ぶ姿が何回か見られました。
駿河台というビルが立ち並ぶ所にヒメアマツバメがたくさん飛び交っている事に正直驚きました。
銀座のビルの屋上でツバメが蜂を追いかけて飛び交う姿にも驚きましたが、都会が持つポテンシャルに改めて再認識しました。
東京駅方面に40羽ほどの集団が飛んでいるのが見えたので急遽ビデオに切り替え撮影!
一緒に観察をした文一出版の高野さんやECOM駿河台の方も驚いていました。
2022年12月8〜10日 5:40~18:45
日の出:6:38 日の入り:16:28
8日 晴れ
気温:朝:4度 昼:14度 夕方:11度 最高気温:14.9度
風力 1〜6m 風向き:朝:北東 昼:西 夕方:東
日照が0になった時間:16:30
ねぐら入り時間:16:30
9日 晴れ
気温: 朝:5度 昼:12度 夕方:11度 最高気温:13.8度
風力:1〜6m 風向き:朝:北東 昼:西 夕方:南東
日照が0になった時間:16:20
ねぐら入り時間:16:30
最初の一羽目:6:45
10日 晴れ
気温:朝:5度 昼:14度 夕方:13度 最高気温:15.8度
風力:1〜6m 風向き:朝:北西 昼:北東 夕方:南東
日照が0になった時間:16:20
ねぐら入り時間:16:30
メモ
西側の巣から飛び出した時間:6:45
8時を過ぎても巣から飛び立つものもいた。
東側は日の出位の時間では飛んでいた。
普通のツバメのねぐら立ちは日の出前の暗い時間から始まります。ここ駿河台では日の出位から始まるのは巣が引っ込んだ場所にあるので周囲よりも暗く飛び立つ明るさになるのには時間差があるためだと思います。
ツバメは明るさによってねぐら入りの時間が変わります。東京生物多様性センターの渡辺仁さんの観察ではツバメのねぐら入りの照度は5ルックス程度であると報告されています。おそらくヒメアマツバメたちも自分がいる場所の明るさによって行動していると想像できます。
ツバメは一斉に飛び立つことが多いですが、ここのヒメアマツバメは一羽また一羽と比較的単発的に飛び立ちます。ツバメはヨシ原に止まっていて一斉に飛び立てますがヒメアマツバメは密集した巣(写真3)の中で寝ているようですから一斉には飛び立つことが出来ないでしょう。
日中の行動は12月は非繁殖期ということで巣がある周辺での動きは乏しく、朝のねぐら立ちから夕方のねぐら入りまでほとんど姿を見せないという日もありました。
しかし観察初日は午前中こそ動きはすくなかったけれど、午後になってからは頭上を数十羽の集団(写真7)がぐるぐると旋回しながら飛行をしたり多くはないが動きはありました。
昼間はたまに飛んで来たり来なかったり日によって行動は違いました。
来ないときは朝のねぐら立ちでどこかへ飛んで行ってしまって夕方のねぐら入りまでほとんど姿を見せないような状態でした。
気温、風向き、風速、湿度などはあまり違わないのに、行動はずいぶん違うのは城ヶ崎のアマツバメと同じです。
たまにチョウゲンボウ、ハヤブサが飛んで来てヒメアマツバメたちがモビングする様子も観察出来ました。
夕方になるとヒメアマツバメの集団が巣に戻ってくるのですが、その数はとても多く20~40羽ほどが群れで飛んで来ます。集団が駿河台ビルの前を飛び回ると(写真8)ヒメアマツバメたちの鳴き声で賑やかになります。旋回ルートは下の写真のような空域です。高さは巣があるレベルかそれよりも下でした。
16:20頃に集まりのピークがあり、順次巣の中に入りおおよそ16:30にねぐら入り完了。ちょうど日没時間です。
ビデオ映像
12月は夕方に集まってくる数が多く見栄えがする集団飛行を観察できました
昼間も日によって集団飛行をすることがありました
2022年12月14日~16日 15:00~16:30
日の出:6:42 日の入:16:29
14日 晴れ
気温:朝:8度 昼:12度 夕方:10度 最高気温:15.4度
風力:5〜11m 風向き:朝:南西 昼:北 夕方:北西 夕方の風力は11m
ねぐら入り完了:16:10
日照が0になった時間:16:30
15日 晴れ
気温:朝:4度 昼:11度 夕方:8度 最高気温:12.4度
風力:2〜6m 風向き:朝:北西 昼:南西 夕方:南
日照が0になった時間:16:30
ねぐら入り完了:16:30
16日 晴れ
気温:朝:3度 昼:12度 夕方:10度 最高気温:14.1度
風力:1〜5m 風向き:朝:南西 昼:北西 夕方:西〜東〜北安定せず
日照が0になった時間:16:30
この駿河台のヒメアマツバメ観察は一年を通して四季別に5回行いました。
夏の終わりの9月。冬のはじめの紅葉が残る12月。桜が咲く3月。新緑の5月。緑濃い真夏の7月。
それぞれ季節感がある景色を背景に飛ぶ姿を収めることが出来ました。
つまり一年中駿河台で生活をしていて他のツバメ類のように南へ渡ることはありませんでした。
12月は朝から夜にかけては零度近くになりますが日中は10度位まで気温が上昇します。ヒメアマツバメの巣は入り口や中が羽毛を使って作られていて暖かそうで、コロニーという密集した状態なので構造物の引っ込んだ風が直接当たらない場所に作られる事が多いので多少寒くても大丈夫なのかもしれません。
一年を通して観察してわかった事ですが、この季節(12月)の特徴は午後から夕方にかけて集団飛行の規模が大きいことです。
遠くから帰ってきてしばらくはビルの周りを集団となって飛び回って良い被写体になってくれました。
ビデオ映像
夕方の集団飛行の様子
夕方の集団飛行の様子
夕方の集団飛行の様子
夕方の集団飛行の様子
太陽を背景に飛んでくれたカット
街に明かりがともった頃にようやく撮れたカット
14日は15:00頃から風速11メートルの北風が強く吹き出してとても寒かったのですが、ヒメアマツバメたちは早くから巣の中に入ってしまい、晴れてはいるが16:10には全てのねぐら入りは終わってしまいました。いつもよりも20分以上早いです。
城ヶ崎のアマツバメも強風だと飛びをコントロールするのが大変で、狭い岩の隙間の巣に戻るのが難しそうでした。そのような日は暗くなる前に巣に入ってしまう事がありました。
2023年3月22、23日5:30~9:30
日の出:5:43 日の入:17:54
22日晴れ
気温 朝:13度 日中:21度 夕方18度 最高気温:23.8度
風速1〜3m
日照が0になった時間:17:20
23日濃霧のち雨
最初の一羽:5:57西側 6:18東側
東側から最初の一羽がねぐらから飛び立ったのは5:57。
6:30頃から飛び立つ数が増えてきて、7時を過ぎても飛び立つツバメがいました。
巣から出るとビルの周りを旋回することなくどこかへ飛んで行ってしまうようです。
昼間は10羽ほどの集団がやってきてビルの周りを飛ぶことがありました。
たまに50羽ほどの集団で上空を飛ぶことがありましたが、日中はビルのそばにやってくることはあまりありませんでした。
夕方は東側から集まりだして20〜30羽ほどで飛び回ります。
時間差でに西側にもやってきて飛びだします。
18:00の退館時間になっても飛んでいるツバメがいたのでねぐら入り完了は確かめられませんでした。
3月はまだ非繁殖期のはずで来月には繁殖期に入ると思われます。
そのせいか昼間は巣材の羽毛を咥えて飛ぶヒメアマツバメが多く見られました.
繁殖に備えて巣の手入れをしているのでしょう。
また、巣のビデオを撮影してわかったことですが意外と巣は壊れやすく入り口につけた羽が取れてしまう事があるようですので、常に補修の必要もあるのでしょう。
巣はかなり密集して作られていますが、巣に戻るときは何の迷いなく吸い込まれるように中に入っていきます。よく間違えないで自分に巣に戻れるものですね。
たまに集団で飛ぶこともあり、飽きないで観察が出来ました。
今日の収穫は羽毛を咥えたまま餌を獲るシーンを撮影出来たことです。繁殖シーズンでは巣材を咥えて飛ぶことが多くなります。そうすると虫などの餌はどうするのだろうと言う疑問がありましたが巣材を咥えたまま捕食も出来る事がわかり安心しました。
3月といえば桜が咲く季節です。この年の開花宣言は14日で撮影当日は満開近くとても綺麗でした。
都会の桜を背景に飛ぶヒメアマツバメは3月の課題の一つでしたが、想像とは違って屋上からは桜があまり見えません。それでも桜色の箇所を飛んでいるカットは撮影できました。
22日は午後にハヤブサがやってきました。
都会のビル群を背景に飛ぶハヤブサを初めて見ました。
都会のハヤブサはビルや国会議事堂を背景に飛ぶのです。
ヒメアマツバメの巣立ちシーズンになると巣立ち雛を狙いにやってくるのだろうか?
夕方の集団飛行はそこそこの数が集まります。
まず東側に現れて少し時間差があって西側も集まりだします。
東側の巣は夕方逆光で西側よりも光が少なく暗くなるのが早いのが原因になっているのかもしれません。朝は逆に東側は朝日が当たるので明るくなるのが早く西側よりもねぐらだちの時間が早いです。
ビデオ映像
夕方の集団飛行の様子
昼間に少しだけ集まって来たところを撮影した
夕方の飛行の様子
ところで3月はヒメアマツバメ が桜を背景に飛ぶ季節感がある写真を撮影したかったのですが、屋上からは桜があまり見えず厳しい感じでしたが、かろうじてクリアできました。
23日は濃霧。
雲も低く今にも雨が降りそうな天気でした。こんな天気でも少ないですがヒメアマツバメが飛んでいます。
急に上空から降って湧いたように50羽ほどの集団が降りてきてぐるぐる円を描いて飛んでいます。そして雲の向こうに消えていくように姿を消しました。ひょっとするとずっと上空まで上昇して雲の上を飛んでいるのかもしれません。
霧の中を飛ぶ
2023年4月27〜28日 5月1日
日の出:4:55 日の入り:18:25
27日晴れ
気温:朝:12度 昼:21度 夕方:17度 最高気温:23.8度
風力:3〜12m 風向 午前中:北西 午後:南
日照が0になった時間:18:10
6:30までは東側でビルの周りを飛んでいた
5:30にはねぐら立ちは終わっていた。7:00には姿を消した。
終了時間間際18:55頃、西から集団でやってくるヒメアマツバメ がいたのでねぐら入り完了は19:00よりも遅い時間だ。
28日晴れ
気温:朝:14度 昼:23度 夕方:18度 最高気温:24.1度
風力:1〜11m 風向 午前中:南西 午後:南
日照が0になった時間:17:30
5月1日は曇り
気温:朝:16度 昼:20度 夕方:18度 最高気温:22.5度
風力:2〜8m 風向 午前中:南西 午後:南東
日照が0になった時間:18:00
4:30が鳴き出す。
4:59最初の一羽目が飛び出す。
5:28どんどん飛び出してビルの周りを旋回する。
ビデオがメインで写真はほとんどなし。
雲が厚くすぐに薄暗くなってしまう。
ねぐら入り完了:18:30。明るさに影響されているようだ。
前回調査からひと月ちょっと。連日良い天気に恵まれんました。まだ富士山には雪が残っています。
すでに繁殖期に入っているはずで羽毛を咥えているものが半分以上います。
新たな巣を増築するのか、今ある巣の補修に使われるのでしょう。これは繁殖期ならではの行動だと思います。
城ヶ崎のアマツバメは細長いオレンジ色の葉っぱや枯れ枝を咥えて飛ぶことが多いので、生活をする場所場所で手に入れやすい素材を使って巣を造るのだと思います。
この時期は集団で飛ぶ事がとても少ないのが特徴です。
それでも15:00くらいがビルの周りを飛ぶ数が多かったです。
ねぐら入りは集団でやってきて周回の後、巣に入るというパターンではなく、三々五々やってきてパラパラと巣に入ってしまい飛んでいるツバメの数が緩やかなカーブを描いて減少して終わる感じです。
5月は桜が終わり新緑が芽吹く季節なので木々の緑を背景に飛ぶヒメアマツバメを撮影するのがミッションの一つでした。
ヒメアマツバメのあくびが撮影できました!羽毛を咥えたまま口を大きく開け、ちゃんと目を瞑ってあくびをするようです。
口を開けても咥えた羽毛は飛んで行きません。口の中の粘液でくっついているのでしょう。
ヒメアマツバメ が飛行する高度はどのような風がどの高度でどの向きで吹いているかに影響されるみたいです。
27日は基本的に風は弱かったのですが、樹木の揺れを見ても場所によっては強い風が吹いているようです。
特に屋上付近の風は風向き強さともに不規則になっていて、ヒメアマツバメ の飛び方を見ているとビルの屋上くらいの高度は急降下急上昇でパスしていて目線の高度で飛ぶ姿がとても少なかったのが特徴でした。気流が安定せず飛びにくかったかもしれません。
ところが28、1日は風の吹き方は均一っぽくて風力は弱くどの高度でも満遍なく飛んでいました。
ビデオ映像
風がほどよく吹いているとアマツバメ類は、ほとんど羽ばたかず滑空する飛び方をします。猛禽類が上昇気流を利用して翼をひろげたままはばたかずに飛ぶ帆翔に似ていますが、アマツバメ類は上手に気流を捕まえて高速で飛びます。ちょうど撮影出来たので紹介します。
普通の羽ばたいて少し滑空して飛行する飛び方
ほとんど羽ばたかずずっと滑空している飛び方
羽毛を咥えて飛ぶのは繁殖期ならではの行動です。どんな風に飛んでいるかご覧下さい。
2023年7月10日
日の出:4:34 日の入り:19:01
気温:朝:25度 昼:35度 夕方:31度 最高気温:36.5度
風力:2〜10m 風向 午前中:南東 午後:南東
日照が0になった時間:19:00
ねぐら入り完了:19:12
晴れ猛暑
東京が37度の厳しい暑さで焼けるような太陽の下、水を頭からかぶりながらの観察撮影となりまし。
今回は写真をメインにヒメアマツバメが飛んでいる姿のアップを集中して狙いました。
5:30すでに東側は飛び回っている
朝の周回飛行はとても活発。7:00を過ぎると何処かへ行ってしまいいなくなりました。
日中に上空や周辺を集団で飛行することはなく単発とか数羽単位で飛んできて巣に入るツバメが他の時期と比べて多くなっています。雛に餌をやっているのでしょう。午前中は口に虫を溜め込んで喉をパンパンに膨らませているヒメアマツバメ が多く見られました。午後からは羽毛を咥えてくるものも出てきて咥えていない、咥えている、虫を溜め込んでいるの3パターンが出てきました。
蝶とトンボが見られた。
巣立ちシーズンを迎えツバメの幼鳥も上まで上がってきた。
ハヤブサも遠くを飛んだ。
今回は欠伸をしているヒメアマツバメが2例撮れたことが収穫でした。
欠伸をして口を開けた時は目を瞑っているようです。人と同じですね。
秒20コマで撮影しているので3/20秒の間の出来事です。
虫を捕まえているところも撮れました。
捕まえる直前の姿勢は翼を下にして首の上に伸ばすのが定番みたいです。
燕類は飛びながら面白い仕草をします。頭をかいたり足を出して伸びをしたりします。
ここからしか見ることができない眼下の地上の景色を背景に飛ぶヒメアマツバメの姿もトライしました。
3:30を過ぎるとビルの前を周回して巣に入る集団が増えてきて、盛んに巣に出入りしている。これまでで一番密度が高く周回飛行している印象だ。
これまではビルの前の周回飛行をしても巣に入るヒメアマツバメ はそんなにいませんでしたが今日は結構な数が巣への出入りをしていました。繁殖期で巣にはお腹をすかしたヒナが待っているのでしょう。
5:00頃まで増減を繰り返し18:20頃から19:12まで右肩下がりになりねぐら入り終了は19:12でした。
夕方遅い時間に北の方向に積乱雲が発達してなかなか綺麗な夕景だったので夏ならではの背景でも撮影できました。
今回で一年を通して観察が出来たのでひとまず終了となります。
振り返ってみると日ごと、季節ごとにヒメアマツバメの行動に変化があり、四季それぞれの背景で撮影できて充実した観察となったと思います。
ビデオ映像
15:00頃に集まって来たヒメアマツバメたちがさかんに巣のそばを飛んでいる様子。沢山集まって来ていますが実際に巣に入るのは一部だけでほとんどはそばまで行って旋回してしまいます。このようにビルの前をぐるぐる旋回して飛んでいます。
この様子を下から見るとこのような感じになります。
繁殖期で巣にヒナがいるのでしょう、口の中に虫をため込んだ親ツバメが沢山飛んでいました。繁殖期ならでは行動ですね。