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3Dプリンターを用いた金属の加工~引き算の加工と足し算の加工~

https://tuatdaizukan.net/

今回は機械システム工学科の笹原弘之先生にインタビューしました。

<プロフィール>
お名前:笹原弘之先生
所属学科:工学部機械システム工学科
研究室:笹原研究室
趣味:ゴルフ、音楽鑑賞

笹原先生の研究人生


─笹原先生はどうして研究の道に進もうと思ったのでしょうか?

大学に入学した頃は、ロボットの研究をしたいと思っていました。研究室を選ぶとき、ロボットに関する研究室にするか他の研究室を選ぶか迷い、応用物性学講座というものの物性を調べる研究室に入りました。この研究室は、普通の状態ではありえないような極限状態での材料の変形や材料の摩耗、壊れることなどについて研究している研究室でした。具体的には、金属を削る研究をしていました。大学卒業後も長らく金属を削る研究をしてきたのですが、途中で3Dプリンターが登場してきました。切削というのは金属を削る引き算の加工なんですけど、3Dプリンターはものを付け加える足し算の加工なんです。そこで、樹脂ではなく金属の3Dプリンターの研究を始めました。そのころ、日本ではまだあまり研究をしている人がいなくて、新しい取り組みを始めることができるということがきっかけで現在の研究をしています。

工作機械という、機械を造る大きな機械の研究もしています。工作機械は1 µmくらいの精度で金属を削って形を作れるんです。コンピュータの中で部品の設計をして、どこを削るかコンピュータで計算し、加工プログラムを工作機械に送り、そのとおりに工具が動いて加工していきます。これまでに航空機の部品を造るための研究や自動車のエンジンを加工する研究をしてきました。現在は引き算の加工と足し算の加工の両方を研究しています。削る加工をすると表面が非常に滑らかになります。実物を見てもらいましょう!

加工した金属部品の例(飛行機の翼内のリブ部分のモデル)
3Dプリンターを用いて加工した金属部品の例(プロペラの部分のモデル)

―笹原先生はものを造る足し算の加工と、ものを削る引き算の加工の両方について研究されているのですね。

研究に対する思い


―笹原先生の研究者としてのこだわりや、大切にしていることを教えてください。

研究では原理・原則が根本にあって、「原理・原則は何だろう?」と考えながら積み重ねていくことが大切だと思います。もう一つは、真似事ではなく、オリジナリティーのある研究をすることを大切にしています。

―笹原先生が楽しいと思えた研究はどのような研究でしょうか?

自分が面白いと思うことを研究しているので、大変だと思うこともありますが、学生さんと楽しく研究しています。研究成果が出て、それが論文にできるということに加えて、産業界で使ってもらったり、役に立つことができたときは、良かったなと思っています。

笹原先生から高校生へのメッセージ


─現在の研究分野で思い描く未来、高校生へのメッセージを教えてください。

笹原研究室での研究は、機械システム工学科の中の一つの分野であって、ものづくりのための研究なんですね。機械工学というのは自動車や飛行機やパソコンのように、いろんな身の回りのものを造る分野です。ものを造る研究って必ず必要で、今できているからそれで終わりではなくて、新しい製品や新しい材料ができていて、新しい造り方が常に必要になって、いつも新しい課題がどんどん出てくるんですね。ものがどうやって造られているかなど、高校生の目から見えない部分だと思うけれど、かなり重要な分野なので、そういう分野を目指す人がいたらいいなと思います。

あとは、機械システム工学を学問として考えたとき、機械工学や物理学のいろんな分野のことを総合して最終的に何かができるという学問分野なんです。機械でいえば4力学(材料力学、熱力学、機械力学、流体力学)というものがあって、それぞれ研究している研究者がいるんですけど、例えば「ものを溶かすときに熱エネルギー的にどういう状態になっているか」「熱の流れがどうなっているか」「溶けている状態から固体に変化するときに金属がどのように変化するか」「どうやって測定するか」など、いろんな分野を総合して考えるのが機械システム工学です。また、一部分を知っていても貢献できて、非常に面白い学問です。身の回りのものがどうやって造られているんだろうということを考えたときに、興味があったら機械システム工学の分野を選んでもらえると嬉しいです!


文章・インタビュアー:はりー
インタビュー日時: 2024年7月9日
※インタビューは感染症に配慮して行っております。

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