【レポ】大河ドラマ「光る君へ」から考える平安文学、いとをかし
大河ドラマ「光る君」から考える平安文学
2024年大河ドラマ「光る君へ」が話題となり、『源氏物語』が注目されました。
大河ドラマもあってか!
静嘉堂文庫美術館で令和6年11月16日~令和7年1月13日まで「平安文学、いとをかし~国宝 「源氏関屋澪標図屏風」と王朝美のあゆみ」が開催中です。
なんとはるばる中部地方から東京まで行ってしまいました。
紹介されている展示に沿って、第1章から第3章までを紹介していきます。
また、この記事を読むことで!
『源氏物語』以外にどんな作品があるの?
『源氏物語』成立に影響を与えた作品はなに?
大河ドラマでは、どう描かれていた?
がわかります!
第1章 平安時代の世界へ
第1章では、静嘉堂文庫の古典籍から平安時代中期以降の14作品が展示されていました。その中でも大河ドラマで登場した2作品を紹介します。
『蜻蛉日記(かげろうにっき)』 天王寺屋源右衛門版
作者 藤原道綱母(936?~995)
藤原兼家(929~990/道長の父)の愛妾であり、藤原道綱母が夫との結婚生活を中心に書いた回想録。全3巻。天暦8年~天延2年(954~974)の事柄が書かれており、これ以降に成立されたと考えられる。
上巻巻末で「あるかなきかの心ちするかげろうのにきといふべし」と作者自ら日記に名づけをしています。
女流文学の先駆けであり、『源氏物語』など多くの作品に影響を与えました。
大河ドラマ「光る君へ」では・・・
第15回「おごれる者たち」で紫式部(まひろ)と『蜻蛉日記』の作者である、藤原道綱母・寧子が石山寺で遭遇するシーンがあります。まひろは、蜻蛉日記の作者に会い、愛を語ります。
寧子の「書くことで痛みを癒やしてきた」という言葉は、この後の『源氏物語』『紫式部日記』への大きな布石となる説を演出しています。
『枕草子』
作者 清少納言(966?~1025?)
日本最古の随筆。清少納言が仕えていた中宮藤原定子(ていし/976~1000)の宮廷生活の回想や自然や人々に対する独自の感想を機知と鋭利な観察力に基づいて記載されています。
定子の兄である伊周(これちか)が献上した料紙が下賜され書き始めたそうです。
大河ドラマ「光る君へ」では・・・
第21話「旅立ち」では、『枕草子』の誕生が描かれています。「長徳の変」で一家離散してしまい孤独となってしまった定子を勇気づけるために書き始める清少納言。定子は、「枕草子」を通して目の前にある世界の美しさに救われたようでした。
おわり
第1章では、平安時代の文学が主に取り上げられています。平安時代は、まさに文学の黄金時期です。平仮名が発展し、『蜻蛉日記』、『更級日記』といった日記や『枕草子』といった随筆など新たな分野の文学が誕生した時期でした。
今回は、大河ドラマに馴染みが深い2点のみをピックアップしました。
1000年前から人々の心は、今なお変わらないのだなと思います。次回は「第2章 絵巻物で読む物語」です。
参考文献
『平安文学、いとをかし~国宝 「源氏関屋澪標図屏風」と王朝美のあゆみ』
静嘉堂文庫美術館/編集
画像引用:https://www.seikado.or.jp/