サメと、梅雨明け。
サメが飛んでいた。ズゥィィィン、と唸りながら。
機体後部、両翼の後ろがクッと下がって、尾翼で持ち上がる。釣り針を水平にしたような形といえば、少しは伝わりやすいだろうか。体躯は寸胴なホオジロザメではなく、どちらかというとシャープなコバンザメ。
でも実際そんな鈎状のサメはいないようだし、似ているところといえばグレーの体色のみ。
なんでサメだと思ったんだろう。
それはたぶん、戦闘機だったから。灰色の機体が耳障りな爆音を従えて一直線に飛んでいく。その姿が、血の匂いに反応したサメが一心不乱に獲物に向かう姿と、どこか重なったんだと思う。
なんだかんだ不安な日々が続くから、なんだか不安に駆られたのかもしれない。だから早晩、梅雨明けを待ち望んでいたりする。