同窓会の後で
高校入学してたくさんの友達が出来た
私よりも可愛いし、優しい子ばかり
部活は軽音部に入った
?「私は五百城茉央。あなたは…」
いろは「奥田いろは。よろしくね?五百城さん」
私達はデュオを組み部活を楽しんだ
ある日の放課後、部室へ向かう途中にピアノの音が聞こえてくる
音は澄んでいて心に響く
私は気になって静かに扉を開けると男の子が弾いていた
?「なにか?」
音が止まり低い声で私に言葉を発する
いろは「い、いえ…あまりにも素敵だったので…」
?「そう…君は誰?」
いろは「奥田いろはです…あなたは?」
?「俺は生田○○で1年…」
いろは「えっ?同い歳なの?」
○「まぁ…そうみたいだね。それじゃあ…」
ピアノから立ち上がり音楽室を出て行った
私は急いで部室へ
茉央「いろは遅いで!」
いろは「ごめんごめん。ねぇ茉央?生田○○君て知ってる?」
茉央「うん。知っとるよ?クラスメイトやしってどないしたん?」
いろは「音楽室でピアノ弾いてたんだけどめちゃくちゃ素敵だった」
茉央「そうなんや…あんまりお話せえへんから…」
いろは「そうなんだ…茉央も明日音楽室寄ってみない?もしかしたら聴けるかも…」
茉央「部室に来る途中やから寄ってみようか?」
下校時間まで練習をして翌日の放課後に音楽室へ
茉央「ギターの音がする…」
今日はギターなんだ…
いろは「なんでも出来るのかな?」
茉央「話してみる?」
いろは「そうだね?」
音楽室の扉を開けると彼は窓際に座ってギターを奏でていた
○「今日も来たんだ…五百城さんも一緒か…」
茉央「いろはがね?昨日生田君のピアノが凄かったって言ってたから…」
○「そっか…まぁいいや。帰る…」
いろは「ねぇ?軽音部に入って一緒に…」
○「断る。」
いろは「なら、私と茉央の音楽を聴いて決めてよ!」
茉央「ちょっといろは?」
○「なんで俺に関わろうとする?」
いろは「私は君の音を聴いて思ったことがあるの。
なんで泣いてるのか…心に響く音なのに…」
○「答えは簡単だよ。音楽を楽しいと思ったことはないから。
嫌いじゃないから弾いてるだけ…」
いろは「なら楽しいと思えたら一緒に部活やろ?」
そして一週間後、○○君は私達と一緒に部活をやる事になった
私と茉央はデュオで彼はソロ、だけど何かあればアドバイスをしたりして、楽しい時間が過ぎていった
そして私は彼を好きになった
高3のある日…
茉央「いろはは○○が好きなんやろ?」
いろは「な、なんでそれを…」
茉央「見てたらわかるわ。眼差しがちゃうもん」
いろは「そっか…」
茉央「まおは応援してんで?気持ちちゃんと伝えな?
まおはいろはの味方や」
いろは「まお…ありがとう…」
勇気が出ない私は告白出来ずに卒業の日を迎えてしまう
茉央「ほら今日がラストだよ?」
いろは「でも…」
茉央「後悔するよ?」
いろは「わかった…行ってくる」
部室でギターを弾いている○○を見つけた
いろは「○○…」
○「いろはか…どうした?」
いろは「……私は○○が好き!一緒に部活やっていくうちに気づいたら○○のことばかり考えてたの。
だから付き合ってくれないかな?」
○「…ごめん。気持ちは嬉しいけど今は付き合えない。
俺さ、やりたいことが出来たんだ…」
いろは「やりたいこと?」
○「姉貴を超えること。じゃないと俺は…それまでは他を考える余裕はない。
でもこの考えに至ったのはいろはのおかげだよ」
いろは「あの…お姉さんって?」
○「生田絵梨花ってわかるだろ?」
いろは「嘘…」
○「本当だよ。嘘なんかついてもしょうがないだろ?」
いろは「あとさ、私のおかげってなに?」
○「姉貴がいると比べられて音楽がつまらなくなった。
だけど楽しいと思えたのはいろはがいたから…
俺もいろはが好きだ。
だけど想いに応えられない。だからいろはは自分の幸せを考えてくれ。じゃあな…」
部室を出ていく彼を止める事は出来なかった
茉央「いろは!」
いろは「だめ…だった…○○のやりたいこと…邪魔出来ないよ…」
私は茉央に抱きつき泣いた。
茉央は私を優しく包んでくれた。
4年後、○○が賞を取った
私は○○が出る大会を調べては聴きに行っていた
だけど邪魔はしない様に会うことはしなかった
毎年行われる同窓会にも○○は来ていないから…
だから私はメッセージだけ送った
『おめでとう。私は○○の事ずっと待ってる。
私は○○を好きでいる事が幸せだから…』
それからまた4年が過ぎた同窓会…
高2から一緒になった友達や茉央と久しぶりの再会を果たす
今年も○○は来ないだろうと思っていた
いろは「茉央?なににやにやしてるの?」
茉央「まおにやにやしてる?」
いろは「うん。気持ち悪いよ?でも今年の会場豪華だね?」
茉央「今年の幹事は凄いね?そういえば○○凄いね?お姉さん破ったんだよね?」
いろは「海外だったから行けなかったんだよね…メールも返ってこないし…」
茉央「忙しいんじゃない?」
いろは「だよね?」
私は他のクラスメイトとも話していると会場の照明が薄暗くなる
そしてピアノに光が当たる
いろは「えっ!」
ピアノに座ったのは○○だった
披露した曲はお姉さんを破った曲…
あの時、初めて聴いた時と同じで心に響く
でもあの時とは違う楽しい感じも伝わって来た
演奏が終わると拍手が起きる。
○「みんな8年振り。今回の幹事の生田○○からひとつだけいいたいことがあります。
奥田いろはさん!」
いろは「はい…」
○「俺は卒業式の時、あなたの想いを受け取る事は出来ませんでした。
理由も話したけどそれでもずっと待っててくれた…
いろは…俺と付き合ってください。」
目からは涙が溢れ出ていた
茉央「ほらいろは。」
私は茉央に背中を押されて○○の前へ
いろは「○○…私…」
○「もしかして待てなかった…?」
いろは「遅いよ…」
○「ごめん…そうだよな…」
いろは「8年待った…けどもういいんだよね…待たなくていいんだよね?」
○「あぁ…待たせた8年分以上に幸せにする」
私は○○に引き寄せられて胸に飛び込む
いろは「よろしく…お願いします」
クラスメイトからは祝福されて盛り上がった同窓会となった
終わった後も私は○○と一緒にいた
友達から8年掛かって恋人へ
月明かりに照らされた私達の影は同じように手を繋いでいた