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「読みきり小説」 迷い鳥と種

放課後、美術室の窓を開けていたら、小鳥が飛び込んできて、壁にぶつかり、死んでしまったので、私たちは校舎の裏に広がるヒマラヤスギの林へ埋葬しに行きました。
木の根元に小さな穴を掘り、そこへ小鳥を埋めようとしたとき、ひとりの友人が亡骸の傍らに、何かの種を蒔きました。

あれから時は流れ、私は今、十数年ぶりにヒマラヤ杉の林に来ています。今日は母校の講堂でヴァイオリンの演奏会が開かれるので、友人とここで待ち合わせていたのです。
彼女から借りたままでいるバロの画集もちゃんと持ってきました。そういえば、彼女が小鳥の傍らに種を蒔いたのでしたっけ。

私は先に到着したので、林の中をぶらぶら歩きました。そして驚きました。
小鳥を埋めた地中からは、鮮やかな色の茎が伸び、見たこともない美しい花が咲いています。
私たちが卒業記念に制作した、美術室の窓の青いステンドグラスの光がここまで届き、花を神秘の色に染めています。

あっ、友人がやって来ました。

いったい何の種だったのか、尋ねてみることにします。

ブルーの窓さんに捧ぐ。
                                                                                                          【終】

レメディオス・バロ「塔に向かう」

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