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エステルの加水分解、酸触媒と塩基触媒はどう違う?

エステルの加水分解は酸触媒で行う場合と塩基触媒で行う場合があります。このふたつは性質が異なるのですがどう違うか分かりますか?

酸触媒は可逆反応で塩基触媒は不可逆反応なんです。

塩基触媒で行うと不可逆反応だから100%加水分解します。

ところが酸触媒で行うと可逆反応だから100%は加水分解せずどこかで化学平衡になります。

つまり、酸は加水分解の触媒であるだけでなくエステル化の触媒でもあるのです。

カルボン酸とアルコールのみの状態から酸触媒でエステル化を起こすこともできるし、エステルのみの状態から酸触媒で加水分解反応を起こすこともできます。両方とも最終的にエステル化と加水分解が途中まで起こって化学平衡に至ります。

例えば、サリチル酸メチルが欲しくてサリチル酸とメタノールを酸触媒でエステル化するとします。

この反応は可逆反応だから100%エステル化することはできません。

だからサリチル酸メチルにはサリチル酸とメタノールが混じります。純度の高いサリチル酸メチルが欲しいならサリチル酸とメタノールを除く操作が必要になります。

冷水に加えてメタノールと硫酸を水層に抽出除去したのち、有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液に加えるとサリチル酸メチルが沈みます。サリチル酸は弱酸遊離反応でサリチル酸ナトリウムとなり水層に溶けます(弱酸である気体の二酸化炭素の発生が伴う)。こうしてサリチル酸とメタノールは除去できます。

以上、エステルの加水分解における酸触媒と塩基触媒の違いでした。

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