叔父の本棚

一番最初のnoteで母の本棚に触れた。

今回は母の弟である叔父の本棚の話をしようと思う。

私が子供のころ、叔父は母方の実家に暮らしていた。だから春夏冬の休みのたびに遊んでもらっていた。

そんな叔父の本棚は階段を上ってすぐの廊下にあった。

祖父母の家は狭くて独特の形をしており、バンドマンの叔父は部屋をギターやアンプで埋め尽くしていたから置く場所が他になかったのだろう。

叔父の本棚はぎゅうぎゅうでぎっしり並んだ本の上に横倒しになった本が詰め込まれているといった有様だっから、本を出すのも一苦労だった。

叔父の本棚には主に手塚治虫が並んでいた。石森章太郎や藤子・F・不二雄なんかも並んでいたが、手塚治虫が一番多かったのを覚えている。

小説もかなりあったようだが、手に取らなかったから覚えていない。姉に相当数の時代小説を借りパクされたと叔父が笑っていたことがあるから時代小説が多かったようだ。

叔父もまたオタクだったのだろう。空想科学読本的な本も混じっていた。

手塚作品は学校の図書室や図書館にも蔵書があることも多いが、叔父の所持していた手塚作品は到底図書室には置かれないものだった。もちろんブラックジャックやブッダもあったが。

今思うと子供にはエロチック過ぎたかもしれない。そんな本をドキドキしながらひもといた。

それを気にせず放置してたのは叔父の若さ故だったのかもしれない。叔父は母より11も若く、私が子供の時分、叔父はまだ二十代前半だった。

そんな叔父はやんちゃな側面も強く、まだ三歳だった姉にお茶碗ドラムを仕込み、母に叱り飛ばされたなんてエピソードがある。

話を戻そう。そうして多様な手塚作品に触れられたことは私にとって幸いだった。

今は無き祖父母の家。叔父は妻子とともに狭いアパートに住んでいた時期もあるから、かの蔵書は処分されてしまっただろうか。

大切にしていたようだから今も残っているといいと思うが、コロナ禍に阻まれ、叔父の新居を訪ねられていないから不明のままだ。

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