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-08-さらば麗しの椿レイ、永遠に。

第7話はこちら↓


(口コミ)ゴー、マイバラ、バ~イ、ジャパニーズ・シカガール

「そやな、そんなこともあるよ」
と、レイはすべてを理解しているようにいった。
「そやな、そんなこともあるよ」
真剣な顔で、ゆっくり繰り返しそういった。

2022.3.28 トップピークス米原にて


ハロー、マイシカガール!

ドバイから投稿しているよ。

レイは、これからどんな風にすごすのかナ。
いっしょにドバイで住みたかったです💍。

残念無念じゃ。
最近、忍者映画ばっか見ていて、忍者言葉になってるねん。

ボクの関西語あってまっか?

なつかしいよ、日本旅行!!

う~😢、だから。。。

2年前のあの日ことを思い出しながら書くよ。

ボクは、お忍びでドバイから京都に来ていた。執事の娘のオ〇ーリと二人旅だ。

オ〇ーリの愛称は、ハンドレッドだ。常に完璧で、100%の仕事をする。ボクだけは短縮してレッドと呼んでいる。

レッドは、我が一族を支える執事家で生まれ育った。ボクより3つ下の25歳だが、ボクより大人に見える。一族のことなら、なんでも知っている。

もともとは、シルクロードを旅する予定だった。
でも、レッドが、日本の着物を着たいというので、先に日本に入国したんだ。

旅の発端は、3つ上の兄に、レ〇〇クール一族の遺産のぼぼすべてが継承されることを知ってしまったから、逃げるように旅に出たんだ。

失意の中のボクであっても、
日本は、とても刺激的だった。

ボクは、人をリズムで分類する。アラブの人々は、たいてい8ビートか、16ビートだ。

日本人には独特のリズムがある。

日本は、にほんだけあって、2ビートだった。

特にお年寄りが、元気。しかも上品で、1つ1つの所作が丁寧。みんな一定の2ビートを刻んでいた。

京都に3連泊し、日本人が持つ独特のリズム感が気に入った。

4日目にレッドが、京都よりさらに古い都があるというので、奈良へ移動した。もちろん奈良の人々も2ビートだった。

しかも、人間が住む街の中に、シカが生活していて、シカさえも、2ビートを刻んでいたのには、驚いた。

シカが横断歩道を渡る時、車は、一旦停止する。しかも、まるで、児童が歩道を渡るのを見守るかのように、人々は優しいまなざしをシカに向ける!

シカの為にも横断歩道がある。
なんと、自由で、成熟した豊かな国なんだ!

奈良のシカが可愛すぎて、10頭ぐらい買えないかと日本のエージェントに相談したが、無理だった。捕獲すると罪にもなるらしい。奈良のシカが、アラブの街でも自由に育つのか試してみたかった。

気落ちしたボクは、ホテルのバスルームで、ぬるま湯につかりながら、未練たらしく奈良のシカのことをネットでダラダラ検索していた。

シカの可愛らしい写真を見つけ、スマフォにダウンロードしたりしていると、

奈良公園のシカのような、
ジャパニーズガールが、
マイバラにいる!

という情報を見つけた。

ジャパニーズガールの名前は、レイ・ツバキ。

レイの写真は、口元を隠しているので、
シカに似ているかどうかわからなかった。

口コミ情報は、
フォローワー数158人の愛知のトラという日本男子が投稿していて、他の口コミも翻訳して読み、信頼できると判断した。

文には人柄がでる。
文の真偽は、文全体で判断する。
我らレ〇〇クール家の家訓だ。

奈良のシカのような日本女子に、すぐ会いたい。

さっそく、レッドに意見を求めると、今朝の朝食で納豆を口に入れた瞬間と同じく、微妙な顔をした。

この瞬間から、ボクたちの間では、微妙な案件は、『ナットウ』という愛称になった。

「それナットウちゃうの??」

と、すっかり関西になじんだレッドはつぶやきつつ、2、3本電話し、スマフォでチャットし、少し長い電話で会話した後、

「ゴー、マイバラ」といった。

レッドは、いつでも完璧だ。
しかも早い。

奈良から、車で2時間ぐらい走ったかもしれない。

ボクは、ワクワクドキドキしてたので、良く覚えていない。

それは、
夢のようなひとときだった。

小さなビルの小部屋、それでも一番豪華だという部屋に案内された。

通訳、兼ボディガードとして、レッドも同室した。
レッドは、柔道のブラックベルトだ。

レイ・ツバキが、

奈良公園のシカ

のようだったかは、本筋ではない。

その人懐っこいレイと名乗る日本女子は、ボクより、レッドといきなり意気投合して、

すぐに、怒涛のような日本女子とアラブ女子の恋愛アルアルの話が始まった。ほぼ、限られた面会時間は、そのアルアル話で終始した。

話の輪に入れないボクは、
ふたりが、ケタケタと、笑いころげている様を、傍観しつつ、

関西語という、けったいでスピーディーな言語は、音声としては、おもろおかしくは聞こえたものの、はやすぎて、グーグル翻訳では、追い切れなかった。

ボクが理解できたのは、

レッドが、心から会話を楽しんでいること。
そして、レイが、楽しみつつも凛としていること。

この2点だけだが、充分だ。

こんなレッドを、はじめて見た。
レッドの新しい一面を知れてうれしい。

でも、いったいボクは、アジアの片隅の日本のマイバラで今、何をしているのだろう?

ただただガールズトークを翻訳しているだけだ。

親の事業を継承し、ビックビジネスをいくつも成功させ、祖国に貢献する夢は、既に消えていた。

レッドは、何かの魔法にかかっていて、
今を楽しんでいる。

いつの間にかレッドも、2ビートになっている。

まあ、それもいいサ。
ここは自由の国、日本だ。

レッドは、今日ここに泊まりたいとまで言い出した。

おいおい。。。

今夜の予定は、東のアイチに移動して、自動車業界のドンと密会することになっている。

うーんと、レイは考え、

「ちょっと、待っててね」

と言ってから、SNSで誰かと連絡を取った。

「裏道に詳しい、タクシー運転手の愛知のトラちゃんが迎えにくるので、それまで、延長してゆっくりしていってね!」

といって、レイは、ボクにウインクして笑った。

そのときの顔が、シカっぽかった。

こんな感じ!

by Copliot


レイと会うキッカケをくれたキューピット役の愛知のトラにまで会えるのか!

心の中でトラのようにウオーと叫んだ。
これこそが日本のおもてなし精神だ!

愛知のトラが来るまでの間、なぜボクたちが日本に来ていて、どんな状況なのかをレイに話した。話す必要はなかったが、レイは聞き上手だ。

自然と会話が流れていく。

なんでなん?と共感し、ほんとに?とボク達の目をのぞきこんで質問し、ほんとにそうなん?と疑問を投げかけた。

「もう、こんなん、いややねん!」

と、すっかり関西語をマスターしたレッドがいうと、

「そやな、そんなこともあるよ」
と、レイはすべてを理解しているようにいった。

「そやな、そんなこともあるよ」
真剣な顔で、ゆっくり繰り返し言った。


愛知のトラが到着し、レイと長い抱擁をしてから、別れた。愛知のトラのタクシーに乗車して、アイチに向かう。

愛知のトラは、無口だった。
トラというより、サハラのラクダだった。

レッドが、耳元で、ボクに嫉妬しているようだといった。

レッドが、ずっと、レイとコイバナに花を咲かせていたことを説明すると、サハラのラクダの表情が急に明るくなった。

それからは、レイの推しポイントを早口で1つ1つ喋りつづけながら、田んぼを貫く田舎道を爆走した。

車の窓から見える、のどかな田園風景と、訪問した東京や大阪の近代都市、大切に保存された古都。そして人情味あふれる人々。

日本は、稀有な豊かで自由な国だ。

この国を知った上で、かわいい奈良のシカの頭上にミサイルを落とせる人間は、いないだろう。それが、この国の最大の強みだ。

もし日本の古都を焼野原する民族がいれば、世界は、その民族を世界から一旦隔離した上で、復興の手を日本に差しのべるだろう。

逆に、他国に焼野原になった都市があれば、日本は復興のリーダー的な役割を果たせるだろう。

サハラのラクダが、レイ推しpart17「関西女子特有のおばちゃん的やさしさ」を語り終えた頃、

無事、ドンの豪邸に到着した。
約束の時刻の30分前だった。

レッドが無言で、サハラのラクダに近づいて、日焼けしたホッペにキスをした。ラクダの顔がすぐに赤らんだ。まだレイの自慢話をしたいようだったが、丁寧にお辞儀をして去っていった。

30分前というのに、ドン一家は準備万端だった。これこそが近代国家というものだ。

自動車業界のドンに、家族ぐるみでもてなされた。

レイたちとの会話で、日本語に慣れていたボクは、関西語をまじえて笑いをさそい、さらに奈良公園のシカの話で盛り上がった。

ドンのワイフの手料理は、見た目も味も洗練されたものだった。新鮮で多彩な食材、四季の移ろいを表現した食卓。

それと、ドン一家の家族と共にする食事。子供たちの笑顔とすなおさ、かわいらしさ。

共にビジネスをするということは、家族になるということだ。

その食事会すべてを楽しんだ後、その場で部品メーカーのドバイへの工場誘致が、決まった。

帰国後のことだが、遺産相続のウワサの件は、ボクを試していただけだとわかって、すべてが、また新たに動きだした。

今となっては、すべては、真夏の夜の夢のごとし。

すばらしい思い出をありがとう。
そして、めぐり逢えたことを光栄に思う。

レイに、神のご加護があらんことを。

神を信じよ。だがラクダをつなぐのを忘れるな。


ドバイにて、

アラブの青年実業家より


〚お礼日記〛アラブの青年実業家様


アラブのマイプリンス様、

シカちゃんだよん🎶
なつかしいね。

運命って、こういうことやんね。

あのあと、ドバイに住まないかって、
お誘いいただいて、

人工島あげるから、親戚も含めて、
みんな住んでいいっていうし、

とりあえず来てっていうんで、

一族みんな引き連れていったら、

異次元すぎて、

みんな腰を抜かし、

いくらなんでも、こりゃあかん!!

となって、ゴメンね。

みんな、竜宮城✨✨
のようで、すごすぎたって。

あの日から、驚く時の決まり文句は、

レ〇〇クール‼️

って、上を向いて、みんな叫ぶわ。

そうそう、風の噂で、レッドちゃんと結婚したと聞いたよ。

それと、あの人工島にシカを放牧したんだってね!

レイと思ってかわいがってね💖

それとレッドちゃんを可愛がってね。
マイバラでも、マイプリンスのこと大好きっていってたよ💞

では、

大好きな皆さま、また会う日まで!

今のレイの写真アップするね。

by Copliot

もう一般人なので、ぼかしを入れたけれど、マイプリンスだけが知っている、レイのシークレット番号を入力したら消えるよ。

たまに、写真見てレイを思い出してね。⸜🌷︎⸝‍

私のアラブの王子様。
フォーエバー。

(*´ε`*)チュッチュ、
レッドちゃんとお幸せに!!



第9話へ、To be continued
椿レイ同窓会2024の全会員の口コミが終わるまで。。。


この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません


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