学科横断型プロジェクトで、組み立て式屋台「KOKAGE(こかげ)」を制作しました
田澤ゼミの2023年度の取り組みの一つに、「建築・環境デザイン学科加藤ゼミとのコラボ!」がありました。その成果物である組み立て式屋台「KOKAGE(こかげ)」がついに完成!
これは、東日本大震災で甚大な被害を受けた仙台市沿岸部において、田澤ゼミが現地フィールドワークを行い、地域住民の方々へのヒアリングから見えてきた地域のニーズに対して、加藤ゼミに仮設空間の提案をとおして応えてもらおうという企画です。
仙台市沿岸部は農村エリアであり、被災前は軒下や縁側、「居久根」と呼ばれる屋敷林等、地区内のさまざまな場所で、農作業をはじめとした暮らしの合間に住民同士の豊かなコミュニケーションが育まれていました。震災によって、こうした空間は流失し、コミュニケーションの機会も失われてしまいました。インタビューでは、このような現状とともに、かつての暮らしを「楽しかった」と表現する住民の方々の言葉も聞かれました。
このような背景を踏まえ、「軽量」「可動」「設置の手軽さ」を重視し、地区内のどこにでも簡単に設置可能となることで、かつて屋外で行われていた住民同士のコミュニケーションを取り戻し、豊かな地域コミュニティの形成に寄与すべく、「KOKAGE」の制作を実施しました。
【「KOKAGE」デザインのポイント】
◎調査した結果を踏まえて、コミュニティの再生に際して、若林区井土地区はマルシェ、若林区三本塚地区は食事会があることに着目し、2つの用途に対応でき、運搬・設置・解体が一人でできるようにした。
◎風の強い場所で木陰を再構築するために、分割した布を用いている。この屋根は、今後は井土地区に群生するヨシで簾をつくるなどのカスタマイズを見据えている。
「KOKAGE」という名称は、外での作業が多い農村エリアにおいて、安息の場であり、コミュニケーションの場でもあった「木陰」をイメージして名付けました。また、被災によって家屋や植栽が流失し、日除けが少なくなった当該地域において、「KOKAGE」がかつての休憩所に代わる役割を果たしてほしいという願いも込められています。
東日本大震災の発生から14年目を迎える3月11日に、仙台市若林区井土地区の慰霊祭に設置させていただき、住民の皆さんにお披露目する予定です。
また、現代美術家・川俣正さんによる仙台市沿岸部でのプロジェクト「仙台インプログレス」の成果報告展示のお邪魔する形で、一足先にせんだいメディアテーク(仙台市青葉区)に設置させていただいております。1階エントランス付近で、仙台市若林区井土地区の取り組みを紹介するパネル展示とともに、KOKAGEも佇んでおります。
【日時】3月1日(金)~5月20日(月)9~22時
【会場】せんだいメディアテーク(仙台市青葉区春日町2-1)
さまざまな場面で、皆さんにKOKAGEをご覧いただきたいと思っております。よろしくお願いいたします!